【7/8の日記】のうてんきな青二祭に行ってきたよ
私は夏に弱い。暑さというより湿気に弱いのだ。前世は煎餅だったのかもしれない。つまりは日本の夏とそりが合わない訳で、夏に、しかも昼間に外出するなど正気の沙汰ではないと思っていたのだが、この炎天下に原宿へ向かう事になった。勿論、のうてんきな青二菜のグループ展の為である。
のうてんきな青二菜というのはイラストレーターのグループで、のうさん、はまなかひろむさん、さかもとこのみさんの三人である。三人とも可愛くてシュールな絵を描くのだが、全員シュールの方向性が違う。シュールといってもこんなに種類があるのか、と驚かされたものである。勿論、サルバドール・ダリやルネ・マグリットとも違うシュールさである。それが三人揃って展示をやるというのだから行かない訳にはゆかぬ。
会場に入るなり、さかもとこのみさんがニヤリと笑って「どれからやります?」と言った。このグループ展、企画が多すぎるのである。ミスのしょぼさを競う「しょぼいミス選手権」、自らの葛藤をはまなかさんの名刺の裏に書いて投稿する「葛藤のコーナー」、ガチャガチャにぐちゃぐちゃにフォトスポットまである。
これは少々説明が必要で、何故名刺の裏に書くかと言えば、はまなかひろむさんは元々「駆け抜けるおにぎり」さんだったのである。それが「はまなかひろむ」さんに改名した訳であるが、その際に改名前の名刺が大量に余ってしまったらしい。それで投票用紙にして消費しようという事らしかった。なにも投票用紙でなくたって良さそうなものであるが、まあそこは本人の自由である。そして何故葛藤を書くかと言えば、はまなかさんは常に葛藤している事で(一部に)有名だからである。自分も参加したかったのだが、何しろ単細胞なので葛藤することが何もない。仕方なく「葛藤がない」と書いて投票した。のうてんきな青二菜より、自分の方が余程のうてんきである。
そして多くの人が、ガチャガチャはわかってもぐちゃぐちゃはわからないであろう。これは、イベントでガチャガチャをやりたい、と言っていた三人が、中に何を入れるか思案した挙句「無理にカプセルに入れるとぐちゃぐちゃになる」という事に気付き「ではぐちゃぐちゃでよかろう」という謎の結論に達した結果なのである。
実際のぐちゃぐちゃはどのようなものかと言えば、ぐちゃぐちゃに丸められた紙が箱に詰まっている。それを客はおみくじのように引く。そして紙を広げると、イラストやらミニエッセイやらおみくじやらが出て来るのである。これがなかなかに楽しい。種類が多く、今度は何だとワクワクしながら引いた。
そして「しょぼいミス選手権」というのは、その名の通りミスのしょぼさを競う企画なのであるが、これが実に難しい。しょぼいかしょぼくないか、判定を下すのはのうさんなのであるが、これがなかなか「しょぼい」と判定してくれない。代わりに「ダサい」「可愛い」といったような判定が出て来る。二択ではないのである。参加者は必死になってしょぼさを主張し、「しょぼい!」と言われると本気で喜ぶという異常事態が発生する。しょぼいと言われて客が喜ぶというのはこの企画ぐらいだろう。前代未聞である。
だが前代未聞はまだ続く。ぐちゃぐちゃの中には当たりがあって、それを引き当てるとチェキ券をゲット出来るのであるが、それが「三人のチェキを撮る権利」なのである。つまり当方はカメラマンである。どういうチェキ券だ。
そして会場にはぐちゃぐちゃの他に本物のガチャガチャもあった訳だが、かつて三人がガチャガチャをやろうとして断念し、ぐちゃぐちゃに切り替えた経緯を知っている身としては感無量であった。思わず後先考えず回しに回し、四つもダブらせてようやくコンプリートした。なお、一つは交換してもらったものなので、ポールポジションさんに感謝である。
Youtubeラジオのサムネイル画像が展示されていたのが個人的には嬉しかった。全てではないのが残念であったが、展示を眺めて「ああこれこれ、この回は……」と思い返すのも楽しかった。どの絵も可愛らしく、眺めているだけで楽しい。やはりこの三人の真骨頂は絵である。その個性の強さや面白さに引っ張られがちであるが、この三人の魅力はやはりそのイラストの可愛らしさと独自性なのである。
楽しみにしていたラジオ公式ブックを買い求め、グッズを買い、三人のフレンドリーでありつつ礼儀正しい対応に感動しながら会場を出る。あまりの楽しさに二日連続で行ってしまった。二日目には、私が会場を出る際に三人が集まって「ちゃんと野菜も食べろよ~!」「お味噌汁も飲めよ~!」「足洗って寝ろよ~!」と、ラジオの最後の挨拶で送り出してくれた。心憎いばかりの演出である。沢山のグッズと楽しい思い出を抱えて電車に揺られながら、これは自分にとっての夏祭りであったのだなあと後から気が付いた。
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