逆にね
私の仕事の一つに
”職場の誰もが取ることのできるお菓子箱の中身を維持する”
というものがある。
お菓子を買ってきては空にならないようにお菓子箱に追加し続けるというものだ。
正直な話、かなり面倒な仕事だ。
やりがいが無いのかというとそういうわけではない。
「ありがとう」とか「このお菓子好きなんだよね」と職場の人の笑顔を見れたり、空腹からくるパフォーマンスの低下を防いでいたりと無意味なこととも言い切れない(?)。
ただ、そのちょっとしたやりがいを軽々と上回るほど面倒だと思っていることも事実だ。
なぜなら追加の頻度が尋常じゃないからだ。
人の欲というのは恐ろしいもので”タダ”で”誰かが勝手に”やってくれることに対して遠慮がない。
追加している最中でもお菓子を取るし、10割にしても1~2時間で2割ほどまで減っていることすらある。
私がその場にいれば感謝されることもあるが、基本的には追加した後その場に居続けることはないため、感謝を伝えられることの方が少ない。
また、私もそれ以外の仕事をしているわけで、2割の状態が続いてしまうことだってある。
この状態を見たときの職場の人の落胆さたるやお菓子を買ってもらえなかった子供のようだ。
私はそんな子供のような顔をする職場の人を見ていられないので、なんとか時間を見つけては職場の人が好きそうなお菓子を追加し続けている。
しかし、よく考えてみれば私の仕事は
”職場の誰もが取ることのできるお菓子箱の中身を維持する”
というものであって、職場の人の趣味趣向を捉えたお菓子を供給することではない。
それに満タンのお菓子箱を見るだけである程度だが職場の人を満足させることができることも分かっている。
つまり私が考えなければならないのは「いかにして10割状態のお菓子箱を維持するか」だ。
では、10割の状態を維持するにはどうすればいいか。
これまでの私はお菓子箱に気を配り続けある程度減ったら追加するという行動を続けるということをしていた。
ただこれは面倒だし他の仕事に集中できないため止めたい。
じゃあ、どうするのか…。
ここで逆転の発想だ。
そう。職場の人があまり好きではないお菓子でお菓子箱を満たすのだ。
こうすればお菓子箱を減らないお菓子で満たし続けることができる。
そうすればある程度の満足感を私の手を加え続けることなく職場の人に与え続けることができる。
完璧な発想だと思った。
まあ、引き続き職場の人が好きそうなお菓子を追加し続けているわけですが…。