思いやりが溢れてた。
阪神電車の特急の中。今日は朝から人身事故があり、休日の車内はいつも以上に混雑していた。
芦屋駅に到着した時、車内の席はロングシートであったが勿論全てに人が座っていて、ドア付近も乗降がスムーズにできないほどであった。ドアが開くと、1人の杖を持ったおばあさまが乗車された。
僕はドアの横で立っていたため、人の移動ができるようスペースを開けるのに精一杯であった。すると、そのドアの付近の席に座っていた方達2,3人が立ち上がり、「どうぞ、座ってくださいね」とおばあさまに譲っていた。しかも、席を立つ時のことを考慮してか、手すりのある端っこの席を譲っていた。
こういった日常で他の人が思いやりを持った行動をしているのを見ると、なんだか見ている僕まで嬉しくなり、自分も人助けをしたいと心から思った。
そして尼崎駅に到着。降りたホームも混雑しており、電車のダイヤも乱れに乱れまくっていた。ホームを歩いていると、僕の前を歩いている方が、
「すみません。九条ってどっちの電車に乗ればいいですか」
と僕に聞いてきた。
「3番線の東花園行に乗れば大丈夫ですよ」
即答できた自分にびっくりした。些細なことではあったが、念願の人助けができた。本当に嬉しかった。
何気ない電車でのシーン。今日も思いやりが溢れていた。
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