吊るし柿つくり(航史記者)
くまモン記者団の、航史記者(上天草市)です!
ぼくの住んでいる地域では、冬になるとあちこちの家で干し柿を軒下につるしてあるのを見掛けるようになります。吊るして作る干し柿を「吊るし柿」と言うそうです。おばあちゃんの家でも毎年作っているので、窓からずらーっと柿が干してある風景を見ると、冬だなーと感じます。
お正月になるとおせちと一緒に干し柿を食べます。食べた干し柿のタネの数が偶数だと、奇数になるまで食べ続けなければいけないルールです。どうしてかというと、奇数だとその年良いことがあるからだそうです。これは、その地域によっても意味やルールが違うらしく、偶数がいいというところもあれば、タネの数によって占いができるところもあるようですが、ぼくの住んでいる地域では奇数が縁起がいいとされています。
今年、オンラインサークルのサイエンスクラブのお友達5人で、干し柿を作って観察することになって、調べ学習でいろいろなことを知ったので紹介しようと思います。
まず柿について。干し柿は食べたことありますか?ねちょっとした食感でとても甘いです。なのに干し柿は渋柿を使って作ります。まず渋柿を味見するところからやりました。この世のものと思えないほどマズくて、顔をゆがめたり、モニターから消えてしまった(たぶん、吐き出しにいった)友達もいました。
こんなにおいしくない柿がどうして甘くなるのかというと、柿の渋みのタンニンという成分が変化して、渋さを感じなくなり、もともとの柿の甘さが感じられるようになるからです。本当は甘いと知って驚きました。
天日干しすることで、柿の水分が減ると、タンニンが固まって溶けにくくなり、苦味を感じなくなります。また、柿の中の水分が抜けることで、糖分の濃度が高くなり、甘さが強く感じられるようになります。
干し柿は、そのまま干すとカビが生えたり、ばい菌がつくかもしれないので干す前に消毒します。ぼくは、今回実験のために、熱湯消毒と焼酎消毒と梅酒消毒の3通りの消毒をして観察をしました。
違いが分かりますか?一番色がきれいなのは梅酒消毒です。焼酎消毒は茶色くなっていて、熱湯消毒はその中間くらいの色です。なぜだか調べたので、簡単に説明します。焼酎消毒はアルコール度数が35度で高いので、柿の表面の水分が急激に奪われて、酸化が早くタンニンを茶色く変化させるため、干した初日からすぐに茶色いはん点が出てきました。梅酒はアルコール度数が10~15度で柿の表面への影響が穏やかなので、色がきれいに保たれやすいです。また梅にはクエン酸が含まれているので酸化を抑えているかもしれません。
さらに、梅酒で消毒すると、梅酒の糖分で柿の表面がコーティングされて色を保てています。熱湯消毒は、消毒する力や殺菌効果が強いから、梅酒ほどではないけど、柿の表面がきれいになって色があまり変わらないのかもしれません。
北海道や青森に住んでいる友達は、雪が降っているので外に干せない日が多かったそうです。軒下(のきした)に干せないのかと思ったら、青森の豪雪地帯では無落雪という屋根が多く、家に軒はないそうです!干し柿作る家はあまり見かけたことがないらしく、同じ日本でもぜんぜん違うんだと思いました。また渋柿を手に入れるのも大変だったそうです。ぼくの住む地域では、家の庭に柿の木があるところも多いですが、都会の友達の家はマンションだったり庭に柿を植えている家も多くないそうです。
そして干して1週間後にハプニングがありました!!なんと何者かに食べられてしまったのです。。おばあちゃんは、きっとヒヨドリの仕業だよと教えてくれました。網をかけて対策をしましたが、どんなに網をかけてももぐりこんできて食べられました。賢い鳥なので、おいしくなった頃を見計らって一気に食べに来るそうです。ホバリングもできるので飛びながら食べることができるそうです。
干し直した柿も含めて50個の吊るし柿をつくってましたが、まったく被害がなかった柿がたったの6個でした。何でぼくの家の柿が狙われたのか分かりませんが、干して5日後に一つ食べられていたので、味見をして、あと2日経てばおいしくなるなと思って1週間後に一気に食べられたのでしょう。実際、おいしく食べられるようになるのは2週間後ですが、渋みが抜け始めるのが1週間後だそうです。
さて、残った6個の柿はというと、干して3週間後に断面を切って色を比べたり味比べをしました。味に大きな違いはありませんでしたが、梅酒消毒した柿は深い甘さとねっとり感も他のよりあっておいしく感じました。
ぼくが作った干し柿はあっという間に食べてしまったので、お正月はおばあちゃんが作った干し柿を食べます。みなさんも干し柿を食べたら、タネの数を数えて奇数か偶数かチェックしてみてください。
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