WKW4K “恋する惑星”と金城武と広東語
1995年 某映画館
そのとき二人の距離
わずか8000ミリ...
射抜かれてしまった、
金城武くんの漆黒の瞳と声に。
そして、王家衛監督ワールドに沼ってしまった。
今さら説明する必要もないだろう。アジア映画を愛する者たちの中で、ウォン・カーワイ監督は別格だ。
彼を初めて観たのは「重慶森林」ChungKing Express だ。この映画は二部構成で前半は失恋した刑事223号ことモウが片っ端から元カノへ電話をし、口説きまくるのだがうまく行かず、謎の金髪女やガンも飛び出すハードボイルドタッチだ。一方、後半は梁朝偉×王菲のコミカルなラブストーリーで,こちらの方は映画感想には事欠かないのでみなさんにおまかせしておこう。
この金城武くんに、恋に落ちてしまった。
それ以来、金城くんとやりたいことリストを作り、新作を見るたび更新している。
金城武くんリスト
第5番:手紙を書き灯台で待ち合わせる
長澤まさみ、羨ましいぜ
(2019年) The Crossing 太平輪
第4番:金城くんにマッサージしてもらう
『天使の涙』の豚さんに嫉妬 (1996年)
第3番:金城くんとサシで台湾茶を飲む
故・志村けんさんとの軽妙なCMがエモかった
第2番:金城くんと並んで夕陽を眺める
周冬雨がいい味だしてた『恋するシェフの最強レシピ』良かった!
B級ラブコメながら、上海のレトロ建築や金城君のファッションも見逃せないので予告編はっておくわ →→ https://youtu.be/sWMmCvrjBZQ
映画「恋する惑星」警官223
話は映画に戻る
『恋する惑星』:主人公のモウ(金城武)はエイプリルフールに彼女に振られ、自分の誕生日5月1日が期限のパイン缶を必死に買い漁り、誕生日にはきっと彼女から連絡来るはず…とヤケ食いヤケ飲みする。キマっちゃったモウは、BARで出会った謎の金髪セクシー女(ブリジット・リン)に決めセリフで話しかける。
”Do you like Pineapple?“
”○○▲▽〇?(広東語)”
”ねぇ ぱいなっぷる 好き?
”想不想吃黄梨?“
ところが、その広東語が聞き取れんのよ。
私は広東話者じゃないから、何にもわかっておらず、ただ字幕をみて(あー広東語なのね)と感じるだけだが、身近な広東話者によると、彼の広東語は聞いても分からない、途中でようやく広東語話してたのか、と気づかされたと言うのだ。
最後の ”想不想吃黄梨?”
終始無言だった金髪女がその一言に反応し「普通語お上手ね」と気を許す。サングラスの奥の瞳が動き、ドキリとさせられる。1997年香港返還前では広東語は必須、広東語=生粋の香港人、広東語以外=香港以外の新参者。「台湾出身なんだ」とモウが応え、金髪女としばしふれあう、このシーンに、当時の香港の立ち位置の危うさが表現されていると思う。この一瞬まで、金髪女は広東語と英語のみで会話し、生粋の香港人であるかのように振る舞っていたから。
そういえば、初見ではクスリの密輸に加担する重慶大厦(雑居ビル)のインド人達は単に「ただのインド人」と思っていたが、いま見ると南インド人(タミール語)?いやひょっとするとパキスタン系(イスラム教徒)かも知れない、と見えてきた。私自身、27年経って人種や民族を認識できるように成長したのだ。
そんな雑多な人びとがうごめく返還前の香港の猥雑性をウォン・カーワイは描いた。
クリストファー・ドリルの手持ちカメラ撮影法、ウィリアム・チャンの美術、どれも斬新なセンスの塊であった。
さて タタタタターン
金城くんとやりたいことリスト第1位発表
パイン缶を一緒に食べる。
ときどきアーンとかしちゃったりして❤︎
しかし、金城くんの広東語があまり酷いので、次作「天使の涙」では、賞味期限切れのパイン缶を食べすぎたために口が聞けなくなった男の役を振られた、とは前述の広東話者の妄想。しかし,マレーシアではこの説は実話として語り継がれている(笑)
最後に、2018年大阪での逸話。自店の留学生スタッフ・マイケルが「夢中人」の鼻歌を歌っており、「あ、ChungKing Express (原題) の挿入歌だ。観たの?」と話しかけると、「Heh??」と話が噛みあわなかった。彼は香港生まれ・カナダ育ちで日本語学校に通う20代青年。1994年香港上映時は満1歳、梁朝偉は知っているが王菲の黄金期も知らなかった。なんとオリジナル曲のアイルランドのボーカルが亡くなり,この曲を知ったとの事。はぁ、時代は流れていくものよね。
dreams いい歌なので,動画張っておくわ。