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居住用賃貸物件の退去後リフォーム

賃貸経営を行う上で大きな支出の1つが退去時のリフォーム費用になると思います。今回はその目的と費用の考え方について書いていこうと思います。


 賃貸経営を行っていると必ず発生するのが入居者の退去です。地域や物件によって違いはあるものの、年間解約率はシングルタイプで25%程度、ファミリータイプで20%程度だといわれています。10戸あれば年間2戸は解約が入るということです。

 リフォームの目的は賃料を維持、アップさせ「資産価値の向上」、入居希望者に訴求し「成約の達成」、賃貸仲介営業さんがアピールしやすくなり「成約率の向上」ではないでしょうか。


 退去が発生し、次の募集活動に向けてお部屋の修繕をしますが、ここで修繕とひとくくりで考えるのではなく、「原状回復工事」と「バリューアップ工事」と2つに分けて考えます。

「原状回復工事」とは?


 この工事は契約書の引渡の条項にも有りますが、賃借人は契約当初のお部屋の姿に戻して賃貸人に返還する義務を負っています。

 ここでは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿った形で賃借人に過失が有った場合、費用負担していただき、それ以外の部分がオーナー様の負担部分になります。

 つまり「契約が始まった日」の状態に戻す工事ですね。ですが築年数が経過してくると、いくら原状回復にお金を掛てクロスを白く綺麗にし、水廻りを同等品に変えても、なぜか古臭さが残ります。それは新築当時にトレンドであった間取り、設備が今日のトレンドとは必ずしも言えないという事です。

「バリューアップ工事」とは?


退去が発生して原状回復のタイミングで今のトレンドに合ったお部屋(商品)を作る工事になります。

 工事の種類はさらに分かれ、金額のかかる順番で「リノベーション」、「設備リフォーム」、「ワンポイントリフォーム」に分けます。

 これらの工事を施工することにより、賃料に対して入居者が感じる「お得感」を感じてもらい、さらにお部屋の魅力が高まり退去を防ぐ効果もあります。

 注意点としては、お金をかければ最新のトレンドでいいお部屋が出来ます。しかし賃貸経営として考えると、空室期間を短縮し、家賃収入で投下した費用を回収しなければなりません。

 ここで指標となるものは、部屋の家賃、初期費用、必修設備、人気設備、建物設備、プロモーション(お部屋の広告)を近隣の競合物件と比較してリフォーム工事を考えます。

 なぜなら見た目を最新のトレンドに変えて、ぱっと見た印象をよくしても、必修設備がついていなければ競合物件に負けてしまうからです。

 なので近隣と比較したお部屋の状態と回収できる金額(リフォームに掛けられる金額)をすり合わせたときに、工事変更する箇所の優先順位が決まります。

まとめ


・リフォームの目的は「資産価値の向上」、「成約の達成」、「成約率の向上」


・部屋修繕は「原状回復工事」と「バリューアップ工事」と2つに分けて考える。


・競合物件と比較し、自分の物件を分析する。競合物件に勝てる商品にする。


・どれくらいの期間で修繕費を回収できるか検討する

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熊谷 和彦
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