見出し画像

今期のBO9総括!!!

1.はじめに

 はじめまして、Fenrir所属のClaraと申します。今回は初めての試みとなりますが、今期のBO9を総括したいと思います。もう今環境も終わりますし、自信満々です!というよりかは自分の考えをまとめるために書いているので無料にしておきます。DSAL決勝やShadowverse University League(以下、SUL)の決勝もありますので、是非視聴する際により楽しんで見れるようなお手伝いが出来ればなと思います。BO9なので興味ないよ~という方もいるかもしれませんが、これを読んで少しでも興味をもってもらえればと思います。もしよかったらTwitterのフォロー&拡散お願いします!

 まずは、私のことを知らない方も多いかと思いますので、軽くどんな人なのかをざっと書いておきます。DSALで覚えてくださったかたもいるかと思いますが、Digitus Shadowverse Amateur League(以下、DSAL)というアマチュアチームを集めた大会の運営をやっています。DSALでは今回のテーマであるBO9を取り扱っており、僕自身DSALをより楽しんでいただくためのコンテンツとして【週刊DSAL】という記事を毎週書いています。SULでは1st seasonから参加しており、3度のプレーオフ進出、内1回は3位の結果となっています。そのため、シャドウバースの中でもこのBO9という対戦方式には他の人よりも慣れがあり、また興味関心も強いです。

 DSALで基本毎週BO9に触れるようになってから、というか記事を書くようになってからは毎週のように各チームの投げ順を見ているため、いろいろなことを考えさせられました。そんな中で感じた点などを書き記しましたので是非温かい目で見てもらえればと思います。

2.そもそもBO9って?

 そもそもBO9とはなんでしょう。ここから知らないかたも多いかと思います。界隈では俗に『大学生リーグ方式』とか『DSAL方式』などと呼称されているものです。まあBO3とかBO9よりはルールが分かりにくく、そう呼称したほうが分かりやすいかもしれません。

 BO9とは、1チームから5名の選手が参加し、それぞれがクラスの違う5つのデッキを持って試合を行います。5名の選手が同時に試合を行うのではなく、1名ずつが試合を行います。BO3でもBO5でもそうですが、どのデッキからでも、またどのような投げ方でも好きなように投げられますよね?BO9も同じです。どの選手から投げてもよし、その後の投げ方もチームの好きなような投げ方が出来ます。最終的に5名の選手全てが勝利することが出来ればチームの勝ちとなります。ちょうどよくDSALの説明資料が残っていたのでこれを図式説明として貼っておきます。

画像1

画像2

画像3

画像4

3.BO9の基本的な考え方

 ここで僕の基本的なBO9の考え方についてお話しようかと思います。BO9についての考え方ってなんだ?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、BO9の考え方とは主に、

〇クラス、デッキ選択

〇投げ順

の3点になります。まずは、ここについての個人的見解を述べたいと思います。あくまで個人見解ですので参考までに。

3.1 クラス、デッキ選択

 まずはクラス選択についてです。もちろんのことですが、シャドウバースには8つのクラスが存在します。エルフ、ロイヤル、ドラゴン、ウィッチ、ヴァンパイア、ネクロマンサー、ビショップ、ネメシスの中の5つから選択して試合を行うのがBO9です。

 このクラス選択ですが、基本的にはTier1のデッキを中心に持ち込みを検討します。分かりやすい環境例を挙げると、VEC期の自然Bなどが挙げられます。

画像5

環境によってTier1の数は異なりますが、大体ここで1~3デッキの持ち込みが決定します。BO9というルールが始まってから早4シーズン目に突入しましたが、STRではミッドレンジロイヤル&聖獅子ビショップ、ROGでは機械ウィッチ、VECでは自然BがBO9でもほとんどのチームが採用し、活躍しました。これはDSALが始動したVEC期も変わりなく、ほとんどのチームがTier1を外すことなく採用してきました。

 このTier1デッキの中で選択があるとすれば、デッキ自体の採用枚数の差などになります。ですが、多くの場合はTier1デッキにはメタカードなどは入れずに、デッキパワーを最大限に発揮できるような構築を持ち込んでいます。

