青葉の季節のフクロウ アオバズク
梅雨があけて、夏本番になってくる7月中旬頃から観察できるのが、フクロウの1種であるアオバズクの幼鳥です。例年、幼鳥を見るために暑い中、観察に出かけます。
今年も、アオバズクは4箇所で観察し、2箇所で幼鳥と出会えました。
アオバズクを漢字で表すと「青葉梟」。青葉が生い茂る季節に現れるフクロウということです。
アオバズクは、東南アジアで越冬し、春になると日本に戻ってきて、繁殖します。全長約29cmで、全長約50cmのフクロウと比べると小型です。
アオバズクは、頭部から背、尾、翼は褐色の羽で覆われ、腹部は白色の羽の中に褐色の羽が混じります。ちょうど、縦縞に見えます。虹彩は黄色です。
オスとメスは、同色ですが、オスは翼が長く、腹面の縦縞が太くなるようです。
メスの腹の褐色の羽は、見る位置によって、ハートマークに見える場合があります。
アオバズクは、樹洞に巣を作り、抱卵はメスだけが行います。オスは、メスのために食べ物を運びます。ただし、夜行性なので、昼間は動いている姿は見られず、巣の近くでじっとしています。
抱卵を開始して、約25日で雛が孵ります。孵化して最初の頃は、メスも巣の中にいますが、そのうち成長してくると、メスも巣からでます。様子を見に行くと、オスだけなのか、オスとメスの両方がいるのかで、状況がだいたい把握できます。
だんだん成長してくると、幼鳥が巣穴から顔を出してくれて、孵化から約28日で巣立ちします。巣立ちした後、親鳥が幼鳥を見守っています。
ある年は、先に巣から出た2羽の幼鳥をお母さんアオバズクが、後から出てきて、地面に落ちてしまった幼鳥をお父さんアオバズクが見守っていました。親の愛情を感じます。
巣立ちした幼鳥は、しばらく留まっていますが、そのうち親鳥と一緒に森などに飛んでいってしまいます。
アオバズクの観察は、抱卵開始から巣立ち、森への移動までの期間です。毎年、ほぼ同じような場所で観察しています。これまで8箇所の営巣場所で出会いました。神社の境内が5箇所、都市公園、大木、森林公園がそれぞれ1箇所です。周囲を民家に囲まれた都会にある神社の境内でも営巣しています。アオバズクは、身近で見れる貴重なフクロウです。
都会の神社でもアオバズクが営巣してくれるのは、食性が関係しているようです。アオバズク以外のフクロウの多くの種の主食がネズミなどの小動物であるのに対して、アオバズクの主食は昆虫です。昆虫を都会の神社でも集めることができるのであれば、街中でも営巣してくれるようです。
毎年、アオバズクの様子を観察するために出かけています。幼鳥が巣立ちするまでの間は、ほぼ動かない睡眠中のアオバズクの観察になり、たまに目を開けてくれたりする程度で、10分も観察すると飽きてきます。
巣から幼鳥が出てくると、親鳥は相変わらず動きがありませんが、幼鳥たちは、体を上下させたり、顔を円を描くように動いてくれるので、楽しませてくれます。
たまに、巣立ちした幼鳥が横に並んでくれたりしたら嬉しい気分になります。
こんな感じで、アオバズクの観察をしています。歴史がある神社では、人知れずアオバズクが営巣しているかも知れません。