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スタートアップ系社労士が本音で語る 『一流の人事労務は空気を読まない』 について
こんにちは!
クマ吉です😄
突然、謎のタイトルをつけて記事を公開しましたが(笑)、決して冗談ではなくクマ吉自身が約15年の人事労務経験のなかで確信しているもっとも重要な要素の一つであり、今回はこちらをテーマに本音ベースでお話してみようと思います。
ちなみに、クマ吉が一流の人事労務人材である!といった趣旨では全くありませんので、念のため補足しておきます😌
(もっと努力して一流になれるよう頑張ります!🐻)
まず前提として、ここでいうところの『空気を読まない』というのは「空気を読めない」とは異なります。
そして、「一流の人事労務」というのは、人事労務の仕事を通じて、企業と従業員の双方(全体)にとって良い結果を導くことであり、決して場当たり的で短期的な目線ではなく、中長期的な目線での高い貢献をすることを意味しています。
、、、といっても、よく分からないと思いますので、具体的な事例を挙げて詳しく解説していきます!
事例)役員から「能力不足の新入社員を解雇したいんだけど・・・」と相談を受けた場合
この手の話は、おそらく人事労務の仕事をされている方であれば、誰もが一度は聞いたり自ら対応した経験があるのではないでしょうか😇
ちなみに、クマ吉はそのような相談について、大小を問わずに簡単な質問レベルも含めると、今パッと思いつくだけでも少なくとも過去に30件以上はあったかと思います😅
また、こうしたケースは大企業ではない中小企業や急成長中のスタートアップ企業にはよくある話で、新卒入社ではなく即戦力として採用された中途入社の社員を対象としたものが多いのではないでしょうか。
、、、で、このような相談を受けたとき、人事労務の担当者としてはどのような対応が適切なのかを考えてみましょう。
【ありがちな対応】自己判断せずに役員等の意向に従うのみで、ただ法令や裁判例を調べてどうやったら解雇ができるかを目的として進めてしまう
これは、特に実務経験が比較的浅い担当者によくある対応でもありますが(クマ吉も以前は無意識的にそうなっていた可能性あり)、初期対応としては「企業側(役員等)」かつ「短期的な目線」にかなり偏った対応といえるでしょう。
なぜなら、役員から相談を受けた時点では、対象となる新入社員が本当に能力不足なのかの事実確認すらまだ出来ていない状態にも関わらず、最初から「どうやったら解雇ができるか」を目的として捉えて対応を進めてしまっているからです。
もちろん、本当にその新入社員が雇用契約上で定められている基本業務を履行できる能力が著しく不足している可能性もありますが、実際には本人やその周辺メンバーへ客観的な立場からヒアリングしてみると、実は全く別のところに課題があった(新入社員の能力不足ではない)ということも多かったりします。
※クマ吉が実際に対応してきたケースでは、9割以上がこのパターンでした
しかし、先ほどのように何も考えず最初から役員の意向のみに従って、新入社員の能力不足が課題であると決め打ちして対応を進めてしまった場合には、新入社員本人にとっては納得のいかない対応にもなりがちで、メンタル不調に陥ってしまうことや、労務トラブルに発展することもあるでしょう。
また、結果として退職になってしまうと、もちろん本人にとって不本意な結末となるだけではなく、企業にとっても採用費などの高額なコストをかけてせっかく採用できた人材を手放すことにもなってしまいます。(能力不足ではなかった場合はなおさら)
さらには、今のSNSが当たり前の時代において、退職した後にも本人がこの企業に関するネガティブな内容を外部へ発信したり、転職先や同業者の知り合いにも企業にとってマイナスとなるような情報が伝わってしまうなど、企業側にとってもレピュテーションリスクを含めて大きな支障が出ることも十分に考えられます。
そうならないためにも、まずは事実確認のプロセスをきちんと行った上で、本質的な課題の抽出とそれに対する適切な協議と必要な対応ができれば、安易に解雇や退職勧奨といったような手段を検討することもなくなり、中長期的な目線においても企業と従業員の双方が幸せになる結果へと導くことができます。
では、人事労務の担当者として、相談があった役員や一部関係者に対して「解雇を前提として進める前にまずは事実確認からやりましょうか」といった冷静な対応が普通にできるものなのかというと、なかなか難しい側面もあったりします。
なぜなら、常に売上などの数字を必死に追っている事業サイドや経営サイドの立場からすると、想定していた成果が出ないメンバーに対してはより厳しい目線での対処をなるべく早く進めたい、といった短期的な目線での意向が必要以上に強くなっていることも少なくないからです。
そして、人事労務の担当者自身も企業に雇用されている身である為、自分の人事評価への悪影響なども気にしてしまい、役員などの企業内で強い権限を持つ側の意向とは異なる意見は言いづらかったりすることもあるでしょう。
なぜ「空気を読まない」が一流なのか?
一方で、一流の人事労務の対応としては、仮に立場の強い役員を含めた関係者全員が「この新入社員は解雇すべきだ!」という全会一致の雰囲気がすでに醸成されている状況であっても、「いや、まずはしっかりと事実確認・把握のプロセスからやるべきです」と冷静にはっきりと提言することが求められます。
そして、こうした毅然とした対応が出来る人は、決してその場の雰囲気や周囲の感情・意向のみに流されることがなく、あくまでも本質を捉えて客観的な立場での冷静かつ的確な判断ができる実力者であり、見方を変えるといい意味での「空気を読まない人」ともいえるでしょう。
ちなみに、こうした空気を読まない対応をすると、一時的にはその企業の中で孤独な立場となってしまったり、精神的な負担がかかることもある為、人事労務業務の豊富な知識と経験を持っている人でなければこの姿勢を貫くのはなかなか困難だったりもします。
従って、このように自身の立場やその場の空気のみを優先せずに、常に冷静な立場で本質を捉えてブレずに対応ができるということは、人事労務の仕事においてもっとも求められている能力の一つでもあり、それが一流であることの証ともいえるのではないかといつも思っております😉
最後に
今回のテーマはなかなか言語化することが難しいテーマだなぁ、とあらためて感じながら記事にしてみましたが、おそらく同じことを思っている方も実は結構いるのではないか、ともずっと考えていました😇
クマ吉自身、過去にやはり同じシチュエーションで一時的に自らに対する評価や立場にマイナスの影響が出ているなぁ、と感じたこともありましたし、大きなストレスがあったことも記憶しています。
しかし、短期的には上記のような厳しい状況になったこともありましたが、今振り返ってみると間違いなく、その当時には意図的に空気を読まない対応をしたことで、不要な労務トラブルも発生せずに全体にとってベターな結果を導けたとも思っています。
また、そうした姿勢を崩さずにクマ吉なりのプロ意識を持って仕事を続けてきたことで、今ではありがたいことに周囲から色々と頼っていただけるようにもなりましたので、これからもいい意味での「空気を読まない」(笑)は忘れずに続けていきたいところです😌
ということで、なかなか伝わりづらい内容が多かったかもしれませんが、人事労務の実務に携わる方々にとって少しでもお役に立てる参考情報となりましたら幸いです。
それでは、今日はこのへんで☺️
またね〜!
クマ吉