それを言っちゃ

私の職場には私と同じ役職の人が私を含めて三人いる。

4年目の”リーダー”
2年目の”先輩”
1年目の”私”

といった具合だ。

最近、リーダーと先輩がギクシャクしている。
いや、ギクシャク程度であればいいのだが、リーダーは先輩を嫌っていると言っても差し支えない状況だ。

二人の特徴を簡潔に述べると、
リーダーは、仕事に対して非常に実直でド真面目。
先輩は、2年目にしてはあまり仕事ができていない微ポンコツ。
まあ、こんな感じだろうか。

先輩は1年目の私からしてもちょっと意見を言いたくなる時がある。
例を挙げると
「今、それをやるときではないと思います」
という瞬間が幾度となくあるというか、仕事の処理の順番が悪いという感じだ。

そんな先輩をコントロールしなければならないリーダーにとっては、ペースを乱されるし鬱陶しい存在なのだろう。
更に最近では、仕事の処理の順番が甘いだけならまだしも、仕事の詰めも甘いということが起きてしまった。
それによって怒り心頭になったリーダーは先輩のことを一部の現場から外してしまったのだ。

私からしてみれば正直な話、いい迷惑だ。
先輩が入るはずだった現場も入らなければならなくなったし、先輩の詰めの甘い仕事のカバーもしなければならない。
ただ、イライラすることはあってもその先輩のことを私個人は嫌いではない。
悪意があってやっているわけではないことは分かるからだ。

そんな先輩のことをカバーしながら仕事に励んでいる日々の中で、上司とリーダーが話していたのを聞いた。
上「どうやったらちゃんとやんの?アイツ」
リ「いやもう何言っても無駄でしょ」

私は
「それを言っちゃお終いじゃん」
と思った。

確かに先輩はポンコツだ。
それは認める。
私自身も迷惑を被っているし、他部署にも迷惑の余波が出ているからだ。
ただ「何を言っても無駄」というのは言い過ぎだと思う。
というのも、私が働いている業界は若手の離職率が高い。
更に私が担当している役職は学生にも協力をお願いするほど人がいない。
そんな状況で2年目まで働いている貴重な人材の育成を諦めるというのは、この先の業界人を捨てるに等しい。
若手の離職率が高い大きな理由の一つは”できない人を切り捨てる習慣”にあると私は考えている。

確かに”できない人”を”できる人”まで育てるのは大変な労力が必要だ。
それをできないほどに忙しいというのも理解できる。
しかし、忙しいさや面倒くささ等を理由に育成を放棄してしまっては、自分と同等かそれ以上の”できる人”は登場しづらくなってしまう。
そうなると結果的に困るのは、今頑張っている”できる人”だ。
そこからは悪循環の始まりだ。
というか現状その悪循環の最中なのだろう。
このままでは最悪の状況が完成して全てがお終いになってしまう。
誰かがこの悪循環を断たなければならない。


上司やリーダーが建設的でない話をしているのを聞いた時にこう思ったという話。

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