高校は2択
田舎である。
電車は1時間に一本。2両。
そんな環境から、京都の美大に行かせてもらえたのはありがたかった。
大学は最高だった。
高校はつまらなかった。
まず、選択肢が少なすぎる。
電車が1時間に一本しかないもので、通学できる高校に制限がありすぎる。
実質的に選べる高校は、アホな近所の高校か、電車で30分かけて通う普通の高校かの2択だった。
もうひとつ、反対側の電車に乗ると、漫画のような荒れた学校があるが、これはファンタジーの世界のため除外。
仕方なく、普通の高校に通うのだが、まったく謎なことに、地域では進学校とされている。
たしかに、いわゆる難関大学に進学する者もちらほらいる。
同時に、いわゆるFランしか入れない者もちらほらいる。
在籍生徒の偏差値の幅が40くらいあるのが、田舎の進学校の特徴なんだ。
だからといって、個性を尊重し、自分に合わせた生き方を。とは、ならない。
たいして頭のよくない子たちに、無理やり受験勉強させるわけだから、地獄だ。
まったく関係ないけど、急に思い出した。
高校の学食で、毎日、野菜炒め定食を食べている教師がいた。
野菜炒めに、信じられないくらいの唐辛子をかけてバクバク食べていた。小柄な50くらいの数学の教員。
彼は、ある日突然ポルシェを買った。
田舎の高校の教員用駐車場に、突然ポルシェがきたので話題になった。
僕も見に行く。初めてまじまじと見た実物のポルシェは、野菜炒めに唐辛子をかけすぎる草臥れた初老の男のものだった。
色は紺。
彼の精神状態は、大丈夫だったんだろうか。
思い返して、狂気のようなものを感じる。
そんな田舎の普通の高校。