英語を書くとき話すときの便利道具
星の数ほど記事がありそうな話題ですが意外とずばり重複する内容は見かけないので書いてみます。主にアカデミックな場面でのライティングやプレゼンテーションを意識しています。STEM/理工系の分野にやや寄っていますが他の分野でも使えると思います。
話すとき(発音を調べる)
YouGlish
YouTube上の字幕から言葉を検索できるサービスです。ASUSとかIEEEとかde Bruijnって一体どうやって発音するんじゃい! と困ったとき、英語の辞書に載ってないこうした言葉の発音を調べるのに超便利。
Forvo
辞書で見つかる言葉ならこっちのほうが手っ取り早いです。いろいろな方の発音を聞き比べできます。
書くとき(類語やコロケーションを調べる)
SkeLL
類語、前後に来る言葉、用例を探せるサービスです。一通りの機能がそろっているので言い回しや言葉の組み合わせ方に迷ったらまずはここが便利。
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Related Words
そのまんま、類語を出してくれるツールです。類似度合いはともかくSkeLLと比べてとにかくたくさん出てくるので、荒っぽく検索してけっこう意味が違う言葉も探せるのがむしろ便利なこともあります。
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Hyper Collocation
arXivの論文プレプリントからある言葉の前後に来る言葉を出してくれるツールです。基本的に数学、物理、情報系に限られますがその分用途が合えば的確な用例が見つけやすいです。
Netspeak
これも同様に前後のつながりなどを探してくれるサービスなのですが、検索の自由度が高いのが特徴です。たとえば、waiting ? ? responseと検索するとwaiting for your responseなど、あいだの2単語の頻度ランキングが見られます。さらに{ only for members }と検索すると、この3単語の語順別の頻度ランキングを見ることができます。
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Do people say
こちらはカジュアルな言葉遣いをどうしたらいいかを調べるためのサービスです。redditの発言で使われている用例がわかります。
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Academic Phrasebank
場面別にアカデミックライティングに使いやすいフレーズが集められています。とりあえず眺めるだけでもなんとなく参考になります。
その他
力強い動詞を使うために
論文用: https://blog.wordvice.com/recommended-verbs-for-research-writing/
レジュメ用:https://www.themuse.com/advice/185-powerful-verbs-that-will-make-your-resume-awesome
一般用: https://osuokc.edu/sites/default/files/documents/ssoc/Active-Verbs-List.pdf
(ほか、strong verbs listとかで検索するといろいろ出てきます)
日本人の書く英語は名詞に意味を頼りがちで動詞の影が薄い印象があります。動詞を明確に力強くすると読みやすく表現力豊かになります。たとえば、she looked at the enemyと言うよりもshe glared at the enemyと言ったほうが緊張感が出るし、he said "…"じゃなくてhe whispered "…"としたい情感があるでしょう。またwe found the locationと言うよりもwe pinpointed the locationと言ったほうがたった一単語でも優れた成果があったことが伝わると思います。そうした言い換えをするための資料です。
時系列で頻度分析
単語やフレーズの頻度を時系列で調べたいときにはこちらを使います。Ngram Viewerは200年程度の期間で書籍から出現頻度を、Google Trendsは近年のネット上での頻度を見ることができます。またGoogle Trendsでは地域別などの分析も可能です。
語源を調べる
言葉の意味を調べていると語源も気になりませんか? 通常の辞書にも多少の記述がありますが、語源に特化したこちらが便利です。最近知ってなるほどと思ったのは、ネズミやネコなどの一度に生まれた子たちを指すlittermatesという言葉(同時に出産された関係だけなので「兄弟」とかは意味が違う)は「ゴミをポイ捨てする」というlitterとつながった意味であるということです。こちらの辞書によると、「横になる」→「ベッド」といったlayやlowと共通する語源が古くにあって、そこから寝床に使う藁を指すようになり、さらに藁を散らすところからゴミを散らかす意味に拡大する一方、その藁の上で産まれる動物の子たちを指してもlitter(mate)という言葉が使われるようになったそうです。もちろん確実度はピンキリですし諸説あるとしか言えない場合も多いですが、おもしろいし語彙の習得の上でも有用です。
辞書
https://japanknowledge.com/
https://www.oed.com/
どちらも要契約です。いまさら辞書を紹介することもないですが、大学等で包括契約している場合は使わないともったいないので挙げておきます。上は日本のサービスで見ての通り様々な辞書があって便利だし串刺し検索できるのがすばらしいですね。下は英語の辞書で一番の権威(らしい)Oxford English Dictionaryです。語義が頻度順ではなく年代順で、いまは廃れた意味も出てくる点には注意。そこだけ慣れてしまえばなんだかんだこれを引いてしまうのが手っ取り早いです。
有名すぎるので紹介しないもの
DeepL 言うに及ばず。私はほぼ使わないので他の翻訳サービスとの比較はできません。
Grammarly 受動態きらいすぎだろうとか思いますが類似サービスいくつか軽く試した感覚ではなんだかんだ一番好みでした。
(おまけ)ライティングの参考書籍
文法はわかる、語彙もある、でもまとまった作文がどうもぎこちない、という場合の参考書籍を挙げておきます。
The Elements of Style
超定番どころ。著作権切れているし薄くてすぐ読み終わるのでとりあえず読んでみるのがいいです。
Style: Lessons in Clarity and Grace
Elementsの拡大現代版、個別の文法事項ではなくて、一文から一段落の規模で明晰に、coherentに書くことに焦点があります。こちらはぐっとむずかしくて、すでにたとえば卒論くらいは英語で書いた人向けです。類書も探しましたが意外とないのでこれをおすすめします。
ほかにも参考になるサービスやページがあったらぜひ教えてください!