天使だったじゃないかとトレンドの曲の歌詞の単語を比較してみよう
こんばんは、クマネキンです。
好きなバンドはBase Ball Bearいぬ。
SHIBUYA NONFICTIONとてもいい公演だったいぬ。
忘れられないライブになりましたいぬ、ありがとうございましたいぬ。
いや、マジで、いいたいことめちゃくちゃあるんですけど、自分としては「十字架You and I」ですかね……!!
ただ踊れるだけではないシリアスさを帯びた演奏が本当にすさまじくかっこよく、ベボベのこれまでの十字架You and Iの中でもベストアクトの一つだったんじゃないでしょうか。
↓ここぞというタイミングでやる十字架You and I大好き
とか思っていたら、この前の夜ダン対バンで、EE→十字架→THE CUTやったらしく、マジギルティ。
一生やってほしいならびやんけ……、クソッ!
↓好き
はじめに
Base Ball Bearフロントマンである小出祐介さんはこんなことを語っています。
以上は2年前の記事ですが、最近も諸媒体で、「トレンドを理解しつつトレンドと距離を置く」と語っています。
なるほど~。
トレンドから距離を置いているのね~。
距離を。
置いているのね。
トレンドぉ??????
これ言うと元も子もないのですが、普段ベボベばかり聴いていてる人間なので、トレンドとかよくわかりません。
「インフェルノ」と言えば「9mm」ですし(20周年おめでとうございます)、「米津玄師」といえば「ドーナツホール」です(とか言ってたら新作が出た、11年ぶりありがとうございます)。
両方、年数に引く。
そんなことを思いながら、結局、Base Ball Bearを聴いていたわけなんですが
ポンペイの出土品のグラス??????
「出土品」についてUta-Netにて検索してみたのですが、
他の曲に同じフレーズは使われてるのか調べてみましたが、見つけられませんでした。
まぁそりゃそうだ、なんですが……。
「パワーポップオブラブって曲作ったろ!歌詞には「ポンペイの出土品のグラス」入れたろ!」
ってどういう発想なんでしょうか。
そんなわけで、歌詞を軸として、小出さんのワードチョイスを流行りの曲と比較したら、トレンドとの距離感、なんかわからんかな、というのが今回やってみたかったことです。
歌詞を比較してみる
トレンド曲
(誕生日なのにレコーディングしてえらいいぬ、休めいぬ)
「天使だったじゃないか」と「トレンドの曲」に使われている単語を比較して、何かわからないかな、と試してみるわけですが、そもそも上記ツイートからして、制作期間は2023年のようです。
となれば、制作当時のトレンドとしては2023年のヒットチャート、ということで、「2023年のBillboard JAPAN Hot 100」の歌詞を比較対象とすることにしました。
USENなど他の選択肢もありますが、日本レコード大賞が配信を参照するようになったりの昨今で、スコープが広いヒットチャートをトレンドとすべきだと考え、Billboardを選択しました。
ただ、2023年といいつつもHit100を見てみると「First Love」や「サウダージ」が入っていました。これは「2023年に聴かれた曲」=「トレンド」と言えるかな、と思い対象にしています。
また、「Billboard JAPAN Hot 100」には、その集計方式から洋楽やK-POPの楽曲も含まれています。そもそも目的が日本語詞たる「天使だったじゃないか」のワードを比較しよう、というものですので、日本語詞ではない曲は対象から外しています。
あとは、努力・未来・Beautiful Soap。
曲に使われている単語カウント
次に
「アイドル/YOASOBI」に「愛」という単語は何回使われているんだろう?
