見出し画像

BaseBallBear×ミリマス・シャイマス合同誌「バンドBとアイドルについて」を読んだよ

こんにちは、クマネキンです。

好きなバンドはBase Ball Bear!!!
一番楽しみなライブは「SHIBUYA NONFICTION」です!!!

初めに

先日、Twitter(新:X)を見ていたところ、おすすめツイートにて、

「バンドBとアイドルについて」

という同人誌が発売されることを知りました。
通販がある、とのことで購入してみました。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2449108

※現在は品切れのようです。


この同人誌、いわゆる二次創作というやつなのですが、何かというと

『アイドルマスター ミリオンライブ!シ』・『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の二次創作を、Base Ball Bearの楽曲を軸に行った、複数人による作品集

みたいです。

「アニメの同人誌を、実在のロックバンドを題材にして作る」という行為自体、同人誌界隈に縁遠い生活を送っている自分には聞き馴染みがありませんでした。(アジカンやスピッツもあるらしい)
まして「けいおん!」や「ぼっち・ざ・ろっく!」の同人誌ならまだわかるのですが、アイドルマスターの同人誌であること
そして、それがマイフェイバリットバンドたるBase Ball Bearで行われていること

全く想像しない角度で出現するBase Ball Bearに恐れ慄くと共に、「よ、よ、読みてぇ〜〜〜」と非常に興味が湧きました

そんなわけで、イラスト3作・漫画2作・小説本からなる本誌、読んだので感想書いたよ、っていうのが本記事です。
読んでみて、好きだなー!と思った4作(※順不同)をピックアップして、「あらすじ」と「感想」という構成で書いてみました。

おことわり

お分かりの通り、自分は「アイドルマスター シャイニーカラーズ(以下、シャイマス)」および「アイドルマスター ミリオンライブ!(以下、ミリマス)」について、全く知識のない人間です。

アイドルマスター自体は、2011年放送されたアニメシリーズ「THE IDOLM@STER」とその劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」は観てるのですが、シンデレラガールズ以降は正直あまり知識がありません。

作品に登場するキャラクター・アイドルについて、知識が皆無な人間の感想であること、ご承知おきください。

①「こころ、うけとって」

あらすじ

杜野凛世は、スポンサーの担当者がかねてから注目していたことをきっかけに、化粧品のCMモデルに抜擢される。CMのテーマソングである「こぼさないでShadow」を聞くべく、凛世はプロデューサーから「C2」を借りることになるのだが……。

感想

あらすじの通り「こぼさないでShadow」をモチーフにした作品。書かれたのは「残像」さん。

「心を受け取って愛にした」というフレーズを軸に、プロデューサーに想いを寄せる凛世の切実な心を描かれている作品で、あまずっぺぇ気持ちになりました。すごく良かったです。

サッと検索してみた情報によると、凛世さんは「大和撫子だけど少女漫画が好きなキャラクター」とのこと。
作品内で描写される「内心恋愛に一喜一憂しつつも、ずっと奥ゆかしい凛世の態度」と「『心を受け取って愛にした』というフレーズの持つ機微」はすごく相性がいいように思え、アイマスファンにとっても嬉しいマッチメイクだったのではないか、と門外漢ながら感じます。

ベボベ好きマンとしては、「こぼさないでShadow」は元々、架空の化粧品のキャッチコピーを小出さん・岡村さんで出し合っていて、できた曲が「愛はおしゃれじゃない」なのだけど、その中の没案が勿体無いと思い、作られた、と記憶しています。(ソースが思い出せない)
曲のフレーズだけでなく、こうした細かい裏話が設定に取り入れられているのが萌えポインツでした。

また、物語は、化粧品メーカー担当者が起用の理由を聞かれて、「杜野さんの瞳、ですかね」というところから始まります。歌詞の「はじまりはいつもfrom your eyes」とかけている点もニクくて好き

文章としては、感情の流れをト書きで説明している箇所がもう少し抽象的な方が好きだなぁ、と思いつつも、とはいえ、杜野凛世およびベボベへの愛を深く感じたし、ずっと好きな人が書いた作品ということがありあり伝わるよき作品でした。

②「フェアリー・ゴッド・ステップ」

あらすじ

徳川まつりがアイドルとして目覚ましい活躍を見せるかたわら、その妹は進路に悩んでいた。服飾の専門学校と安定した未来が見込める大学、どちらを選択するか悩む中、徳川まつりのコンサートに足を運ぶことになる。姉のステージを観た後、取る決断とは。

