新幹線にて(part2)

駅弁を食べ終え、外を見てボーっとしていると女性に肩を小突かれた。

「は、はい…」

突然のことに驚く私。
女性はプリングスのサワークリーム&オニオン味を手に持っていた。
私はそのプリングスを見て、
(あ…食べてもいいか確認してくれたんだ)
と思い、
「どうぞ食べてください」
と答えた。
すると女性は笑顔になりプリングスを開けて食べ始めた。

再び外を見てボーっとしていると、また女性に肩を小突かれた。

「は、はい…」

今度は蓋の空いたプリングスをこちらに向けていた。
(食べます?ってことだよな)
と思い一枚もらおうと思ったが、このご時世である。
「大丈夫です。こういうご時世なんで」
と答えると女性は少し寂しそうな表情になったため、
「すいません。ありがとうございます」
と言った。

私が断ったことにより、私の女性の間に少し気まずい空気が流れた。
その空気に耐え切れなくなった私は、
「帰省ですか?」
と思わず質問してしまった。

女性は静かにうなずき、切符を見せてくれた。
行先には"広島"と書いてあった。
「あ…広島までなんですね」
と私が言うと女性は静かにうなずく。
「自分は博多までなんですよ」
と言うと女性は『へー』とでもいうような表情になっていた。

それ以上聞くことが思いつかなかった私は、目を閉じて寝ることにした。

目を覚ますと岡山駅についていた。
(だいぶ寝てたな…)
と思いふと隣を見ると女性はいなくなっていた。

(お手洗いにでも行っているんだろう)
と気にも留めずパソコンを取り出して作業を始めた。

しかし、女性は戻って来なかった。

新倉敷、福山、新尾道、三原、東広島と新幹線は進んでいくが女性は戻って来ない。

そしてついに広島駅に着いたが再び発射するまで女性を見かけることは無かった。

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#サワークリーム &オニオン
#彼女は何者だったのか

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