冬に現れるカモたち(2) 潜水ガモ・ハジロ属
陸ガモについて記載しましたが、次は潜水ガモについて記載したいと思います。
カモは、水中に潜らない陸ガモと水中に潜る海ガモに大別されます。さらに海ガモは、潜水して水底で水草などを採食する潜水ガモと潜水して魚を捕えて食する採魚ガモに分かれます。潜水ガモはハジロ属に属するカモ達、採魚ガモはアイサ属・ミコアイサ属に属するカモ達です。
関西で安定的に観察できる潜水ガモは、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモの3種です。
シベリアなどユーラシア大陸の北部で繁殖し、冬季に冬鳥として飛来し、海辺や河口、湖沼などの水辺で冬を過ごします。
ホシハジロは、体長約48cm。オスは、頭・首が赤褐色、胸・尾が黒色、背・腹が灰色で黒色の細い縦縞があります。嘴は黒色に灰色の帯、眼は赤色です。メスは、全体的に褐色です。
ホシハジロを漢字で表すと「星羽白」。白色の羽は背や腹の灰色部分を指すと思われますが、星は何か表すのかと調べてみると、灰色の背中にある黒色の縦縞が星のように見える、眼の赤色が星に見えるの説があるようです。両説とも、しっくりとはきません。「アカハジロ」がぴったりきますが、既にアカハジロは命名されていて、ホシハジロになったのではと考えてしまいます。
キンクロハジロは、体長約44cm。オスは、頭が黒色で紫色の光沢があり、胸、背、尾が黒色、腹が白色、嘴が灰色、眼が黄色です。オスの外見上の特徴として、後頭部から寝ぐせのような長い冠羽があります。メスは冠羽が短く、頭が黒褐色、頭以外は褐色です。
キンクロハジロを漢字で表すと「金黒羽白」。金色(黄色)の眼と黒色と白色の羽から名付けられています。
スズガモは、体長約46cm。オスは、頭が黒色で緑色の光沢があり、胸、背、尾が黒色、腹が白色、嘴が灰色、眼が黄色です。キンクロハジロのオスと似ています。頭の緑色の光沢は、光のあたる具合で、黒色に見えます。メスは、全体的に褐色で、嘴の根本部分に白い斑があります。
スズガモを漢字で表すと「鈴鴨」。飛ぶときの羽音が鈴の音に似ていることから名付けられたようです。
潜水ガモも、陸ガモも、同じように水面に浮かんで、ぷかぷかと泳いでいますが、潜水して採食する潜水ガモと水面や陸上で採食する陸ガモでは、特性に応じて、体型が異なるので、外見を見れば、潜水ガモかどうか判別できます。
潜水ガモは、海に潜るために体重が、陸ガモより重いようです。同じぐらいの大きさのヒドリガモとホシハジロを比べると、0.7kg程度のヒドリガモに対し、ホシハジロは1kg程度の重さがあります。
体重が重い分、水面に浮かぶと身体が沈みます。陸ガモは、尾羽が水面の上に出ているのに対して、潜水ガモは、尾羽が水の中に浸かっていることがよくあります。
また、潜水ガモは水に潜った時に足で水を掻いて、進みます。効率的に足の動きを推進力に変えるためだと考えられますが、足が胴の後ろの方についています。一方、陸ガモは胴の中心部分に付いています。
潜水ガモが陸の上にいることは珍しいのですが、潮が引いた時の砂地などにいる場合があります。よちよち歩きをしているような歩き方です。
潜水ガモの観察は、実はあまり面白いものではないと感じています。潜水ガモは、夜行性なので昼間は寝ているか、のんびり水面を移動しているぐらいです。また、陸ガモは水辺など比較的近いところで休憩しているのに対して、潜水ガモは海上で休憩しているので、姿をよく見れません。
私の自宅近くの川では、上流から歩いて行くと、まず、留鳥のカルガモが現れて、河口近くになるとヒドリガモやオナガガモがいます。さらに歩いて、海まで出ると海上にホシハジロやキンクロハジロがいます。ヒドリガモやオナガガモは、間近で見ることができますが、ホシハジロやキンクロハジロは、双眼鏡で見ても、豆粒という感じです。
こんな感じで、潜水ガモを観察しています。