 むしろ差が出るとすればそれ以外の部分、つまりTier1以外のデッキとなります。もちろんTier上位のデッキが中心に5デッキを構成されますが、Tier1以外のデッキ選択はチームによって変わります。例えば、UCL期では自然Bの下に(ナーフ後、アディ後ではそうでもなかったですが)自然D、自然E、リノE、自然Ncなどがありました。こうした1st、2ndデッキ以降のデッキの方がBO9のより面白い部分だと思います。例えばVEC期のエルフがそうでしたが、リノE、自然E、アマツEなどアーキタイプが多岐に分かれ、選択はチームの方針によって異なってきます。

 では、どのようにしてこの持ち込みを決めるのでしょうか。大きく分けて2つの考え方があると思います。

まずひとつが持ち込みが予想されるデッキにメタを貼る形です。例えば、VEC期を例にとって挙げると、妖怪Ncや自然Dへ強いリノE、潜伏Rを採用するなどの戦略が存在します。より相手の選択に戦略を寄せる、いわば防御的な選択と言えるでしょう。すこしメタ性を減らした形で、多くの対面に有利が付きやすいデッキを持ち込むケースも多く存在しますが、これもこちらの戦略に当たるといっていいでしょう。こちらの戦略を取った場合、投げ順がかなり重要になってきます。

もうひとつが、チームとして一貫性を持ったプランを通す戦略です。例えば、ミッドレンジ系統のデッキを中心にチームのプランを押し付けるような戦略だ。相手のデッキ選択などはあまり気にせず、なるべく有利不利の少ないデッキで固めてプレイングの腕を頼りにするような形になります。DSALでいえば、SRGやKBSなどがこの例にあたります。

 どちらかといえば、①のデッキ選択パターンを取るチームが多いと思いますし、大学生リーグで持ち込みをしっかりと話し合っているチームのほとんどは①寄りのデッキ選択になっていると思います。一般的な作戦ですね。

3.2 投げ順

 BO9の中で注目すべき二つ目のポイントです。よくこのBO9の対戦方式をじゃんけんだとか運だと言う人がいますが、私はあまりそうは思っていません。相手の作戦を読んで出すデッキを決める、あるいはこちらのプランを通すために強気な順番選択をするなど、順番は考えようによってはいくらでも選択肢があります。相手の戦略との駆け引きをするのも頭脳戦の要素があり、一つの競技性を持たせてくれるある意味ではいいルールなんじゃないかなと思っています。

 さて、BO9の投げ順ですが個人的には各デッキの役割分担が重要であると考えています。各デッキに役割があることで、投げ時を考えることが出来ます。分かりやすく例を挙げると、先鋒役や大将役みたいな感じです。

 実際にはもっと詳細な役割を振りますが、概ねこのような役割分担を行っています。これは相手の持ち込みにもよるので、相手のデッキが分かってから役割が変わったり、あるいは役割がなくなってしまうことがあります。ですから、デッキ登録段階で心理戦が行われるのです。

 細かい投げ順については例がないと説明しにくいので「4.3 投げ順」にて説明します。

4.今期のBO9

 では今期のBO9を振り返っていきましょう。今期の環境から振り返りつつ、BO9採用可否デッキの解説、投げ順の解説の順に話していきます。

4.1 今期のBO9感想

 個人的にですが、今期のBO9はいままでの環境で最も難しい環境だったのではないでしょうか。式神Wなどのクラスに採用可否のあるデッキが1つほどしかないクラスもありますが、エルフ・ロイヤルに関しては環境でもTier上位のデッキが2種類存在し、どちらを持ち込むかというところでかなり悩むことが多かったと思います。さらに、どれかのデッキが抜きん出て強いわけではなく、ほとんどすべてのデッキが多少の微有利不利の差で揺れる横一線の環境であるため、当て勝ちしても負けてしまう可能性があります。しかしながら絶対に当てたいマッチも存在し、例えばアマツEはリノコンEに当てたいし、リノコンEは潜伏Rに当てたい。こうしたマッチを逃さずに当て勝つことが、今期のBO9で最も重要な勝負の分かれ目となる部分ではないでしょうか。今期はBO3でも採用されるデッキが多く、5クラス~6クラスが採用の検討に含まれるため、BO9のデッキを決めるという点では弱すぎるデッキがなく決めやすい環境ではあったように感じます。