みたく、
「天使だったじゃないか」の曲とトレンドの曲の歌詞でそれぞれ使われている単語をカウントしてみます。
「「ポンペイの出土品」ってあんま歌詞に使われないよなぁ……」という感覚はどう違うのかを実際に見てみたかった、という感じです。
具体的には、「辞書に登録されている単語と照合して、対象の歌詞にあれば1回、とカウントしていく処理」を走らせるわけですが、今回、この照合に使う辞書にはJanomeという辞書を利用しました。
言語解析の分野でよく使われ、かつ、オープンソースな点からこの辞書を使っています。
Janomeには名詞・形容詞・動詞といった品詞分けもできるようになっているので、このうち「名詞」に該当するものを抽出しています。
結果を出すにあたり、そこは処理上の産物というか、「ん」や「a」みたいな意味を持たないワードが混じっていました。
結果を見ては細かく除外処理を設定してみたものの、一部漏れた単語が結果に入っていることはあらかじめ容赦いただければと思います。(こういうところ、いつまでも器用にできるようにならない)
比較結果
以上踏まえ、歌詞の単語をカウントして、その回数を比較してみたよ、というのがここからです。
トレンド曲でよく使われていた単語Top10
トレンド曲でよく使われていた単語Top10は以上の通り。
「僕」「君」「私」「あなた」「誰」「こと」と、そりゃ多くはいるでしょうね、という単語が並んでいます。
この中に、「愛」が入っていて、たくさん曲あれど「愛」をテーマにしている曲が多いんだなぁ、と思わされる結果でした。
あとは「よう」がJanome上で名詞として扱われた結果、上位に入ってきてしまった結果に。ここは今後の課題です。すみません。
「天使だったじゃないか」でよく使われた単語Top10
では、これが「天使だったじゃないか」だとどうなるのっていうのが以下。
(※カッコ内の数字はトレンド曲のランキング順位)
カウントしてみたよと言った手前あれですが、「天使だったじゃないか」は曲数=母数が「6」ですので、並べてみるとリフレインするフレーズかどうかが色濃い結果になりました。(やる前から想像できんかったのか
以上を頭の片隅にしまった上でになるのですが、
1番使われているのが「君」なのはトレンドと同じなのですが、対して2位には「僕」ではなく「自分」が来ている点がやっぱり気になりました。
ちなみに「僕」の使用回数は3回。
トレンド曲としてカウントした約100曲では「僕」が549回使われていたことを、単純計算で1曲5回以上使われてる、とするならば、「「天使だったじゃないか」の6曲中に3回」というのは比べてみて少なめな印象です。
ちょっと話がそれるのですが、
これはSYUUUリリース時での小出さんの発言。
実際、「僕」「自分」の使われた歌詞を眺めていると、
「僕」と「自分」で、「主観」「客観」のニュアンスが少し違うような気がします。
前者は自分視点で物事を見ている節が濃い一方、後者は自分という存在もその世界に置いて俯瞰で見ている、というか、例えるなら「僕」「自分」の違いは、「地の文が一人称の小説」と「地の文が三人称の小説」の違いに似ている気がします。
SYUUU時と同じモードで作詞したかはわからないところですが、このストーリーテリングについて、避けた結果、「天使だったじゃないか」の曲では「僕」の使用回数が少なくなった。
一方、トレンド曲はストーリーテリング調の曲が多く、結果として「僕」使用回数が多い、みたいなことは言えるのではないか、とやや強引に思ったりしました。
なお、人称に視点を絞ってカウントしてみた結果は以下です。
「天使だったじゃないか」の曲は6曲とはいえ「君」「自分」「僕」「あなた」の人称のバリエーションが少ないのも気になるポイントです。
トレンド曲は「僕ら」「みんな」と自分と大勢を示す単語だったり、「貴女」「そいつ」と2人称も豊富。(あと突然の奥さん)
ストーリーテリングを避けることで登場人物が少ないのかも?と思ったり、ストーリーテリング問題は関係なく「天使だったじゃないか」のテーマから内省的な歌詞故にかも、と思ったりで、もう少し考えてみたいところです。
今後の楽曲、注目して聴きたい。
トレンド曲でよく使われた単語Top100
次に、「トレンド曲でよく使われた単語Top100」を並べてみたのが以下です。
(※カッコ内の数字は天使だったじゃないかで使われた回数)
上位の単語で、「今」「夢」「星」「歌」「空」「涙」が「天使だったじゃないか」で使われていない単語としてありました。
J-POPあるあるの筆頭単語というか、頻出単語なわけですが、ここが「天使だったじゃないか」では使われていませんでした。
「トレンドの距離感!」と言いたくなる部分はありますが、過去曲では使われているわけで、純粋に作りたい曲のテーマと一致していない、とかそれだけな気もします。
次に「それ」「ここ」「あれ」「そこ」「これ」といった指示語も使われていないところも気になりました。
一つ二つ使われていないならまだしも、全てとなると、これは避けているんじゃなかろうか。
