初めての赤星
いつもトリスハイボールを190円!という破格の値段で提供している居酒屋で、先日、 "赤星" があることに初めて気づいた。
『庶民の味方トリス』にすっかり気をとられてしまい、ドリンクメニューをまじまじと見ることなんてなかった。
"赤星"は、国産最古のビールブランド。
1877年の誕生以来、日本のビール好きに愛され続けるロングセラー商品だ。
近ごろは期間限定で缶ビールも販売されてはいるものの、基本は瓶。
しかも、どの店でも置いている商品ではないので希少性が高い。
「瓶入り赤星に出会ったら、一度飲んでみたい。」
と、思っていた。
だから、メニューの中にそれを見つけた時は 、考えるよりも先に口が、
「サッポロラガーをください!」と言っていた。
瓶ビールを飲むなんて何年ぶりだろうか。
その名のとおり瓶のラベルには、白地に赤い星が燦然と光り輝いていた。
一般的によく目にする "黒ラベル" が、加熱処理をしていない "生ビール" なのに対して、"赤星" は加熱処理を施すことで酵母の発酵を止めたものだ。
(ちなみに生ビールはフィルターで酵母を除去している)
そういえば、父がまだ、今の私よりもずっと若かった頃、晩酌は必ずサッポロビール大瓶1本と決まっていた。
3歳か4歳だった私は、父のグラスに、その日最初の一杯をお酌する役だった。
両手でビール瓶をしっかり抱え、ゆっくりと慎重にグラスへ注いでいた。
その時の瓶の冷たさと重さを、今でも微かに覚えている。
父のためにではなく、自分のために、片手で軽々と注いで飲んだ赤星の瓶ビールは…
とても美味しかった!!
気のせいか、缶のビールよりもクリアで、ジョッキの生ビールよりもマイルドな味わいに感じられた。
その日オススメの『白子の天ぷら』と共に、サッポロラガーとの夜は更けて行く。