4.2 今期のBO9持ち込みデッキ候補

 今期の持ち込み候補をざっと上げると、リノコンE・アマツE・潜伏R・進化R・式神W・自然D・妖怪Nc・冥府Nc・エイラB・PPNmでしょう。DSALでも大体この中から選択されてきました。構築の採用枚数で細かいメタも晴れますがそれはわざわざ言わなくてもわかりそうなのでここでは既述を控えます。

〇持ち込み確定デッキ

【式神W】

画像6

◆有利対面(特になし)

◆微有利対面(コンリノE、進化R、冥府Nc、エイラB)

◆五分(妖怪Nc、自然D)

◆微不利(アマツE、潜伏R)

◆不利(特になし)

 今期のTier1で、BO9上では最も使い勝手のいいデッキだと認識しています。DSALではタテられることも多かったですが、全体面にそこまで不利が付くこともなく、また不利マッチであっても6クオンを返せるデッキが少なく、BO9であれば無難なデッキのひとつだと思います。

【自然D】

(パターン1)

画像7

◆有利対面(冥府Nc)

◆微有利対面(アマツE、妖怪Nc)

◆五分(リノコンE、式神W)

◆微不利(潜伏R、進化R、エイラB)

◆不利対面(特になし)

 まずはパターン1。『華麗なる竜人・マリオン』や『喧嘩屋の少女・カヤ』の採用がないタイプだ。式神WやリノコンEに対するガードは下がりますが、デッキ本来の目的である『影の侵食』の打点は伸びやすいです。

(パターン2)

画像8

◆有利対面(冥府Nc)

◆微有利対面(アマツE、先攻時のリノコンE、先攻時の式神W)

◆五分対面(後攻時のリノコンE、後攻時の式神W、妖怪Nc)

◆微不利対面(潜伏R、進化R、エイラB)

◆不利対面(特になし)

 二つ目のパターン。1コストのマリオンなどを採用した代わりにナテラ供給源を少し減らした形。1コストを置ける点で有利に振舞える点がストロングポイントとなりうるが、その分ガードの下がるデッキも存在するといったタイプです。自然D自体は確実に採用が見込まれますが、どのデッキに対して受けをつくるかがチームによって分かれます。

〇持ち込みほぼ確定デッキ

【妖怪Nc】

(パターン1)

画像9

◆有利対面(エイラB)

◆微有利対面(アマツE、先攻時リノコンE、先攻時潜伏R、先攻時式神W、先攻時自然D、冥府Nc)

◆五分対面(後攻時リノコンE、進化R、後攻時自然D)

◆微不利対面(後攻時潜伏R)

◆不利対面(特になし)

 1コストである『秀才の死神・ミーノ』を採用し、『不可侵の死霊・ヘリオ』の採用枚数を増やしてより前のめりにした形。式神W相手に先攻を取った場合は通常のミラー時よりも勝率が高いです。

(パターン2)

画像10

◆有利対面(エイラB)

◆微有利対面(アマツE)

◆五分対面(進化R、式神W、自然D)

◆微不利対面(リノコンE、潜伏R、冥府Nc)

◆不利対面(特になし)

 1コストやヘリオの採用を落とした上で『プリンセスナイト』を採用して、よりUBの起動に注力を注いだ形です。オーソドックスな形に近く、より練度や実力が発揮されやすい形。

〇クラス確定、アーキ検討

【潜伏R】

画像12

◆有利対面(特になし)

◆微有利対面(式神W、進化R※白刀の剣舞不採用、自然D、パターン2妖怪Nc)

◆五分対面(進化R※白刀の剣舞採用、先攻時パターン1妖怪Nc、エイラB)

◆微不利対面(アマツE、後攻時パターン1妖怪Nc)

◆不利対面(リノコンE、冥府Nc※機械鋸を採用している場合)

 潜伏Rはアディ前ではロイヤルの第一線を張っていたものの、進化Rの台頭でその採用は半々となりました。この環境にしては珍しくガン不利の対面が存在し、その点がこのデッキを持ち込む際の問題点となるでしょう。

