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マヤ暦「銀河の音」の起源

「銀河の音」という言葉で検索すると、マヤ暦、神聖暦、ツォルキンという言葉を使ったサイトがズラーっと出て来る。試しに説明を見に行ってみると、まるで中米マヤで使われていたマヤ暦の言葉だと勘違いするような作りになっているものが殆ど。だが、既に【マヤ暦「太陽の紋章」の起源】に書いた通り、それらは実はマヤ暦のものではない。

という事は、それらのサイトはいずれも、情報の出所を知っていながら誤魔化しているか、日付や用語の根拠も知らずに誰かの話を鵜呑みにした人が垂れ流しているだけ、という事になる。そういう不誠実さといい加減さを顕現しているようなサイトの情報(解釈や意味)が、信頼に足るものだと考えられるだろうか?

もちろん、ネット上で気晴らし程度に面白がっているだけなら構わないが、そこを入口に何十万、何百万とお金をつぎ込んで講座に通ってから、ようやく「変だな…」と気づいて私たちのところにやって来る人が、今も後を絶たない。

もともと無償配布の精神で生み出されたツールが、そんな風に扱われているのを知るのはやりきれない気持ちになるし、十年以上前から注意喚起もしているのだが、よく調べずに大枚を叩いてしまう人があまりにも多いのだ。巡り巡ってそのお金が雑誌やネットの宣伝費に回り、今やそこらじゅう偽物だらけという状態になってしまった。

さて「銀河の音」という用語自体も、米国のホゼ&ロイディーン・アグエイアス夫妻が1990年代に発表した『ドリームスペル(13の月の暦)』(*)で初めて使われたもので、それ以前には存在していない言葉である。つまりマヤ暦のものではないのだ(ブログタイトルは勘違いしている人が見てくれるようワザと間違えたものにしてある)。

今回も証拠として、初出の『ドリームスペル』英語版と、私も制作に関わっていた日本語版から、「銀河の音」が一覧で出てくるページをそのまま紹介する。これが原初の一覧表である。ここに記されている言葉以外に、何か少しでも付け足されているものがあれば、それは誰かが改変したり個人的な意見を加えたものである。

写真をよく見ると、本や手帳でEssenceとPowerに区切られているものは、実は「創造的な力の機能」として一文になっていたものが便宜的に分けられたものだったという事が分かる。「太陽の紋章」にも言える事だが、この原初の構造を知らずに単語の単位でだけ訳語を考えると、全体に一貫性が見られないイビツなものになってしまう。

例えば、もともと「輝きを授ける」となっていた音5(倍音の)の「創造的な力の機能」を、後に「輝き」「力を与える」と変更した事で、統一構造が崩れてしまったのも、全体を見渡す目を持たない者が関与したからである。

ちなみに、拙著は全て原典である『ドリームスペル』日本語版の訳語に統一してある。制作メンバーの一人として関わっていたからという理由もあるが、それよりも、背景の異なる複数のメンバーが、様々な角度から相談した上で最終的に訳語を確定したものだからである。

この訳語の問題と経緯については、別な記事で改めて整理する予定だが、全体が関連して響き合う包括的な構造を持つ『ドリームスペル(13の月の暦)』を、分裂的かつ部分的視野から捉えようとする限り、その本当の意味や働きを理解することはできないのだ。

と同時に、そこにこそ分裂状態に馴染まされてしまった人がつけいられるスキがあるとも言える。物事を部分でしか捉えられない人は、喩えそれがデタラメなものであっても、部分的に区切られ、固定された解説を「わかり易くて親切」と感じるからだ。

そうした分裂的意識状態から人々を解放し、より統合された状態へと導くためのツールで、より分裂的になってしまうような使い方をしていては、本末転倒も良いところ。まさに悲劇であり、殆ど喜劇である。だが、「何か変だな」と思った人は、そこから本来の道が開けるのである。

(*)『ドリームスペル』はその後、アグエイアス夫妻が「13の月の暦に替える平和の運動」として世界を巡る時に『13の月の暦』とも呼ばれるようになった。つまり、この2つは実質的に同じものである。

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