感想

モチーフは「17才」とのこと。書かれたのは「御園」さん。

まず、「アイドル」ではなく「アイドルを関係者席から見る人」を主人公に置いていること自体が好きでした。

「関係者席から見る人」「アイドルの親族」と、アイドルからワンマーク外したキャラクターを主人公とし、だからこその悩みや葛藤・引き出されるドラマによってテーマを浮き彫りにする、というやり方が好きですし、事実そうした作品になっていたのではないか、と思います。
皆が正面から見てるものを、斜めから見てる感じ、すっごいベボベフォロワーだな〜

あと、いいなと思ったのが、冒頭のアイドルの姿を見せる姉を心の中で「嘘つき」とした後、心の中で即座に否定するシーン

作中、主人公は、進路希望調査に悩んでいるようで、割とそうでもないような気がするというか。
主人公の心の底の底には、姉が”徳川まつり”へと成長していく中、自分の中で姉と徳川まつりのギャップに複雑な想いを抱えた主人公は、服飾というアイドルに近い方向に進むことに決心がつかない気持ちがあるのではないか、と自分は解釈しました。

そう読むと本作、その後の主人公が何を見てどう進むのか、ラストはとても納得の展開。で、そのラストから逆算して考えても、「姉を嘘つき呼ばわりし即座に否定する」くだりは、意味深く映るいいシーンでした。

なお、前述の通り、モチーフは「17才」とのことですが、個人的には本作、「あの曲にも通ずるとこめっちゃあるくねぇ〜?」と強く感じたのですが、ただこれは、本作のネタバレになるので、感想はこの辺りで締めさせていただきます

ちなみに「徳川まつりの妹」について調べてみたのですが、どうやら存在こそ示唆されているものの、キャラクターとして登場しているわけではないようです。
イラストも徳川まつりさんの後ろに映っている程度らしい。
うーむ、すごい人選だ。

③「DIARY KEY」

あらすじ

スーパーマーケットで働きながら、アイドルプロダクションの事務も務める七草はづき。彼女の妹で、アイドルとして活躍するにちかを見た同僚から「七草ちゃんもアイドルやればいいのに」と言われたことで、はづきの気持ちは晴れないでいた。そんな中、ある時にちかの部屋に入ると鍵のかかった日記帳が置いてあるのを目にする。

感想

モチーフは「DIARY KEY」。書かれたのは「かいわれだいこん」さん。

事務員・七草はづきさんをメインに据えた非アイドル主人公作品です。
ただ、先述の「フェアリー・ゴッド・ステップ」とは違い、七草はづきさんはアイドルではないにしても原作のレギュラーキャラ。
なんなら彼女視点でシャイマスの世界を描写するスピンオフコミックも刊行されているらしいです。

さて、そんな本作ですが、スーパーマーケットの同僚にかけられた「アイドルやったらいいのに」という言葉が胸につかえたはづきに、「妹の日記帳発見」から連なる3つの出来事が起きます。

この出来事の中で「妹」「出会ってきたアイドルたち」そして「自分の過去」について考え、「アイドルやったらいいのに」という言葉に解答を出すという構成
はづきの解答に至るまで、出来事の一つ一つに無駄なものがなく、素晴らしかったです。

何がいいって、各出来事ではづきが抱いている感情について、肝心な部分をぼかされているんですよね。
喜怒哀楽と言いますが、その4つでは分別できない感情を抱えているのが人間であり、この曖昧さへの視線が本作には富んでいたなと思いました。
で、この曖昧さを曖昧なまま閉じている感じがDIARY KEY感というか
物語終盤、はづきが最後に出す答えも納得、かつ、歌詞からの引用にしっかりなっていて、この一作、「うーーーむ、DIARY KEY!!!」と言わずにはいられないものでした。

あと、細かいところで言うと、夢の中で関わってきたアイドルが登場するのですが、その姿を見たはづきさん視点の描写が

顔立ち、立ち振る舞い、雰囲気。あるいは言葉では言い表せない何かではづきの視線を奪おうとする。

バンドBとアイドルについて P.77

この「視線を奪おうとする。」という表現、すげ~いいなと思いました。
アイドルの切磋琢磨する姿をみてきた立場、かつ、ファンではない一歩引いた立場、すなわち事務員でないと出てこない表現だし、これを想像してかける作者さんのセンスにビビる。