【進化R】

画像11

◆有利対面(特になし)

◆微有利対面(アマツE、自然D、エイラB)

◆五分対面(進化R※白刀の剣舞採用、妖怪Nc、冥府Nc)

◆微不利対面(リノコンE、潜伏R※白刀の剣舞不採用、式神W、冥府Nc)

◆不利対面(特になし)

 アディショナル後に台頭してきたロイヤルのもう一つのアーキタイプ。このデッキの登場直後から持ち込み5クラスが決まった傾向があります(E、R、W、D、Nc)。どちらかというとパターン2の妖怪Ncに近く、どのデッキにもある程度の立ち回りが可能で、その反面どのデッキにも負ける可能性を秘めています。

【リノコンE】

画像13

◆有利対面(潜伏R)

◆微有利対面(進化R、先攻時パターン1妖怪Nc、パターン2妖怪Nc、冥府Nc)

◆五分対面(自然D、後攻時パターン1妖怪Nc、エイラB)

◆微不利対面(式神W)

◆不利対面(アマツE)

 今期のリノE。VECよりもコントロール・コンシードに寄った形だが、ドローソースが多いためリノを全力で回すプランも十分な勝ち筋として考えられます。より本来的なリノの形に戻ったようなデッキ。対面がアマツEの方を採用した場合に1つガン不利対面が生まれますが、その他の対面には基本的に勝つ力をもっているため、かなりBO9上の立ち位置はいいと考えています。

【アマツE】

画像14

◆有利対面(リノコンE)

◆微有利対面(潜伏R、式神W)

◆五分対面(冥府Nc)

◆微不利対面(進化R、自然D、妖怪Nc、エイラB)

◆不利対面(特になし)

 アディショナル後に相当な練度を必要とするデッキに生まれ変わりました。盤面で勝つプランと『フェアリーブレーダー・アマツ』の3つ目の効果を起動してフェアリーを疾走させるプランが存在し、どちらを選択するか、山上の受けを考えながら行動しなくてはならない今期の最も難しいデッキのひとつです。担い手の練度にもよるが基本的には微不利対面が多く、採用する際には担い手の練度の高さがモノを言います。既述した持ち込み作戦では②に当たるようなデッキです。

〇持ち込み無しよりのデッキ

【冥府Nc】

画像15

◆有利対面(潜伏R※機械鋸採用型、エイラB)

◆微有利対面(進化R、パターン2妖怪Nc)

◆五分対面(アマツE、PPNm、パータン1妖怪Nc)

◆微不利対面(リノコンE、式神W)

◆不利対面(自然D)

 妖怪Ncと対を成すもうひとつのネクロマンサーデッキである冥府Nc。最速起動が見込めるのであればかなり強いですが、デッキの立ち位置的にメタ的な立ち位置であるにも関わらず完全優位を取っている対面が潜伏RとエイラBとなっており、対面にいる可能性が低く、持ち込むのにとても勇気が必要です。

【エイラB】

画像16

◆有利対面(特になし)

◆微有利対面(アマツE、自然D)

◆五分対面(リノコンE、潜伏R)

◆微不利対面(式神W、進化R)

◆不利対面(妖怪Nc、冥府Nc)

 アディ前には一定数握っているチームがいましたが、アディ後は進化Rが登場したこともあり採用は見なくなりました。DSALではプレーオフ準決勝でDotsが式神Wを外して持ち込む度肝を抜いた選択をしてきました。勝ち切っているところを見ると無しではないのかもしれないですが、個人的には無しよりです。エイラへの依存度が強く、アミュレットで盤面を強力に形成することも出来ますが、今期はその程度の面であれば処理できるデッキが多いためBO9では評価が低いと言っていいでしょう。

【その他のデッキ】

 PPNmなど採用が検討されるデッキはあるものの、メタ性を加味しても採用しようとなるデッキは無いとみてよさそうです。特にアディショナル後にはほとんどのチームがE、R、W、D、Ncで固定しており、割って入るほどのパワーを持ったクラスがあるとは考えにくいです。BO3でも今挙げたデッキ以外のデッキを採用するチームはないため、検討する余地もほとんどないでしょう。

