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私にとっての冬告鳥 イカル
裏山で、秋になると「ヒーホーヒー」の鳴き声が響いてきます。そして、十数羽の野鳥が旋回して、高い木に止まります。鳴き声の主は、イカルです。私にとって、裏山のイカルの鳴き声は、ジョウビタキの飛来と共に、冬の訪れを教えてくれる冬告鳥です。
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とはいえイカルは、国内に一年中いる留鳥です。但し、繁殖は山中の森林で行うので、春になる山中に移動し出会う機会が少なくなります。季節が進んで、冬が近づいてくると低山や平地に移動してくるので、出会う機会が多くなります。
イカルは、体長約23cm。大きい黄色の嘴が目立ちます。頭部から喉は濃い紺色。胸・腹・背・翼は灰褐色。翼の先・尾羽は光沢のある紺色。翼の先に白色の斑紋があります。オス・メスとも同じ配色です。
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イカルは、アトリ科の野鳥の一種です。アトリ科には、アトリ、ウソ、イスカなど由緒がある個性的な名前の野鳥が多いと感じています。イカルもまた由緒がある名前です。
イカルの名前の由来をネットなどで調べると、①大きな嘴から、②鳴き声から、③斑鳩の地からの3種の説があるようです。
①は、イカルの大きな嘴の黄色の部分の稜線が鋭角に曲がるとことから稜起角(いかるかど)と呼ばれるようになり、イカルドに転じて、イカルになったという説です。
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②は、イカルの鳴き声が、「イカルコキー」と聞こえるので、イカルになった説、③は、奈良県の斑鳩の地に多く群れがいたので、イカルと名付けられた説です。
③については、斑鳩町のホームページで、斑鳩という名前の野鳥がこの地にいたので、斑鳩と名付けられたと書かれています。斑鳩(地名)からイカルと名付けられたのでなく、イカルから斑鳩(地名)が名付けられたようです。
残るは、①説と②説ですが、イカルを漢字で表すと「鵤」で、角(かど)の鳥と考えられるので、①説が有力かと思います。
斑鳩の地は、推古天皇9年(602年)に斑鳩宮が作られており、この頃には既に斑鳩と呼ばれています。斑鳩の地がイカルから名付けられたとすると、その頃、既にイカルと呼ばれていたことになり、1400年より前に名付けられたことになります。斑鳩の地で活躍した聖徳太子もイカルという名前の野鳥を見ていた可能性もあり、そう考えると、イカルという名前は長い歴史のある名前ということです。
私にとってイカルは、冒頭にも書いた通り、冬鳥のイメージです。裏山でも夏、繁殖していますが、殆ど姿を現しません。遠くから鳴き声が聞こえてくる程度です。
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一方、秋になると裏山に頻繁に姿を現すようになります。イカルは、大きな嘴で、木の実を割って食べるので、冬の観察は木の実を食べに現れた時です。十数羽から数羽の群れになって、現れ、木の実を食べています。登山道などを歩いているとムシャムシャと何かを食べる音が聞こえて、木の上の方向を見るとイカルの群れがいるということが、よくあります。
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冬の時期には、都市公園など平地の公園でもイカルは現れます。「ヒーホーヒー」の鳴き声が聞こえてきたら、鳴き声の方向の木の上に目をやれば、イカルの群れを発見することができます。
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また、木の実がなくなると地面に降りて、採食しています。大概、群れで行動しているので、複数羽で降りてきます。
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私がイカルをよく観察する海辺の公園では、3月ぐらいになるとイカルが集まってきます。皆んな、揃って移動するのかも知れません。
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こんな感じで、イカルを観察しています。