地面で採食する冬鳥 ホオジロの仲間4種(1)
関西で見られる冬鳥に、アオジ、クロジ、ミヤマホオジロ、カシラダカの4種がいます。いずれもホオジロ属に属し、地上に降りて、落ちた種子などを食べる共通点があります。
アオジを漢字で現すと、「青鵐」。「鵐」(「巫鳥」)は、「しとど」と読み、ホオジロやアオジなどの小鳥を示す古い名前のようです。「青」は、昔から緑色を青と表現してきた名残で、緑色のホオジロの仲間ということです。
クロジを漢字で現すと、「黒鵐」。こちらは、黒色のホオジロの仲間ということです。
両方の読み方からも、歴史を感じます。青鵐(アオシシド)・黒鵐(クロシシド)が、時間経過の中で、アオジ・クロジに変化したのではないかと思います。
ミヤマホオジロを漢字で現すと「深山頬白」。「深山」という漢字から山深い場所にいるホオジロと考えてしまいそうですか、この場合の「深山」は遠隔地を指すそうです。遠い場所にいるホオジロという意味です。昔、朝鮮半島では繁殖が確認されていたが、日本では確認されていなかったから、名付けられたようです。
カシラダカを漢字で現すと「頭高」。興奮すると冠羽を立たせるので、名付けられたようです。ただ、ミヤマホオジロも冠羽を立てます。
「鵐」という言葉は、日本書紀天武天皇9年(680年)に「攝津國貢白巫鳥」(摂津国から白い鵐が献上された)とあり、白化したアオジなどの鵐が珍しくて、献上されたということではないかと思います。
アオジ、クロジは、飛鳥時代には名前の原型があったと思われます。一方、ミヤマホオジロは、朝鮮半島で繁殖が確認されて、日本では確認されていないから名付けられたとあるので、鳥類が分類され、日本と朝鮮半島で、野鳥の情報が交換されるようになった後と考えられるので、新しく命名であったのではないかと思います。
ホオジロの仲間の4種の漢字表記や名前の由来を書きましたが、日本の命名は、結構、適当。名付けられた名前は、そのまま使われ、新たな種が発見されれば、外形や特徴で名前をつけるというように思えます。
英語の命名は、どうなんだろうと思って調べてみると統一性があるように思えます。4種が属するホオジロ属の野鳥には、"Bunting"の名前がついています。
Buntingは、旗布・細長い旗などの意味のようですが、ホオジロ属とは繋がりません。さらに、Buntingを調べるとBuntの現在分詞ということ。Buntは、突く、押す、頭突きするなどの意味があり、ホオジロの仲間たちが、食べ物を探すために地面に降りて、頭を下げて、歩き回る姿が頭突きする姿に見えたからと考えると納得できました。
アオジが"Black-faced bunting"(顔の黒いホオジロ属)、クロジが、"Grey Bunting"(灰色のホオジロ属)、ミヤマホオジロが、"Yellow-throated bunting"(喉が黄色のホオジロ属)、カシラダカが、"Rustic Bunting"(田舎にいるホオジロ属)になります。
ついでに、学名も調べてみると、ホオジロ属は、"Emberiza"と冠します。"Emberiza"の語源をネットで検索してもわからなかったので、ChatGPTに問いかけてみると、以下の通りでした。この回答が正しいかどうかは、わかりませんがホオジロの姿を見ると納得できます。
学名では、アオジが、"Emberiza spodocephala"(灰色の頭のホオジロ属)、クロジが、"Emberiza variabilis"(変化に富んだホオジロ属)、ミヤマホオジロが、"Emberiza elegans"(優雅なホオジロ属)、カシラダカが、"Emberiza rustica"(田舎にいるホオジロ属)です。
野鳥の名前の由来を調べると、興味深いところがあります。
4種の関西での観察については、次の記事に記載します。