第3回熊本地域医療勉強会 開催報告 2023/6/23
6月23日(金)第3回熊本地域医療勉強会 を開催しました。
講師を務めていただいたのは、
熊本大学病院 地域医療支援センター 特任助教 髙栁宏史 先生です。
「総合診療の専門性とは ~家庭医療学の分野から~」というテーマで、
髙栁先生が「家庭医療学」に込める想いをお話いただきました。
今回も参加者は約70名。回を重ねるごとに参加者が増えています。
現地35人、オンラインで35人の方に参加いただきました。
そのうち医学生13人、高校生6人に参加いただきました!!
未来を担う若い世代の方に参加いただき、とてもとてもうれしく思います。
前半は
総合診療の専門性、家庭医療学の専門分野としての確立、国際的なプライマリ・ケアの広がり について
後半は
総合診療医の日本におけるニーズ、「かかりつけ医」の制度化、これからの日本におけるプライマリ・ケアのリーダー について
熱く熱く語っていただきました。
また、「家庭医の視点」について、最近経験された実際の事例をもとに、
分かりやすく解説いただきました。
今回の Take Home Message !!
・家庭医の必要性
医療技術の発達とともに、高度に専門分化が進んだ結果、医療提供の断片化が起きている(医療ケア全体を包括的に診ることができなくなっている)。 また、高齢化が進み、多疾患併存/罹患(Multimorbility)が増え、複数の診療科を受診する患者さんが増えている。 生死にかかわる急性の健康問題の対処から、健康問題と患者さんの環境調整を支援する、包括的・統合的ケアのニーズが拡大している。
・家庭医療学の特徴
既存の医療・医学におけるパラダイムとは異なる、患者さんの心理的・社会的な背景・課題までを含めた臨床分野である。病気を治癒したら関わりが終わるのではなく、生まれたときから亡くなるまで、さまざまなライフイベントに伴走する。継続的な診療の中で個別性の高い経験を患者さんと共有し、人生レベルで患者さんに寄り添うことができる(人生視点)。
・「かかりつけ医」に関する法制化
「かかりつけ医」の社会的なニーズの広がりから、「かかりつけ医」に関する法制化が進んでいる(2025年4月1日より施行)。病院・診療所、患者さんの双方の手上げ式で、書面交付の仕組みが創設される。かかりつけ医として、患者さんから選ばれるかどうか、問われる時代になってくる。
19番目の基本領域として認定された「総合診療専門医」
熊本県においても、熊本大学病院をはじめ複数の病院にて、総合診療専門医を育成する専門の研修プログラムが準備されています。
↓ 日本専門医機構認定 総合診療専門研修プログラム(熊本県)ページ
https://jbgm.org/trprogram/%E4%B9%9D%E5%B7%9E/#trprogram_3165805361518012023
2018年度の制度化以降、徐々に総合診療専門医が増えてきています。
髙栁先生が、熊本大学病院にて若い世代の方々に「家庭医療学の重要性」を熱意をもって教育をするという想いが、ビンビンと伝わってきました。
〈参加者アンケートより〉
・複数の疾患をもつ患者にとって、高度な専門性を持つ専門医だけでなく、総合医が求められていることが深く理解できた。高齢化が進む地方では、さらに需要が高まっていくと思った。
・普段は聞けないような患者さんの事例や考え方を知れて、とてもいい刺激になった。今後も勉強会に参加して、自分の目指す医師像を確立させるのに役立てていきたい。
・病気だけを診るのではなく、患者さんという人間を診る事の大切さを教えてもらいました。すごく大切な家庭医療が、日本で、熊本で広がっていません。この勉強会を通じて家庭医療の普及・啓発をお願いします。
今回は会場を「未来会議室」に変更して開催しました。
勉強会前には、アイスブレイクタイムを設け、谷田病院 柳原恵梨先生が、参加者同士の交流を深めるための企画を行ってもらいました。
勉強会終了後は、同会場にて懇親会を行いました。
オシャレな会場にて、多世代、多職種の交流の機会となり、とても有意義な時間を過ごすことができました。
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