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Q.福岡に居続けている理由は?東京に行こうと考えたことはありますか?〜宣伝会議「編集ライター養成講座」のQ&A:その4-1

前回に引き続き、受講生の方からの質問に答えるコーナーです。過去の回答はこちら。

Q.くましろさんが福岡に居続けているのは、なにか理由があってでしょうか? 九州から出て、東京に行こうと考えたことはありますか? 私は、出版社の多さなどを考え、東京へ出たほうがいいのか大変迷っています。

東京行きを考えたこと、ありますあります。というか、現在も普通に考えます。だって、福岡はいいところだけど、仕事という面で見たら現時点では東京一強です。出版社も大手メディアも広報部があるような会社も基本的には全部東京。「1〜2年くらい東京に出稼ぎに行こうかな〜」なんて思ったりすることは、今も多々あります。

質問者さんが東京に出たほうがいいかはまた次の回答にすることにして、ひとまず今回は「なぜ私が福岡にいるのか」という話をしようと思います(質問へのお答えというか、ただのお喋りに近いです。すみません)。

そもそもは、大学卒業したら出版社に入りたかったので、東京に行く気満々でした。でも、東京に住みたいと思っていたわけじゃない。書籍の編集者という仕事が東京じゃないとできないと思っていたから、というのが東京に行きたかった理由です。

でも、出版社は狭き門。不況も相まって福岡で就職したのです(と言っても、実家からは出て九州の大都会(笑)福岡市に引っ越しました)。その後、小さい出版社→編プロを経て独立するのですが、編プロで働いている間も何度か東京に出ることは考えていましたね。

その時に本格的に動かなかった理由は3つ。
行きたいと思う会社に受からなかったから。
・東京での生活費を維持できるか不安だったから。
・福岡が大好きだったから
(福岡市民は福岡が大好きすぎる傾向にある)
(あとは、親が県内にいてほしがったりとかちょっとした家庭の事情はありますが、本気で出ようと思えば別に出られたと思っています)

特に、生活費については結構なお給料がもらえる会社じゃないと厳しいのではないかと思うと怖くて……。あと、なんだかんだとその時の毎日に慣れてしまっていたというのもあると思います。

次に、本気で悩んだのは独立を考えた時。フリーランスになるとなった場合、「東京に行ったほうがいいのか」「福岡でフリーとして食べられるようになるのが先か」でかなり悩みました。

福岡でもインハウスエディターという若干特殊な環境にいた私は、福岡の制作業界名前が知られているわけでもない。それなら東京に行っても条件は一緒?いやいや、でも知人も全然いないし、東京行くなら一度編プロなどに転職して人脈を作ったほうがいい?でも、今からまた会社員?そのあとフリーになるって何年後?でも、福岡でフリーとして食べいける?とぐるぐるぐしていました。

で、そんな時に一つアドバイスをくださったのが、ライターの大先輩・佐藤友美さんでした。東京でお会いした時にご相談をしたら「まずは福岡で頑張ったほうがいいと思う」と言ってくださったんです。

理由は
・東京の固定費、本当に高いから全然おすすめしない。
・東京は仕事が多い分、ライバルも多い。
・地方の時代と言われるように、地方にいてもできることはたくさんある。
・「福岡といえばくましろさん」と言われるようになる道もある。

といった感じでした。一番はやはり「フリーとして食べていける保証がないのに東京の生活費はちょっと大変だと思うよ」と心配してくださったのではないかなと思いますし、「東京に出てくるのはいつでも出来るから」と言っていただいてすごくスッキリしました。とりあえず、福岡でやってみよう。そう思えたのです。

その後、1年も経たないうちに2020年にコロナ禍に突入したことで、また大きく状況が変わりました。一つはオンライン取材が非常に多くなり、編集者さんもインタビューされる側の方々も「オンラインでも取材はできる」という認識に変わったこと。「現地に取材に来れる人」という条件が外れたことで、「ビジネスジャンルを書ける人」などと分野で探してくれるクライアントさんが非常に多くなりました。

また、東京で仕事をしていた人たちが地方に分散し始めたこと。これまでも移住者は増えていましたが、一気に加速したのはご存知の通りです。これによって、世間の認識が「東京にいないとできない仕事って、実際はそんなにないよね」とだいぶ変わったのではないかと思います。

こうなってくると、今度は「今更東京に今更住むの?」という思いも出てきます。東京どころか、日本中、世界中どこにいても仕事ができる。本格的にそういう時代になってきたからです。

それでも、時々「東京にしばらく住んでみようかな」と思うのは、やっぱり東京での仕事の多さです。なんだかんだ言ってもまだまだ東京に仕事が集中している現状は変わりません。だから、地盤作りに行きたいなーという気持ちもなくもないです。

でも、昔と違って、完全移住はあまり考えていません。「2ヶ月に一度くらいのペースで、2週間ほど東京で過ごすような暮らし方ができたらいいな」と思う程度です。だって、執筆自体はどこでもできるから、ずっと東京にいないといけない理由もない。

今一番憧れるのは、「東京の出版社から指名でバンバン仕事がくるような状態になって、東京と自分の住みたいエリアを行き来しながら仕事をする」というポジションですね。そんなふうに好きな場所で暮らしながら、したい仕事を存分にできるようになれたらいいなあと思っています。がんばろっ!


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