セブンイレブンのレジ袋風エコバッグは「エモさ」で7万セットも売れた説
ITメディアのニュースから「なんじゃこりゃ?」というニュースが流れてきました。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2305/27/news022.html
セブンのビニール袋風エコバッグがバカ売れしてると聞いて「んなアホな・・・」と思ってページを開いたら
「ビニール袋風エコバッグが7万個も売れてるの?!」
と思わずつぶやいちゃいました。
最近マーケティング会社に転職して「インサイト!」「どうやったら売れる?!」みたいなことを考えることが増えたので、練習がてら考察してみます。
ビニール袋風エコバッグは「ポイント特典」だった
セブンイレブンは2021年11月から、セブンマイルプログラムというポイント制度でオリジナルのエコバッグをポイント特典として交換し始めたそう。
交換開始当初に作っていた6,000個の在庫はたった1分で売り切れ。
その後 販売し始めた結果、2023年5月までに7万セットも売れたそうです。
実際の製品写真はこちら↓
一見ただのビニールのレジ袋ですが、実はポリエステルで作られたエコバッグです。
エコバッグの形容詞として「かわいい」とか「おしゃれ」のような言葉が多いと感じていたので、「ビニール袋ってかわいいのか・・・?」と正直思いました。
実際にユーザーからは「どのファッションにもあう」「ファッション要素がある」という意見が多いそうです。
そもそもエコバッグを使い始めた理由
少し前までは気軽に「レジ袋ください」と言ってコンビニでもらっていたことがありました。
しかし2020年7月からSDGsや環境保護を目的としてレジ袋は有料 化、エコバッグの使用を促されましたね。
経済産業省によると、ビニール袋の有料化は
①海洋プラスチックごみ問題や
②地球温暖化問題
を解決する動きとして導入されたそうです。
ビニールの使用量を減らして生活から出てくるゴミを減らすための運動として、有料化がソリューションとなったようですね。
同じ頃から「どうせエコバッグを使うならかわいいのが良いよね」と言いながらエコバッグを買う人が増えた気がします。
ビニールレジ袋の有料化は自分らが望んだわけじゃない
別に自分らがデモを起こして「ビニールのレジ袋は有料化すべき!」なんて言ってませんよね。
「あ、SDGsの流れで有料化することになったのかな」「環境問題、大変らしいしね」ぐらいな感覚な気がします。
正直、海洋プラスチックごみやSDGsって私達の身近な問題じゃないと思うんですよね。
自分らが毎日悩んでることって、自分の身の回りの人間関係や仕事・学校、家族の悩みぐらい。
プラスチックよりうざい上司や先生の方が問題だし、SDGsより好きな子をどうやって遊びに誘えるかの方が絶対に大事。
けど、そんなことに関係なく、自分らの生活からレジ袋は減って、エコバッグを使うことを半ば強要されました。
そういう「流れ」がきたら、なんとなく従わざるを得ない感じがしますよね・・・
日常を3円・5円で買わないといけなくなった
セブンイレブンのビニール袋風エコバッグ、バカ売れの理由は「エモさ」であり「ノスタルジー」だと思うんです。
エコバッグを使うことを強制されて、別に怒ったわけでもなければ反抗したわけでもありません。
けど、自分らは10年、20年間以上もビニールのレジ袋を使い続けてきて、生活の一部だったんです。
わざわざ買うほどでもないけど、タダでレジ袋をもらえなくなったことになんとなく寂しさを感じてたのかもしれません。
レジ袋を見れば、どこで買い物したかがわかりますよね。
「あ、セブン行ったの?春巻き買ってきてくれた?」
「セブンのビニール袋そのままごみ袋にしちゃえば良いじゃん!」
そんな日常を過ごすために私達は3円とか5円というお金を支払わないといけなくなりました。
結果「毎回お金払うなら袋いらないや」「エコバッグ持っていこ」という人が増えて、青ベースの細かい柄のエコバッグや赤ベースのkaldiバッグを使うように。
もう、セブンの袋を久しく見てないかも・・・なんとなく懐かしい感じがします・・・
そんな時に出てきた、「セブンのレジ袋風エコバッグ」という救世主。
これだったら見慣れた、使い慣れたデザインの袋をまた使えるし、エコバッグだから世間からなにか言われることもありません。
要は、
「レジ袋「風」だぞ!!!!これなら文句ないじゃろ!!!」
という感じですね。
セブンのレジ袋風エコバッグ、メルカリで倍額以上で出品されまくる
セブンのレジ袋エコバッグ、人気がありすぎてメルカリ転売者が続出しています。
定価1,980円なのに、5,000円超えの価格設定。しかも売り切ればかり。
現代最強マーケター・森岡毅氏が言う「本能にぶっ刺さる」って多分これ
このノスタルジーは言い換えると、森岡毅氏が言うところの「本能にぶっ刺さる」ということだと思います。
人間にはホメオスタシス(恒常性)という性質、つまり「変わりたくない」という欲が備わっています。
その昔、狩りで生きていた私達は、常に食べ物に困らないために試行錯誤しながら生きていました。
食料が安定して手に入らないと死んでしまうので、安全で食べ物が手に入る場所からは動きたくないのは当たり前。
結果、「ここなら安定した狩り場があるし、動かないほうが良いよね」という本能が私達の遺伝子に刻み込まれました。必要以上の変化はしたくないと感じるようにできています。
別にレジ袋がないと食べ物が手に入るわけではありませんが、レジ袋の有料化は想像以上に私達の生活を変えたようです。
この変化に対して私達の恒常性は働き、レジ袋風エコバッグが出たら飛びついてしまったんです。
まとめ:人間は本能に逆らえない
私達はいつだって本能によって行動を変えています。
どんなに楽しい時間を過ごしていても「お腹がすいた!」という食欲から食事の時間を作るし、夜更かしをしたくても「眠い!」という睡眠欲によって寝ます。
それと同じように、セブンのレジ袋風エコバッグではホメオスタシス(恒常性)という本能に私達は逆らえませんでした。
私はまだまだ駆け出しのマーケターですが、欲や本能について勉強を深める必要がある、と感じた事例でした・・・