ベボベの歌詞の魅力に「細やかな描写力」というのはあるのと思うのですけど、こうして安直に指示語に逃げず単語を尽くして表現する姿勢に神が宿ってくるんやなぁ(しみじみ)。
「天使だったじゃないか」でよく使われた単語
先ほどと逆で、「天使だったじゃないか」でよく使われた単語として、2回以上使われている単語は以下の通り。
「季節」「光」「夜」「夕日」と、時間を思わせる単語がよく使われていることも印象的に思います。
先ほどの「トレンド曲でよく使われた単語Top100」で確認できるのですが、「時」「時間」という単語が「天使だったじゃないか」では使われていないんですよね。
「戻りたいけれど戻れない過去」がテーマのひとつだと思っているのですが、直接的な「時」「時間」を使わずに、テーマをわからせるのはこういうワード選びからなのかなぁ、と思いました。作詞ってすごいなぁ。(小並感)
また、時間を思わせる単語でいうと、「レイトショー」という単語がトレンド曲では使われてないことも気になるポイント。
ただ映画に行ったというだけでない、その後の夜の帰路を彷彿させる素敵なワードチョイスに思います。
トレンド曲では使われていないわけですが、この「歌詞に使われていそうで、使われていない単語のチョイス」がすごくいいなと思いました。
トレンド曲で使われていない「天使だったじゃないか」の単語
トレンド曲で使われていない「天使だったじゃないか」の単語を見てみるとこんな感じでした。
「ディゾルブ」という表現めちゃ好き。
こうして並べてみると、トレンド曲で使われていないからといって変わった単語を選んでいるわけでもなく、あくまで「日常生活でよく使いそうな単語」ばかりが並んでいる印象を持ちました。
先ほどの「レイトショー」もそうですが、他にも「ブレザー」「カーディガン」「ソフトドリンク」など、日常生活で出くわす単語が大半を占めています。
最近、街中華ブームだったりしますが、「中華」という単語が使われていなかったり。思えば、友達と中華食いに行った、みたいな歌詞がトレンド曲にあってもよさそうなのに、と少し驚きました。
「無料」「値下げ」「四捨五入」みたいな金銭を思い起こさせる単語も、また日常の一コマとしてよくある光景だけど、あんまお金を扱う歌詞ってないなぁ、っていう。
生活を細かくとらえているだけに留まらず、物価が上がり続け生活が厳しくなっていく現状に石を投げているようにも思えたりして、曲として今歌うべきなんじゃないか?と思えてくるところです。うーむ。
「肺貫通低音狂」みたく変わった造語を使った曲もトレンド曲にはたくさんある中で、そういった変化球は投げず、日常生活から独自性の生まれる単語を見つけていっている感じ。
日常生活の中から「歌詞に使われていそうで使われていない単語」を持ってきて曲に乗せる、というやり方はトレンドとの距離の取り方の一つでは?と感じました。
ところで、「細部」って単語仕込んでいたのは、次の新曲こうだよ…、みたいな目くばせだったりするんでしょうか……。
いや、マジで、そろそろリリース情報をだな……。
おわりに
以上、カウント結果でした。
今回、「トレンドの距離感」について知りたいな、と思い、歌詞内で使われている単語をカウントしてみた結果、「ストーリーテリングにならない主語の選び」「日常生活の中から「歌詞に使われていそうで使われていない単語」を持ってきて曲に乗せる」の二つでトレンドと距離を取っている感触を覚えました。
また、2つ以外のところで、指示語を歌詞に使っていないところやテーマを直接的に示していそうな単語を使っていないことなど、哲学めいたところが感じれたのも楽しかったです。
にしても、やっぱりこうしてみると上手くカウントできていない部分があるのは難しいですね。
「ペパーミント」「キャンディー」のように固有名詞をきちんと単語として認識していなかったりで、今後の課題をたくさん感じるところです。
単語だけで解釈していこうにもより大事なのは文脈に思いますし、もう少し形態素解析を勉強して、どこかでリベンジできたらいいなぁと思います……。
とはいえ、色々思うところありつつもやっぱりここまで書いてみて、「やっぱり、小出さんの歌詞、めちゃくちゃ好きだな」と思います。
「風景描写が細かくてじっくりいいなぁ」と思わせる歌詞もあれば、「なんだこれ?」みたいなのが飛び出してきたり、で飽きが全く来ないところが本当に面白いなぁと思います。
と思った矢先、
マテクラだああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!
やったあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!
今後も歌詞聴き込んでいくぞ!ファイ!と思っていたら、10/30に新しく8曲聞けるのかよ……。
マジNaigorithmって何。
アルゴリズムの対義語ってナイゴリズムなの。
歌詞超読みたい。
くっそ楽しみだな……。
会社休もうかな……。
ではまた!
↓という記事を書いていたら、歌詞だけ公開されてました。よすぎ!!!!!!
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