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読んだ・観た・聴いた

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本や雑誌などを読んで思いついたこと。書評とか感想は上手にまとめる人がたくさんいるので、そういうものはそういう人たちにお任せする。本の内容とは全く関係なく見えることも少なくないが、…
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#岩波文庫

網野善彦 『日本中世の非農業民と天皇(上・下)』 岩波文庫

昨年訪れた滋賀県長浜には菅浦という古い集落がある。その名前は梅棹忠夫の『私の履歴書』で目…

熊本熊
5日前
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網野善彦 『中世荘園の様相』 岩波文庫

先週木曜日に職場の昼休み勉強会の講師番が回ってきた。「150人考」と題して、ダンバー数の話…

熊本熊
8か月前
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カール・マルクス著 長谷部文雄訳 『賃労働と資本』 岩波文庫

たぶん「価値」というものは観念であって、それを恰も実体であるかのように認識するところから…

熊本熊
9か月前
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宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波文庫

本書はずいぶん前に読んだのだが、最近になって網野善彦の『『忘れられた日本人』を読む』を読…

熊本熊
1年前
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オルテガ・イ・ガセット 著 佐々木孝 訳 『大衆の反逆』 岩波文庫

個人的な感覚として「大衆」という言葉の響きには蔑みを含んでいる気がする。おそらくそれは、…

熊本熊
1年前
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トク・ベルツ編 菅沼竜太郎訳 『ベルツの日記(上下)』 岩波文庫

公開を意図せずに書いた私的な文章が持つ面白さの理由を分析したら、公開を意図した中途半端に…

熊本熊
1年前
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真鍋昌弘 校注 『閑吟集』 岩波文庫

懲りもせず何度も試みているのだが、歌集とか句集のようなものを読みながら通勤したらオツかもしれないと、思い出したようにそういうものを手にしてみる。大抵は「やっぱりこういうのはオレには向かないな」と思って、そういうことが続くことはないのだが、間欠泉のように手に取ってみたいという衝動が湧くのである。 本書に収載されているのは歌謡で15世紀後半から16世紀前半に世間一般で流行したものらしい。今とは違って、娯楽の種類も限られていた時代なので、おそらく本書にあるものは国民常識のようなも

疎開考 『終戦日記一九四五』

戦争は決められた戦場で軍隊同士だけが国際法の下に戦う、というものではない。当事者に何か実…

熊本熊
1年前
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エーリッヒ・ケストナー著 酒寄進一訳 『終戦日記一九四五』 岩波文庫

奥付に「2022年6月15日 第1刷発行」とある。原書の発行は1961年だ。中に書かれているのは1945…

熊本熊
1年前
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九鬼周造 『「いき」の構造 他二篇』 岩波文庫

けっこう有名な本だが、初めて手に取った。九鬼の父親は男爵九鬼隆一で、文部省や帝国博物館で…

熊本熊
2年前
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岡倉天心 大久保喬樹 訳 『新訳 茶の本』 角川ソフィア文庫

岩波文庫版を読んだことがあるのだが、遥か以前のことなので、殆ど記憶になかった。先日、青花…

熊本熊
2年前
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今和次郎 『日本の民家』 岩波文庫

内燃機関が歴史に登場する以前、交通や運輸は人力頼みであったはずだ。海やちょっとした河川が…

熊本熊
2年前
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小倉芳彦 訳 『春秋左氏伝 (上中下)』 岩波文庫

『代表的日本人』を読んだ時に西郷隆盛の章で本書への言及があり、なんとなく気になって読んだ…

熊本熊
2年前
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宮本常一 『家郷の訓』 岩波文庫

宮本の故郷である山口県周防大島の明治から大正にかけての生活誌。今読んでも生活が違いすぎて実感として迫ってくるようなことは少ないが、昭和に育った身としては、全く手掛かりがないというほど遠い世界でもない。これまでnoteで取り上げた宮本あるいは宮本関連の著作と内容に違いがあるはずもないのだが、本書は宮本の故郷というフィールドを限定したものなので、時代の様相の変化のきっかけのようなことがより鮮明に描かれている。 やはり明治維新による社会の混乱が人々の生活に与えた影響は大きいようだ