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WKW4K「2046」不思議な違和感がようやく理解できた。

なんじゃこれ⁈

初めて見たとき、そう思った。
その時,私はまだ四十歳になったばかりで、出演当時の木村拓哉は結婚前で。いったい何が言いたいかわからない。キムタク出す必要なかったんちゃう? とも思った。

さて、18年ぶりの再会。
で、どう思ったかと言うと..


「あ、そういうことか」 と腑に落ちた。

気づいてます? 伝えたかったのは
記憶と、言葉の壁、ですよ。

プロローグはキムタクが日本語で語り、
エピローグは同じ言葉をトニーが広東語で語る 。2組のカップルが主軸のうち、ひと組はキムタク(日本語)×フェイ・ウォン(広東語)、もうひと組はトニー・レオン(広東語)×チャン・ツィイー(北京語)。2人の会話は自分だけの言語で話し、相手の言語は聞き取れない、理解できない。ところが、理解しあっているように芝居はすすみ、しかし肝心のところで気持ちは通じてない、最後まで全くキャッチボールになってない。

この不思議な違和感。深読みすれば、97年以降の香港みたいじゃないのか(勝手な妄想)。


私が、聞いてわかるのは劇中日本語と簡単な北京語、広東語は全くわからない。もし、日本語、北京語、広東語、全部わかる人がこの映画を見て面白いのかどうなのか、是非聞いてみたいものだ。
ちなみに、広東語話者どおしはトニー×カリーナ、トニー×フェイ、このペアは友情は生まれたが親密な関係には発展しなかった。また、シンガポールの黒蜥蜴ことコン・リーは北京語だった。余談だが、実際にコン・リーは後年シンガポール国籍をとったのよね。

さて、2046の近未来でも、いまも、
トニーはやはり、「花様年華」チャウ夫人を記憶から消すことができない。
そして、カリーナはやはり、「欲望の翼」レスリー・チャンの面影を追い求めてる。


記憶が常に堂々めぐりのように、
WKW監督作にある。
”あなたのいちばん大切な記憶とはなんですか“


WKW監督60年代映画は「欲望の翼」「花様年華」「2046」の三部作で絡まりながら終わりを迎える。あの「欲望の翼」謎めいたトニーのラストショットはここに繋がってたのね、と落ち着いた。タバコとポマードとギャンブルと男女の駆け引き、退廃のかほりがぷんぷん匂ういい映画だ。


2046  2004年 香港
監督:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、コン・リー、フェイ・ウォン,木村拓哉、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ

★★★▲3.5/5



2022年9月30日に閉館した #テアトル梅田 


地下に降りていく非日常な雰囲気の中、100名足らずのハコで、アジア映画やヨーロッパ映画に向き合えるこの空間が好きでした。


#ミニシアターありがとう  
#テアトル梅田お疲れ様でした

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