ゴルフクラブ価格の秘密|店主が教えるコストと劣化の関係|
ゴルフクラブの値段について師匠から聞いた話
私がフィッティング勉強をしているショップの店主との会話
私「毎年新製品が出ても、多くのお客は「安くなったら買う」と言い、結局マークダウンまであまり売れないんですよ。それまでの間、売り場をただ占拠しているだけでもったいないですね。」
店主「それは、マークダウンした価格が定価なんだよ。新製品の価格で買う人は一部で、その人の一部はメーカーの広告塔の役割を果たしているね。」
確かに、マークダウンしたクラブでもしっかりマージンが取れていました。さらに言うと、最終処分価格でもしっかりマージンが取れていたところをみると一体原価はいくらなんだろうと考えさせられます。
ゴルフクラブの値段について店主から聞いた話をまとめました。
ゴルフクラブの現状とコスト削減の課題
現在、ゴルフクラブ、特にドライバーにおいては、ヘッドの体積、反発係数、MOI(慣性モーメント)などに関するレギュレーションが非常に厳しくなっています。そのため、ヘッド単体で性能を差別化することは限界に近づいています。
その中で、メーカーが今重視しているのは「いかにコストを抑えるか」という点です。2024年現在、主要な材料であるチタンの価格は、ウクライナ戦争などの国際情勢の影響で大幅に高騰しています。チタンは軍事用としての需要も非常に高い金属であり、ゴルフ業界と軍事用途を比べると、どちらが優先されるかは言うまでもありません。
コスト削減のための工夫
価格を抑えるために、いくつかの工夫が行われています。その一つが「チタンの再利用」です。廃棄されたチタンを再生し、新たなクラブに使用する方法です。もう一つは「カーボン(樹脂カーボン)の活用」です。最近では、カーボンを使用したクラブが増えており、より軽量で柔軟な設計が可能になっています。ただし、実際には純粋なカーボンではなく、カーボンを含んだ樹脂を使用しているケースがほとんどです。
再利用されたチタンは、その過程で他の材料が混ざり、「チタン合金」として使用されます。再生を重ねるほど、チタンの純度は下がる傾向にあります。また、カーボンとチタンは溶接できないため、接着によって組み合わせられます。しかし、この接着部分が外れることがあり、カーボン部分が剥がれるリスクもあります。さらに、樹脂部分は紫外線や擦り傷で劣化しやすいため、ソールにカーボンが使用されている場合、割れやすくなるという弱点があります。
コスト削減がもたらすドライバーの劣化と需要
チタンの再利用やカーボンの使用といったコスト削減の工夫は、ドライバーの劣化を早める結果にもつながっています。おおよそ1年ほど使用すれば、クラブの性能が落ちやすくなると言われています。しかし、これを逆手に取れば、毎年新しいクラブを発売しても一定の需要が見込めることになります。このため、メーカーが毎年新しいモデルをリリースするのは、ある意味で必然的な流れと言えるでしょう。
チタンの高騰とクラブ価格への影響
チタンの原料費は、数年前に比べて約3〜4倍にまで高騰していると言われています。同じように考えれば、ドライバーヘッドの価格も3〜4倍に上昇していると考えるのが自然です。最近では「プロ仕様モデル」が市販されるケースも増えていますが、その価格差は、使用されている材料の違いによるものと考えれば納得できます。
材料の品質と劣化速度の関係
材料の品質の差は、クラブの劣化しやすさに大きく影響します。一般的に、1年ほど使用すればクラブの性能は徐々に劣化し始めますが、高品質な材料を使用している場合、その劣化速度は遅くなる傾向にあります。これにより、長く安定した性能を維持できるクラブも存在するのです。
まとめ
原材料費が高騰している現在、普通にクラブを作ると高額になる。
材料費を抑えることで製品価格の上昇を抑えている
プロ仕様と量販品の違いは材料の品質差
材料の性能の差は品質劣化に関係する
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