裏と深の交錯

(前提としてSoodaは少しだけVALISと関わりがあり操桃さんの話をたまに聞いていた)

傘を差して、雨の中を、1人孤独に歩いていく。     今日はかなり遠くに来たので辺りは薄暗くなっていた。
しばらく歩いていると、目的地が見えてきた。
「ここ……だよね…」
見えるのは少し大きめのサーカステント。ここに来たのは、とある理由があった。
昨晩、とある人に「もっと広い世界を見に行ってきたらどうだい?」と言われ、ここまでの道を教えてもらった。だが、このサーカステントはもう使われなくなっていたのを自分は知っている。
「ちょっと不気味……かも」
周りの雰囲気や、景色がもも暗くなってきているのも相まって並々ならぬ雰囲気を醸し出している。それでも、ここに来て見ただけで終われない。と、サーカステントへ足を進めた。

中に入ると、とても綺麗な客席とステージ。そしてそのステージの真ん中に堂々と立っている何かがいる。
「……ねずみ??」
首を傾げているとこちらにむかって手招きをしている。さすがにねずみだからと言って手招きされてもスルーしていい理由にはならないと思い、ステージに上がった。
「……あなたは?」
「ようこそおいでくださいました!!まさかあなた様がこちらに来て下さるとは…」
「操桃さん!!なんで操桃さんがこんなところに?」
「今朝、私の元に一通の手紙が届きまして、1名客をこちらのサーカステントに呼んだから案内しろ。とのことでして…。はるばる深脊界市からお越しくださりありがとうございます」
「案内??ってことはここは」
「そうです!!!察しがよろしいですね!!このサーカステントは元々VALISである彼女たちが裏世界で使っていたものです!!!」
「な、なるほど…」
操桃さんの口調はかなり調子が良く、勢いもすごくて圧倒される。
「ところで、Sooda様はこちらにどのようなご用件でこちらに??」
「実は私もここに行ってみたら?と勧めて来たので、そこまで詳しい用件とかは無いんですよね」
「そうですか!!!なら私がサーカス内を案内しつつVALISの歴史について語らせていただきましょうか!!!!」
「は、はい…!よろしくお願いします」

そこからサーカスのステージや客席をしっかり見たあと、レッスン場など普段は見れない裏側をVALISさんの今までのことを教えてもらいながら見せてもらった。

「………ここは??」
「あぁ、そちらですか。こちらは開演を演者たちが集う言わば楽屋のようなものです。ここで演者同士で会話や反省会等々行ってもらっていました。」
なにかに吸い込まれるようにその部屋に足が進んでいく。自分では制御できないなにか魅力的な雰囲気がそこにはあった。
「……….」
(これはこれは面白そうなことになりそうですね)
「Sooda様……Sooda様!!!!」
「は、はい!!すいません!ぼーっとしちゃって」
「あなた様も裏世界に適している体ではないですねぇ」
「え………?」
「あなた様に裏世界に適した力を少しだけ与えてあげてもいいですよ。私にはそれができます」
「力…??」
「あなた様も深脊界でこれから成長していく、仲間のようなものです。一度あなたの成長した力、感じてみたくありませんか??」
「操桃さん……その感じ、私に選択権ないですよね…」
「おやおや本当に察しがいいですね…。ま、嫌であれば1曲歌う程度でも構いませんよ?」
「自分の力を…感じたい!!」
「それでは……よっと」
「え…人の姿になった」
「この身体はあまり裏世界に適してないのでお早めに。さぁ!!私の手に触れてください!!」
「こう…ですか??」
突然周りの世界が変わり、自分の身体に猫のような耳、しっぽが生えてきた
「わ、なにこれ…!VALISさんみたい…」
「さぁ!!!力を与えましたよ!!あなたに与えたのは限られた力です。存分に楽しんでください」
「これが……力。この力の全部を!!!」
部屋に残った響きは、裏世界の記憶を想起させる
そしてまた新たな声が響き、新たな記憶が刻まれる。

残響ヴァンデラー covered by Sooda


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後日談

深脊界市に戻ったあと、あの部屋に入る直前からき記憶があやふやだ。収穫が無かったわけじゃないけど、少し虚無感が残る。少し日が経って思い出したことがあった。あの部屋には沢山のファンレターがあった。一つ一つ目をしっかり通して何回も見たのだろう。外装が汚れていたり傷だらけのものもあった。ヴァンデラーの人達はVALISのみなさんの"力"になっている…。
「私もいつか…」

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