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たまに短歌 淡路島
波高し風にハンドル取られつつ
国産み島の産道を往く
なみたかしかぜにはんどるとられつつ
くにうみじまのうぶみちをゆく
以前、noteでおのころ島神社について書かれた記事を読んで行ってみようと思った。参道周辺には誰もいないのに、カーナビに渋滞表示が出るというのである。ちょうど天皇誕生日の連休でもあるので、そこに有休をひとつ足して三泊四日で淡路島の国生み伝説関連の場所をいくつか巡ってきた。
旅行に行くときに事前に下調べをして、ということはしない質だ。今回も宿と往復の足とレンタカーは去年の暮に手配したが、どうしても訪れたい先だけ淡路島観光協会のサイトで決めて、あとは行ってからの状況次第ということにした。
前にも書いたが、これまでの生活がほぼ首都圏で完結しているので、淡路島の予備知識は皆無だ。地図を見ると島は四国と本州をつなぐような立地なので、飛行機で徳島に渡り、レンタカーで鳴門大橋から入って明石大橋に抜け、神戸から新幹線で帰ることにした。おのころ島神社が南あわじ市なので宿は同市内にとった。
1日目 2月22日土曜日
羽田発 07:00 JAL453 徳島着 08:20
空港でレンタカーを借り出し、まずは宿へ荷物を置きに行く。「天気晴朗なれど波高し」で、鳴門大橋は強風のため二輪の通行は禁止となっていた。淡路島は国生み伝説の島だ。分娩の産道を逆行するが如く、島に向かう気がした。
9時過ぎには宿に着き荷物を預かってもらう。チェックアウトの時間帯にやって来る客は珍しいらしく、夕方、チェックインの時、駐車場の誘導係の人が無線で来客の連絡をする際に「朝早くに来たお客さん」と言っているのが聞こえた。
まずは、おのころ島神社に参拝。神社がどれほどの参拝客を集めるものなのか、その駐車場である程度判断できる。大抵は有名な行事や初詣といった特別な状況に合わせて駐車場が用意されているので、そうした集客の多いところは広大な駐車場がある。しかし、普段は参拝客はそれほどではないので、車で行くには往来も駐車も余裕がある。ここも余裕だ。カーナビには渋滞表示は無かった。
神社の本殿の屋根には鰹木と呼ばれる装飾材が並ぶ。その数は神社の格、そこに祀られる神の順位のようなものが反映される。基準となるのは伊勢神宮内宮の10本で、それが最大だ。同じ伊勢神宮でも外宮は9本だ。例えば、出雲大社は立派な神社だが、神話上では負け組の神様なので神社の規模の割に鰹木が3本と少ない。おのころ島神社は8本。国生み神話にまつわる神社だけに流石に格が高い、ということになる。但し、神社庁に所属しない神社の中には好き勝手に鰹木を並べた社を建てているところもあるので、こうした形式的なことはあくまでも目安のようなものだ。
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[合祀] 菊理媛命(キクリヒメノミコト)
撮影日:2025年2月22日
昼時になり、食事のできそうなところを探す。カーナビの地図に「淡路ファームパーク」といういかにも行楽施設のような名前のものがあったので、そこに向かう。行ってみると駐車場が満車で、少し行列ができている。その列から抜けて、隣接する道の駅に向かう車があるので、その車についていく。こちらの駐車場もほぼ満車だが適当に車の出入りがあり、駐車場所には困らなかった。こちらの施設でも何かイベントがあるらしく建物の外のテントに人が大勢並んでいる。とれたてのワカメの振る舞いだ。テントの中を覗いていると背後から「いかがですか」と声をかけられ、整理券を渡された。券を手に列に並ぶと、列はどんどん進んですぐに自分たちの番になった。今朝とれたばかりのワカメを湯通ししてお椀にホイホイ盛っている。これが旨い。ワカメとはこんなに旨いものだったのかと感激する。
国生みの里の御宮の空遠く
雲が流れるワカメが旨い
くにうみのさとのおみやのそらとおく
くもがながれるわかめがうまい
ここに書いた二首を絵葉書に書いて自分宛に投函した。それが2月26日に届いた。
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消印は「洲本 7 2.23 12-18」となっていた。
で、昼食はその道の駅の2階にある食堂で鯛のカルパッチョ定食をいただいた。副菜とご飯とパンはバイキング形式で食べ放題だったが、もう若くはないのでそんなには食べられれない。勘定を払おうと席を立つと、店員に「もっと召し上がってくだいさいよ」と言われたが、こちらとしては十分いただいた。こちらも美味しかった。
1日目の旅程はまだ続く。
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撮影日:2025年2月22日
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