哀れなるものたち
⚠️ネタバレあります
この映画を観たのは1月19日、チバユウスケの献花会のチケット争奪戦に敗れその日は寂しく家にいるのも嫌で、よし、映画でも観に行こう!と調べたらたまたま先行上映していたのがこの「哀れなるものたち」でした。とにかく前向きになれるような映画が観たくてこちらにしたのですが、美術館に行ってたくさん素晴らしいものを観たような気持ちにはなったけど内容についてはなんかボヤッとしてしまって考えをまとめてみたくなり、拙いながら感想を書いてみようと思いました。
この映画の感想を聞かれた事が何度かあったのですが、その度に困ってしまってました。
「映像がとてもおしゃれで綺麗だった」「音楽がすごく良かった」「衣装が素敵だった」「エマ・ストーンの演技が凄かった」など、なんか馬鹿みたいなことしか言えない…。上記のことがほんとに素晴らしくて感動したんだけど、それって表面的なことしか言ってないからそれ以外の内容のことを伝えたくてもなんていって良いのかよくわからない。
「フェミニスト的な映画、という感じ?」といちおう言ったけど、ただ単に「フェミニスト映画」と言ってしまうとなんか違うような気がする。
どちらかというとわかりやすい話ではあるんだけどこういう事だよね?とつきつめていくとあれ、じゃあこっちはどうなの?となっちゃうというか。
すごく映画的な映画だしとても良かったんだけど、なんかちょっともやっとしちゃうというか、物足りないというか。
じゃあもやっとしちゃうところはどういうとこかっていうと、まあこれはあくまでも私の意見ですけど、映像と衣装がオシャレすぎていることによって、女性の人権とか貧困の現実とかそういう世界の悲しい部分に対する表現が少し浅くみえてしまったことかもしれません。
また、作品の意図として「女性の身体は自分のものであり他人のものではない。女性だって好きなように生きるべきだ」みたいな事を言いたいのだな?と思ったけど最後、元夫の体にヤギの脳を移植してて、えーヤギかわいそうじゃーんと思ったし、元夫だって酷いやつだけどその仕打ちはあり?ベラは自分が改造された事を知った時にあんなに怒ってたのに?
なんだか動物と酷い男の体はどうなってもいい、となっちゃってないか。
映画にモラルはそんなに求めてないけどそういうとこがちょっと気になっちゃいました。
とはいえ少しそういうとこが気になっただけで全体の満足感は高かったです。やっぱりあのダンスの始まりみたいなとこ最高だったし、ベラのふるまいは楽しくて見ていて気持ちよかったし、笑っちゃうようなとこも結構あって楽しかった。(近くに座ってたおじさんが所々で本当に笑っててちょっとビックリしたしなんかハラハラしちゃった…)
あのフォントや音楽も相まってビョーク感あったし、あの衣装ほんとうに可愛くてグッチのCM観てるみたいな気持ちもあって、大きい画面と大きい音であの世界の中にいると頭が持ってかれそうな瞬間がなん度もあって、映画館出た後もしばらくポワーンとしちゃって、観に行って良かった映画でした。
でも最後まで分からなかったのが「哀れなるものたち」は誰?ってことで、弁護士や元夫のことかなあ、でもなんだかしっくりこないような。これは小説を読んだ方が理解が深まるのでしょうか。絶賛してる人が多いので小説を読んでまた映画を観てみたらまた違うのかも。いつか読んでみようと思います。
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