宮本常一 『庶民の発見』 講談社学術文庫
「民主主義」というものが錦の御旗のようになっていて、絶対的な善であると考えられているようである。先日、著名な政治家が暗殺された折にもメディアに流れた記事の中にこの言葉が頻繁に使われていた。事件から1週間近く経った時期にたまたま学生時代のゼミの仲間二人と私の3人で代々木の飲み屋でビールのジョッキを傾けながら話していた。その中で、あの事件は政治に象徴される世の中のカネの濁流の中で身包みを剥がされてしまった階層の逆襲であって、個人の話ではないよね、というような会話があった。そこでの