4.3 持ち込み組み合わせ

持ち込みグラフ

 今期のDSALの予選最終節の持ち込みです。自然D、式神W、妖怪Ncは全チームが採用しており、やはり今期の揺るがない部分であることを感じさせました。メタを貼ろうが貼るまいが、結局このデッキは持ち込み確定でしょう。

 どちらかというか今期の持ち込みは、持ち込み作戦上の②に当たるような持ち込みが多いのではないでしょうか。

もうひとつが、チームとして一貫性を持ったプランを通す戦略です。例えば、ミッドレンジ系統のデッキを中心にチームのプランを押し付けるような戦略だ。相手のデッキ選択などはあまり気にせず、なるべく有利不利の少ないデッキで固めてプレイングの腕を頼りにするような形になります。DSALでいえば、SRGやKBSなどがこの例にあたります。

②に沿った持ち込みをするとこのようになります。

→リノコンE、進化R、自然D(パターン1、2)、式神W、妖怪Nc(パターン1)

では、①だとどうなるでしょうか。

まずひとつが持ち込みが予想されるデッキにメタを貼る形です。例えば、VEC期を例にとって挙げると、妖怪Ncや自然Dへ強いリノE、潜伏Rを採用するなどの戦略が存在します。より相手の選択に戦略を寄せる、いわば防御的な選択と言えるでしょう。すこしメタ性を減らした形で、多くの対面に有利が付きやすいデッキを持ち込むケースも多く存在しますが、これもこちらの戦略に当たるといっていいでしょう。こちらの戦略を取った場合、投げ順がかなり重要になってきます。

◆相手の式神Wや自然Dに強く出る形

→アマツE、潜伏R、自然D(パターン2)、式神W、妖怪Nc(パターン1)

◆相手がリノコンEを持ってくると予想する場合

→アマツE、進化R、自然D(パターン2)、式神W、妖怪Nc(パターン1)

◆相手がアマツEを持ってくると予想する場合

→アマツE、進化R、自然D(パターン1、2)、式神W、妖怪Nc(パターン1)

◆相手が潜伏Rを持ってくると予想する場合

→リノコンE、進化R、自然D(パターン2)、式神W、妖怪Nc(パターン1)

大体このような感じになるかなと思います。たとえアマツEを相手が持ち込んだ場合でも、抜かれたらしょうがないと割り切る場合であればリノコンEを持ち込んでもいいかなと思います。その場合は投げ順が重要になるのでその点は以下で説明します。

 現時点でBO9をする場合、自分が持ち込みたい5デッキはこのようになります。

→リノコンE、進化R、自然D(パターン2)、式神W(キャルピン採用)、妖怪Nc(パターン1)

4.4 投げ順

 では既述した持ち込みで様々な対面を例に投げ順を考えてみましょう。

出来

 今期のDSALプレーオフ準決勝まで進んだチームの持ち込みです。例えば対KBSから考えてみましょう。

こちら側:リノコンE、進化R、自然D(パターン2)、式神W(キャルピン採用)、妖怪Nc(パターン1)

KBS:アマツE、潜伏R、自然D(パターン2寄り)、式神W、妖怪Nc(パターン2)

画像19

※画像は大月さん協力。

 まず、相手の持ち込みデッキを見たときにこちらの持ち込みで弱いデッキを考えます。対KBSで考えると、リノコンEがアマツEと自然D、式神Wに少し弱そうです。このデッキの当て方を間違えると戦況が大きく変わりそうです。

 さて、こうしてこちら側の弱みは把握できました。では次に強みを見つけましょう。自身を持って持ち込み勝ちというデッキはなさそうですが、強いてあげるとすれば妖怪Ncでしょうか。このデッキは使い方によっては立場を一変させる可能性もありそうだ。そのほかのデッキは相手のデッキと微有利微不利の間で揺れているくらいで、これといった持ち込み負けはなさそうです。

 では相手のウィークポイントを見つけましょう。ハンドによってはぶち抜かれる可能性があるところは目を瞑るとして、アマツEは狙いどころだろう。自然Dも少しウィークポイントと捉えてもいいかもしれない。

