すてる
これからは、余分なものをいろいろ捨てたりして、身の回りをきれいにしようと思う。
私はまだ、しばらくは死ぬ予定はないが、腰が曲がって背の高さが縮んで、自分の目の高さよりも上に、かつて自分で乗せたものが、手に取れなくなったら、それは、もう、自分にとっていらないものになってしまう。
大事だったものを、一度どこかにしまったら、それは、次に見ることなく、しまわれたままになってしまう。
広い家に、捨てずにためたものは、思い出からただのゴミになってしまう。
今日、叔母が20年以上撮りためた、写真を、車で3往復して、300kg捨てた。
「欲しかったものがいらなくなることは悲しいことです、欲しいものが手に入らないよりもいらいらします」と書いた詩人がいます。
大事だったことを、人は老いて忘れていく。
私はまだ、欲が深くて、捨てられないものがたくさんあるのだけど、2年着なかった服は捨てようかなとおもう。
次に捨てるものは、扇風機と百科事典を二種類だ。論文を書くときにお世話になった、平凡社と、TBSブリタニカだ。
ネットのない時には、レポートは本で調べたのだ。
片付かない人間は、いずれかの地点で、欲を捨て始めなければならないのだと、思った。
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