また、「銘々」という単語もいい。アイドルたちは見る人に自分を刻み込むぞ、という覚悟で活動するわけで、そこまでの覚悟をはづきさんが理解していることを表現しているというか。

はづきさんの事務員という立場をきちんと示しながら、はづきさんが各アイドルに深い理解とリスペクトを持った人であることを提示してるすごい表現だと思いました。

④「風来」

あらすじ

アイドル・郁田はるきはライブ明けのオフ日、テレビで見かけた桜の名所に足を運ぶ。桜の名所にある喫茶店へと向かう最中、見つけた足湯で休憩。様々な人と触れ合う一日となる。

感想

モチーフは「風来」。書かれたのは「うやみの」さん。

主人公は「郁田はるき」さん。
先日、「フェラーリ」を観に映画館に行った時、シャイマスのポスターあったので眺めてたのですが、この子を発見できず。調べてみると2023/07から登場したらしいです。新アイドルなんでしょうか。
性格としては、「閃いたら果敢に飛び込んでいくアクティブな一面」を持ったアイドルらしいです。

そんな一面を踏まえてか、本作、郁田はるきさんが「「「桜の名所」に向かって見つけた喫茶店」に向かう途中で見つけた足湯」に入る、というお話になっていました。飛び込みまくりだぁ……。

「ライブして、その土地でしか見られないものや会えない人と出会い、また次の旅へ」というテーマの「風来」という楽曲に、アイドル活動を重ねるという、「アイマスで「風来」を漫画にするなら、というお題に、ど直球で返した作品」でした。
「足湯」も「湯に浸かり次の旅を思うよ」なぞらえでだったりで、とてもストレートな作品じゃないかと思います。

ただ、本作、それだけじゃないんじゃないかな、と思ったりもしました
自分は、「この作品が合同誌最後に収録されていること」・「合同誌の主催者の方が描かれた作品であること」に意味を感じてしまいました。

「「ベボベ×アイマス」というテーマで合同誌を出す」とすれば、参加してくれる人を集めて、各々作品を作ってもらって、それを製本して。多くの苦労があり、その先に完成した時・人に届いた時の喜びや楽しさがあるわけで。
合同誌を作ることもまた「その時でしか会えない人と出会い、また次の創作へ向かっていく活動」なわけで、「風来」性のあるものではないでしょうか

本誌の結びとして「「風来」・または、「風来」にアイドル活動に準えた作品」に、「合同誌という活動」をなぞらえたうえで、関わってくれた人へのリスペクトだったり創作の楽しさや喜びみたいなものを込めたんじゃないかな、と(勝手に)解釈し、心地いい読後感になりました。
本作が最後で大正解感。

すごく楽しんでしまったな、ベ合同!

おわりに

というわけで、感想でした。
紹介できなかった作品がいくつかあり、申し訳ありません。他の作品もいい作品ばかりで、とても読んでいて楽しかったです。

ところで、読む前、「なぜアイドルマスターの同人誌をBase Ball Bearの楽曲で出そうと思ったのだろう?」と思っていました。

これについて、アーティストの楽曲はその1曲1曲に世界観を持っている一方、アイドルマスターには何人ものアイドルが存在し、各々別の人生を歩んでいる設定なわけで、「楽曲の世界観に合いそうなキャラクターを見つけやすい」というのがメリットにあるんじゃないかな、と思いました。
思えば、「ポケミク(ポケモン×初音ミク)」みたいなコラボもあったわけで、「たくさんのキャラクターの選択肢がある作品」と「楽曲」の組み合わせは相性がいいのかもな、と推測したりしました。
そういう意味では、Base Ball Bearだけでなく、アジカン・スピッツでもあるのは納得。

となると、まだまだ創作しろはあるわけで、「バンドBについて」に「完全版」「増補改訂改善版」があるように、2回目・3回目を期待してしまうところ
そういう意味では、ミステリとかSFとか読みたいっすよねぇ〜。「孤島の館で五泊」とかもそうだし、「別世界からウィンクしてる」って三体じゃん!
また作品が読みたいな、と思いました。

ではまた!

↓ note書きながら聴いていた曲。
涙腺とスパークリングウォーターってフレーズがめちゃ好きです。

いいなと思ったら応援しよう!