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お部屋の大規模リノベーションにかける費用はどのくらい?

 物件の築年数が経過してくると設備の劣化が顕著になり、生活様式の変化から賃貸市場で求められる間取り、㎡数、設備の内容が変わってきます。

 今回は賃貸市場に求められている部屋に変えた時、いくらの金額をかけたら良いのか検討して行きます。

「現状賃料から考える」

 近隣の競合物件と自分の物件(部屋)を比較してリノベーションの内容を決めるという話を以前しましたが、賃料相場と比較して家賃が相場通り、つまりリノベーションを施して競争力は上げれても、賃料アップは大幅にできない場合は、現状賃料をもとに利回り、回収を考えます。


あくまで指標ですが、平均入居年数で考えます。日本賃貸住宅管理協会がインターネットによるアンケート調査を行っており、全国平均の入居年数は確認することだ出来ます。

平均入居年数年度 上期

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 市場データ 引用

 さらに自分の物件に即したデータがほしいのなら、各部屋の営業履歴を集め、入居申込書のコピーを管理会社から取り寄せ、入居者の属性と入居期間を割り出します。

 地域性や入居者属性もあるので、案外全国平均と違った数字になりかもしれません。

 そして一部屋あたりの平均入居年数がわかれば、大規模リフォームした場合の回収期間を設定します。
 

 例えば一般ファミリー物件の場合、17%は6年以上の居住。62.6%は4~6年居住。19.7%が2~4年居住。0.7%が1~2年居住というデータ見て取れます。

リノベーションをかけた時は次の入居で工事代金を回収したいですよね?


 結論から言うと最大で、3年分の賃料=リノベーション費と考えます。


最大ですので当然それを下回る価格で、価値の高いリノベーションができれば最高です。費用をかけすぎると回収が難しくなります。

例えば家賃60,000円、共益費3,000円、駐車場5,000円、合計賃料68,000円の物件で考えます。

・68,000円×36ヶ月=2,448,000円

表面利回り
・68,000円×12ヶ月=816,000円

816,000円(1契約年間収入)÷2,448,000円(費用)×100=33%

 表面利回りで33%の投資ということになります。リノベーション後のお部屋は入居者の満足度が高く、テナントリテンションの効果も期待できます。

 注意点として、皆さんよくご存じだと思いますが、賃貸経営の指標は表面利回りではなく、実質利回りがたいせつですよね?実質利回りの部屋割りで考えると以下になります。

実質利回り                             2,448,000円(費用)、年間収入816,000円(1契約収入)、物件保有諸経費(部屋割り)250,000円だったとすると、利回りはどうなるでしょうか?

 実質利回り=(816,000円ー250,000円)÷2,448,000円×100=23%

 ここに物件全体の空室率(部屋割り)を考慮すると(例えば2%)、物件所有諸経費率30%

実質利回り率=100%ー(空室率(部屋割り)2%+物件所有諸経費率30%)=68%

空室率ふくむ実質利回り=(816,000円÷2,448,000円×100)×68%=18%
 

 こう見てみると、かかる費用を引いて実質の手取りでみると、

3年分の賃料ベースでリノベーションした場合、回収に5年半かかる事がわかります。

 一般ファミリー物件では先述したように17%は6年以上の居住。62.6%は4~6年居住です。回収もこの範囲でできる可能性が高いと考えられます。
一つの参考として考えていただければと思います。
また、「物件の資産価値から考える」リノベーションもあり、時間を見つけてまた書いてみようと思います。


ありがとうございました。

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熊谷 和彦
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