 互いのデッキ評価も終わったところで、投げ順を考えていきましょう。私は投げ順を考える時にはまず基本的な方針を考えます。大体このデッキが前にきて~とか後ろにおいて~とかを考えます。では、私の持ち込みデッキで考えてみましょう。まずは既述したように役割を決めましょう。

リノコンE → 対潜伏R、対妖怪Nc戦に持ち込みたい
進化R → 式神Wには劣るがやや万能デッキ
式神W → 万能デッキ
自然D → 対潜伏R、対アマツ用デッキ
妖怪Nc → 対アマツE、対式神W(先攻分捕れ)、対自然D

という感じになりました。ここから順番を考えます。

 まず個人的なこだわりというか見解なのですが、式神Wは絶対に最初には投げてはいけないと思います。この環境で最もどのデッキにも勝つ可能性が高く、最も無難なデッキだからです。僕は大体3番手に投げます。

 なぜ3番手に投げるのか?という点ですが、はやくBO3状態にしたいという意図があります。

※BO3状態 BO3では2つのデッキを用いて試合を行いますが、BO9でも残り2つのデッキ状態になることを私はBO3状態と呼んでいます。こうすることによって、相手のデッキとの有利不利が分かりやすく、投げ順が考えやすくなります。相手視点からするとどちらが出てくるかをある種1/2で当てなくてはならないため、やりづらい状態となります。

 で、このBO3状態にはどのようなデッキを持ち込めば良いのでしょうか。個人的には相手の狙いたがっているデッキとこちらの強みもしくは全体面に通りやすいデッキを合わせておくと効果的だと思っています。あくまで予定通りに事が運び、相手のデッキが多めに残っている場合ですが...

 というわけで3番目に抜けるデッキを式神Wとして想定しましょう。一番手にはなにを持っていくべきでしょうか。個人的にはこの環境であればなにかを狙ったデッキ選択よりも、多くのデッキを見れるデッキを持っていくべきだと思います。進化Rや妖怪Ncでしょう。進化Rはより中盤での投げるタイミングが難しいですので、一番手として起用してもいいのではないでしょうか。相手がアマツを握っている場合、一番手としていきなり投じてくるケースも考えられます。実際、アマツEがあれば私は一番手に投げたい人です(相手のどのデッキにもアマツパワーで勝ちきる可能性が高いため)。そのため、妖怪Ncの一番手も効果的です。ですが、こちらがアマツEをウィークポイントとして考えているため、ここは進化Rを投げておきましょう。

 これ以降は相手のデッキの投げ方にもよるので、あまり多くは言及出来ませんが、一番手が抜けたと仮定すれば二番手は相手が一番手として投げてきたデッキに不利なデッキが好ましいです。連投策という可能性も考慮出来ますが、もっとも相手の投げてくる可能性が高いのはこちらの一番手に不利なデッキなので、連投策は最初から考える必要はないかと思います。もし、これがDSALやSULなどの過去の対戦データが見られるものがあった場合だと、そのデータから計算することも出来ます。ちなみに、上記の例でいけば二番手は概ね自然Dになりそうです。次いで式神Wを投げてBO3状態に持ち込み、最後に妖怪Nc、リノコンEを投げて終わりという形が一番望ましい形になります。

 これはあくまできれいに勝ち切った場合です。もちろん、シャドウバースですから負けてしまう試合もあるでしょう。そうなった場合は既述したような戦い方が取れない場合も考えられます。ここからは実例を基に考えていきましょう。

(実例1) DSAL Season2 予選ラウンド Fenrir vs Qwert

画像20

 勝ったのはQwert、この試合をQwert視点で見ていこう。

画像21

画像22

 この試合、Qwert側のウィークポイントはアマツEだろう。進化R、自然D、進化Rに軒並み通りが悪く、式神Wもソーサラー&クオン如何ではいかれる可能性がある。とはいえ、アマツ側もパワーのあるデッキなのでとりあえずは他のデッキで勝ち切ってアマツにつなげたい。

