
2020年末~2021年始 映画評(2)
前回
今回は古い作品に絞りました。昨年ぐらいから、とにかく旧作、名作を観なければ!という思いが強くなってきています。
順番に特に意味はないです。挙げた作品は皆よかったです!
渚にて 1959 アメリカ グレゴリー・ペック
とっても不思議な感覚が残る映画でした。とても静かで、なんならかなり悲惨な映画なのですが、観た後に残るのは「爽やかさ」に近い感じ。。爽やかさそのものではないのですが爽やかさに不気味さがブレンドされたような。
あらすじを検索して興味を持ったら、観てみて損はないと思います。
十戒 1956 アメリカ チャールトン・ヘストン 232分
すべてに共通することなのですがとにかく世界史の素養がゼロなので、映画の時代背景や漠然としたあらすじもわかりません。
唯一知っていることといえば海が割れた伝説ぐらいで。
そういう人間なもので、史記が映画化された作品は非常にフラットに楽しむことができます。
このストーリーでいうともう後半になってモーセが十戒を授かるために山に籠って戻らなくなり、そのすきに集団の実権を握ろうとする悪役が、すごく憎たらしくみえてよかった。
偶像崇拝はダメだっつってんのに(笑)よりによってめちゃめちゃ趣味の悪い金の牛(?)を崇めよ、と。庶民はみーんな、わかりやすいよりどころがほしいのね。現代社会(現代宗教)となーんも変わりやしません。
そして趣味の悪いモノを崇めると同時に享楽にふけるようになる。これもおそらく一緒。
でも、それに対する神の罰もすさまじい。享楽に堕ちた人間をほとんど殺しちゃうだけでなく、残ったヘブライ人も40年!荒野をさまよわせるわけだから。
大いなる西部 1958年 アメリカ グレゴリー・ペック チャールトン・ヘストン ジーン・シモンズ 166分
「シェーン」と一緒で、「保安官が駐在しているところまで300キロ」(数字は適当)の世界。つまり、自由の国アメリカというのはすなわちほぼ無法地帯ということ。そりゃ自衛のために銃を持つわな、と。
この映画で面白かったのは、最後のほうで主役のカップルが別れちゃうところですね(笑)あらららと。
でラストで一緒になる(と予感させる)女性は凛としていてずっと素敵でしたね。「中立でいる」ことの難しさ。
悪役が完全に悪役じゃなくって、悪い側のオジサンが、きわめて卑怯なことをしでかしたドラ息子を射殺してしまうのは「ほぉ~」と思いました。卑怯はやっぱり、ダメなんだと。自治においては。実の息子であっても許されるものではない。
ベン・ハー 1959年 アメリカ 212分 チャールトン・ヘストン
これはホント、すごい映画だった。
いろんなところで書かれているように、聖なるイエス・キリストの顔を最後までみせずに印象を固定化しない演出は素晴らしいと思いました。
戦車競技場のシーンは、世界中の、これまでにつくられたすべての映画の中でも史上最高のシーンといっても過言ではないのでしょう。(でも、反則行為は最初に取り締まれよ。。とも思うけど笑)
というわけでこれも「アラビアのロレンス」級の、問答無用で観なきゃいけない映画のひとつ。
シェーン 1953 アメリカ アラン・ラッド ジーン・アーサー
この映画は、亡くなった父が好きだったと母から間接的に聞かされていたのだった。でも個人的にはまったく興味なく… 50にして初めて観る。
いや、カッコいいですよね、「男とはこうあるべき」みたいな。
シェーンだけではなくって、準主役のパパもあわせて、カッコいい。理想の男です。
そしてこの奥さん(居候のシェーンに惚れてしまう)も、「男性からみた」女性の鑑です。
女性も浮気しないし、シェーンも結局、本当に好きになった女性を奪うこともなく、行ってしまいます。「そんなもんだよね」ということ。
この映画のファンが多いのも納得。私ですら知っているラストシーンも、映画を通して観てみて納得。
そういえば男はつらいよでもこういうストーリーありましたね、旦那も子供もいるさくら(寅さんの妹)が外国人に熱烈に愛されてしまうという。さくらも、まんざらではないのだが、でも結局は駆け落ちは選ばない。外国人もさっと身を引く。