美大生の進路

「美術大学」というと「就職はどうするの?」と言われることがよくある。

そんなもん、どうにでもなりますわ。

当たり前だけど、外銀や戦略コンサル、巨大ITに就職することを目的に、美大に行く人間はいない。
(もしかしたら、ごく少数はいるかもしれないが、わけがわからないので無視)

周囲の人も、そんなことは期待していないと思う。

そうなると「就職は?」の質問の意図は「卒業後に安定的な収入を得られる仕事に就けるのか?」と言う意味だろう。

で、これは、余裕。
なんとでもなる。

どころか、僕の同級生は、みんなサバイバル能力が異常なため、世の中の平均よりも収入が高い。

中には、それこそ外銀くらい稼いでる奴もいる。

少なくとも、生きるためのお金を稼ぐことに苦労している人間は、知る限りいない。

でも、これ、わりと当たり前のこと。

この社会って、高校生までの努力でなにかが決定されると勘違いされがちだけど、たぶん違うんだよね。

大学入ったあとも、就職した後も、転職した後も、ずーっと努力が求められる。
ここまでやれば、もう大丈夫ってラインは、たぶんない。

この点、美大卒は超有利。

僕らは、新しいことを知ることが大好き。
しかも、無駄になるかもしれない努力を、まったく厭わない。

美術をやるって、そういうもんだしね。
まったく意味のない、役にも立たない、でも自分は素晴らしいと思うことに全力を投じる。

つまり、オタクなのよ。

僕は今週、電車の中で、ブルーバックスの、能力がどのくらい遺伝子の影響を受けるのかって本と、紙飛行機を通して飛行機が飛ぶ理由を説明している本を読んでいる。

特に、意味はない。
役に立つとも思っていない。
面白そうだから、読んでいる。

他に、3DCADの練習も始めた。
将棋は好きで、ウォーズやってる。

来年には、まったく違うことをやっていると思う。

今年で40になるが、ずーっとこの調子。

働くのも「こういう稼ぎ方もあるのね」程度でやってるし、なんなら、社会人ごっこをやっている感覚に近い。

単に、自分の動いた成果が、なんらかのかたちになることだけがモチベーション。

別に、美大卒は優秀ってわけではない。

雇っても、一般的な成長や評価軸とズレがあるから、扱いにくいのは確実。

ただ、働く上でのスキルや知識は、問題なく得られる。
普通に働いて、普通に生きるだけ稼ぐなら、なんとでもなる。

夏休み。夏期講習。

全国の美大志望、美大生。
生きることはなんとでもなるから、興味の範囲を広げて、気楽にやってくださいな。

どっちにしても、美術は最高に楽しいから、まったくもって最高よ。
心配いらない。

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