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森の宝石 ブッポウソウ

 ブッポウソウは、青色の光沢のある翼から「森の宝石」と呼ばれています。絶滅危惧種に指定されている貴重な野鳥です。

 ブッポウソウは、体長約30cm。スズメの倍ぐらいの大きさです。頭部は黒っぽい色で、尾や翼の先端が黒色、喉が群青色で、残りの背中、胸、腹、翼が光沢のある青色、嘴・足が橙色です。光の具合で青色が緑色に見えたりして、色鮮やかな野鳥です。この点で、「森の宝石」と呼ばれているのだと思います。

ブッポウソウ(2023/5/20)
ブッポウソウ(2023/5/20)
ブッポウソウ(2023/5/20)

 また、翼の風切羽に白い斑紋があり、飛翔しているときに、白い斑紋が目立ちます。

ブッポウソウ(2022/7/10)
ブッポウソウ(2022/7/10)

 ブッポウソウは、東南アジアで越冬した後、春に日本に戻ってきて、繁殖します。
 従来、里山の樹洞などで営巣していましたが、開発により里山が減少し、ブッポウソウの飛来が少なくなっています。それでも、森林での営巣場所が少なくなった代わりに、木製の電柱を使って営巣していましたが、木製の電柱からコンクリート製の電柱に代わっていったことで、ブッポウソウの営巣場所がなくなり、飛来数が大幅に減少しています。よって、絶滅危惧種の指定がされたのだと思います。

 そんな中、電柱に巣箱をかけることで、ブッポウソウの飛来数を増やそうとする取り組みが行われています。確実に成果を上げているのが、岡山県吉備中央町です。吉備中央町では、街ぐるみで巣箱をかけ、ブッポウソウを守っています。
 日本に訪れるブッポウソウの3分の1が、吉備中央町に現れるということです。

 私がブッポウソウを観察するために出かけるのが、吉備中央町にある「横山様」です。野鳥が大好きな人には、横山様で十分通じますが、知らない人には、「横山様?」誰?という感じと思います。
 「腰痛の地蔵尊横山様」と看板が掲げられています。腰痛に効果があるお地蔵様が横山様と呼ばれ、祀られている祠がある場所にブッポウソウの巣箱が設置されています。ブッポウソウに負担をかけないように、目隠した観察場所が設けられています。

腰痛の地蔵尊横山様(2019/7/3)

 営巣場所を選んでいる時期と、雛鳥が孵化して食べ物を運ぶ時期にブッポウソウを見ることができるので、観察に出かけます。

 雛鳥に食べ物を与えるのいつも同じような行動です。

①食べ物を咥えた親鳥は、巣箱に飛んでいくことができる少し離れた枝にとまります。

アブラゼミを捕まえてきた親鳥(2022/7/10)

②巣に向かって、一直線で飛んでいきます。

巣に向かって飛ぶ親鳥(2022/7/10)
巣に向かって飛ぶ親鳥(2022/7/10)
巣に向かって飛ぶ親鳥(2022/7/10)

③巣穴から顔を突っ込み、食べ物を渡します。

巣箱に顔を突っ込む親鳥(2022/7/10)
巣箱に顔を突っ込む親鳥(2022/7/10)

④食べ物を渡し終わると反転して、飛びます。

反転して飛ぶ親鳥(2022/7/10)
反転して飛ぶ親鳥(2022/7/10)

⑤枝に戻ってきます。

枝に戻ってきた親鳥(2022/7/10)

 だいたい、こんな感じの給餌を行なっています。

 ある年は、顔を出していた幼鳥に食べ物を与えず、立ち去りました。巣立ちを促しているのか、他の幼鳥に食べ物を与えたかったのかは、わかりません。

枝にとまる親鳥(2015/7/11)
食べ物を運んできた親鳥(2015/7/11)
幼鳥に食べ物を与えない(2015/7/11)
幼鳥に食べ物を与えない(2015/7/11)
食べ物を与えず飛び去る親鳥(2015/7/11)
巣箱の横の電線にとまる親鳥(2015/7/11)

 たまに、親鳥の2羽並びが見れます。

親鳥2羽並び(2022/7/10)
2羽並んでいた親鳥の1羽が巣に向かう(2015/7/11)

 ブッポウソウを漢字で表すと「仏法僧」。夜間に森の中から聞こえくる「ブッ・ポウ・ソウ」の鳴き声の主を誰もわからなかったが、仏・法・僧は、仏教が重んじる三宝を意味し、重要なものだから、青色に輝く鳥こそ、ブッポウソウにふさわしいと信じられてきたことから、ブッポウソウと名付けられました。

 ただ、ブッポウソウは、「ゲッゲッゲッ」と鳴き、「ブッ・ポウ・ソウ」とは鳴きません。実際はコノハズクの鳴き声です。この話も、野鳥話のあるあるネタの1つです。

「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴いているのはコノハズク(2023/7/23)

 ブッポウソウの観察は、吉備中央町のブッポウソウ保護のおかげで、のんびり見ることができています。吉備中央町の方々に感謝です。

探鳥地名は、以下のいずれかに該当する場合、本文に場所を記載します。
・探鳥地が、野鳥の会ホームページなどに記載されて、広く知れ渡っている場合
・探鳥地が、野鳥観察を含めて自然観察を目的に作られた場所の場合
・探鳥場所自身が、ホームページなどで、野鳥が訪れることを公知している場合

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