あと三歩
ある日の夜。
駅から家に向かって歩いていると、私の前をかなり酔った女性を男性が抱えて歩いていた。
女性は少し歩くごとに、
「もう歩けない。疲れた。おんぶ!おんぶ!」
と猫撫で声で男性に話していた。
それを聞いた男性は
「もう少しだから。もう少しで着くから」
と返答する。
1分ほどそのやり取りをしながら歩いた後女性が立ち止まった。
「もう歩けない」
そう言う女性に対して男性は、
「本当にもう少しだから。ね?」
と返す。
女性は引き続き猫なで声で、
「無理!あと3歩しか歩けない!」
それを聞いた男性は、
「分かった。あと3歩ね。はい、いーーーーーーーーち」
と言って女性を10歩ほど歩かせた。
「はい、にーーーーーーーーーーー」
と言ってまた10歩。
「はい、さーーーーーーーーーーん」
と言ってまた10歩歩かせた。
このやり取りを繰り返し進んでいく二人。
そうやって二人は夜に利用する大人のホテルへと消えてイった。
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