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砂浜を疾走する野鳥 シロチドリ
夏を代表する野鳥として、コアジサシについて記載しましたが、シロチドリもコアジサシと同様に私にとっては、夏の野鳥のイメージです。その理由は、コアジサシが営巣する砂浜で、シロチドリも同じように営巣し、コアジサシとシロチドリはセットで観察するからです。ただ、シロチドリは、留鳥として1年中、観察できるので、厳密には、夏の野鳥ではありません。
シロチドリについて書いてみたいと思います。
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関西で、シロチドリは、海辺の砂浜や干潟で、1年中、見ることができる留鳥です。
シロチドリは、体長約17cm。雌雄同色ですが、オスは濃いめの色なので、オスとメスは見分けがつきます。
頭・背・翼が薄い褐色、額・頬・眉斑・喉・胸・腹が白色です。嘴から後頭部に続く、灰褐色の眼過線があり、首の周りに帯があり、後ろ側に白い帯、前側に灰褐色の帯があります。
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前側の帯は、胸の前で繋がらず途切れているところが、シロチドリの見分けポイントです。
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また、足が長く、パッとみると立ち上がって、警戒しているように見えます。
オスの過眼線・前側の帯は黒っぽい色をしていて、額の一部が黒色です。この点で、オスとメスを見分けることができます。
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シロチドリを漢字で表すと「白千鳥」。
「千鳥」は、チドリ科の野鳥を意味し、「白」は白色。白色のチドリ科の野鳥ということです。確かに、シロチドリは、他のチドリと比べると白色が目立つように思います。
「千鳥」は、千羽の鳥を表し、大群で行動することから名付けられたようです。シロチドリが、冬場に砂浜で10羽以上で現れて、集団行動している姿は、千鳥という言葉にピッタリ当てはまります。
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シロチドリも、コアジサシと同様に繁殖地の砂浜や砂地が少なくなってきているので、生息場所が減少して、数が減少しているようです。
関西でシロチドリは、1年中、海辺の砂浜や海岸沿い、水が少なくなった池や川辺でみることができます。
私がシロチドリを観察するのは、例年同じ場所です。春から夏にかけての繁殖時期は、コアジサシが営巣する砂浜でシロチドリも営巣するので、コアジサシと同時に観察します。
繁殖時期以外の秋から冬にかけては、砂浜や河口の砂地で観察します。毎年、10羽以上の群れが現れます。
シロチドリは、砂浜や砂地の地面を少し掘って窪みを作って、貝殻や小石を敷いた巣を作って卵を産みます。抱卵中のシロチドリは、単に砂地に座っているように見えます。
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抱卵中のメスの近くでは、オスが見守っています。
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3週間程度で孵化し、すぐに歩けるようになるようになり、親鳥と一緒に行動するようになります。孵化して、そんなに時間が経っていないと思われる雛鳥も素早く歩いている姿を見かけます。
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シロチドリの雛鳥は、親鳥から食べ物をもらわず、自分で食べ物を探し、食べるようです。
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確かに、親鳥から食べ物をもらっている姿を見たことはなく、親鳥の後を数羽の雛鳥が追いかけて、立ち止まっては、何かを食べて、また、親鳥についていくという姿を見ます。
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同じ場所で、繁殖しているコアジサシが孵化してしばらくの間、親鳥から食べ物をもらって、足元もおぼつかないのに対して、シロチドリの雛鳥は、しっかりした足取りで歩いているのは対照的です。
雛鳥の羽は砂地と同化して、また、くぼみや流木、石や草の陰に隠れてじっと身を屈めているので、見つけ出すのは困難です。2〜3m先にいるのに発見することができず、動いてくれてやっとわかります。
繁殖時期以外では、砂浜や海辺に行くと出会うことができます。数羽のシロチドリが波打ち際や潮が引いた砂地などで、食べ物を探しています。
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(2022/1/23)
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シロチドリがいることに気づかずに近づいていくと、「ピルピルピル」と高い声で鳴きながら飛ぶ立つ姿に遭遇します。
ほとんどは、少し先に降りて、また、食べ物を探しています。今度は、ゆっくり静かに近づくとシロチドリの食事の様子を観察することができます。
シロチドリを観察していると、個性的な動きをしていることに気づきます。人の眼では追いかけられないような猛スピードで走っては、急停止。立ち止まって、キョロキョロと大きな眼で周囲を見回し、突然、方向を変えて走り出し、虫などの食べ物を嘴で捕まえて、食べています。
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食べられる方からすると、あまりに急激な動きすぎて、逃げる暇もないという感じです。
チドリ(千鳥)は、大群で行動することから名付けと言われる通り、群れて行動しています。
冬の砂浜で、シロチドリが群れで行動する姿をよく見かけます。十数羽のシロチドリが一斉に同じ方向に走り出し、一斉にとまる。そして、うずくまって砂の中に身を隠して、しばらくするとまた走り出すという姿を見ます。
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こんな感じでシロチドリを観察しています。