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破壊的創造の先に光がある。(8/366)

年末年始に考えていたことのひとつに「管理する」ということについて考えていました。この「管理する」つまり「マネジメントする」ことは、私のデザイナー人生において答えを探し続けている問いのひとつです。その対象は、ひとりのデザイナー、ひとつの製品という単位から、クリエイティブチーム、企業という単位まで幅広く。

2002年から2007年までの5年間、プレイヤー時代の私は、マネジメントというものについては、どちらかというと反発的な姿勢を取っていました。とくに、デザイン事務所から広告代理店に出向、転籍してからはLutus Notes(ロータスノーツ)のグループウェア上で日々の仕事が数値化され、それによって管理されることに嫌悪感すら覚えていました。ただ、私の恩師であった出向元の社長に「人を評価するために数字は必要」と諭され、負けん気の強い私は「だったら数字で勝負してやろうじゃないか!」と思ったものです。もちろん、結果も出しました。

2008年から現在に至るまでの10年間、私はいつしかプレイヤーからマネジメントへと自分の立場を変え、クリエイティブやデザイナーを管理する方法を試行錯誤してきました。最初の7年間は納期管理、いわゆるスケジュール管理が中心でした。案件毎にガントチャートをひき、クオリティを担保しながら、いかに多くの製品を開発し、世に送り出すことができるか、を追求してきました。その後、生産性管理として、デザイナーの一人あたりの生産性、時間あたりの生産性をいかに高めることができるか、を追求してきました。いま振り返るとドラスティックなまでに「数字」を軸とした管理手法を確立し、文化として定着させてきました。

一方で、2012年からは会社を移り、稲盛和夫氏のフィロソフィを学ぶなかで「心」の重要性にも気づき始めました。

心をベースに経営する。
京セラは、資金も信用も実績もない小さな町工場から出発しました。頼れるものは、なけなしの技術と信じあえる仲間だけでした。会社の発展のために一人ひとりが精一杯努力する、経営者も命をかけてみんなの信頼にこたえる、働く仲間のそのような心を信じ、私利私欲のためではない、社員のみんなが本当にこの会社で働いてよかったと思う、すばらしい会社でありたいと考えてやってきたのが京セラの経営です。
人の心はうつろいやすく変わりやすいものといわれますが、また同時にこれほど強固なものもないのです。その強い心のつながりをベースにしてきた経営、ここに京セラの原点があります。

2019年、心をベースとしたチームづくりと、納期管理、生産性管理という数字による管理手法だけでは、目指すチームの姿にはたどり着けないと思っています。数字管理は定量的に評価できるため、その運用にマンパワーこそ必要ですが、ある程度は仕組み化できるものですが、既存の枠組みを超えるパワーを持っていないからです。デザイナーとしての私が一言で表現するならば「成果もクオリティも妥協しない機能美を追求する」チーム、稲盛和夫氏の言葉をお借りするならば「手の切れるような製品をつくる」チームが目指すチーム像です。

開発する製品のクオリティをさらに向上させるための品質管理、クオリティの高低という定性的なものを評価する仕組みの構築。これからの1年をかけて、先人の知恵、先進企業の事例を学びながら、これからの時代において発展し、成長し続けるためのクリエイティブマネジメントシステムをつくり上げ、最高のチームをつくることを目指します。

まずは自分でつくってきた仕組みや文化を壊すことからです。少し勇気が要りますが、破壊的創造の先に光があることを信じて。

#デザイン #あつまる #ATSUMARU