 対してストロングポイントはというと、これも確実なものはないが強いて言うのであれば妖怪Nc辺りは通りが良さそうだ。

 逆に相手のウィークポイントもアマツEと考えられるので、理想としてはアマツEと自然Dを最後の方まで残して牽制つつ勝ちたいところです。

(第一バトル)

 試合を見てみましょう。Qwertは妖怪Ncを投じており、結果はFenrir側の自然Dの勝利となっている。となればまずひとつプランが崩れたわけです。Qwertとしては妖怪Ncを通して自然Dあるいは少しムラのありそうな潜伏R辺りを投げたかったのですが、これで一つ分余裕がなくなったわけです。ただ、抜かれたのがパターン2寄りの自然Dなのでこちら側でそこをターゲティングするデッキも特になかったのでまだ抜けられたデッキの中ではよかった方なのではないでしょうか。

(第二バトル)

 肝心な次の手ですが、次にFenrir側が投げてくる可能性が高そうなのは進化Rでしょうか。こちらの自然Dに強く、かつ全体面無難な立ち回りが出来るデッキです。となるとここは相手の警戒が薄そうでかつこちらのプランも通せる連投が良さそうです。結果Qwertはここで式神Wを投げに行きましたが、ここには負けたので一本取り返したいという少々の焦りも感じられます。

(第三バトル)

 さて、第二バトルも落としたということでいよいよ後がなくなってきました。次のバトルを落とすとBO3状態に相手が入ってしまうため是が非でも勝ちに行けるデッキが求められます。となればここはこちらの当初のプランを崩してでも式神Wを投げるでしょう。ここは実際の試合も同じような展開になっていますね。

(第四バトル)

 さて、1勝もぎ取った形にはなりましたが依然負けているQwert。次はイーブンスコアに戻すための策を取りたいですね。当初の予定では式神Wが中間地点で便利役を担う予定でしたが、現在持ち手に式神Wは居ません。となると、同様の役割を担う中間地点を担うデッキを妖怪Ncとしましょう。となれば残るアマツE、潜伏R、自然Dの中でどれを投げるかという話になりますが、これは当初の予定に軌道修正出来る潜伏Rを投げるか、勝ちの目が大きそうな自然Dで行くかとう話になりそうです。ここで自然Dを投げる場合は概ね勝った場合次のバトルは潜伏Rになりそうです。逆に負けた場合は相当厳しい状況に追い込まれるため、プランどうこう言ってる場合ではなくなる可能性もある。

自然D (勝ち)→妖怪Nc
    (負け)→自然D続投
潜伏R   (勝ち)→妖怪Nc
             (負け)→自然D

 私であれば勝つプランのために潜伏Rを投げそうです。実際の試合展開もそうなっていますね。となれば妖怪Ncを次に投げてアマツE&自然DでBO3状態に持ち込みたいですね。

(第七バトル)

 さて、残ったアマツEと自然Dはどちらを先に投げるでしょうか。ここは本当に好みだと思うのですが、自然Dから先に投げる場合は相手のアマツE読みを透かした形になります。対して、アマツEを投げた場合はアマツEの施行回数を増やす意味合いを持たすことができます。これは正直チームの好みに分かれると思いますが、私個人としては自然Dを投げそうです。

(実例2) リグゼ vs DSAL運営チーム

画像23

  最後に先日行ったG×G所属のリグゼ選手とのBO9の試合を例にあげましょう。こちらの試合の出し順はすべて私が決めていたので、話しやすいので例にします。

 この試合、リグゼ選手が使用したのはまさかの冥府Ncということで、僕もすこし困惑していました。ですが概ねこちらのウィークポイントがアマツE、潜伏Rだったのでどちらかを後の方に残すことは最初の段階で決めていました。ですが、2デッキも弱みのあるデッキを持っているとなると、どこかで完全に当て勝ちするか、あるいは不利対面をひとつ抜きに行くかをしないといけないです。

 立ち上がりにアマツEが先鋒にだされましたが、これは概ね相手のデッキを読みに行きました。相手視点、リノコンEが微不利以下に落ちる対面が式神WとアマツE以外なく出しやすいため投げやすく、また進化Rでも完全不利なデッキはそこまで無く先鋒としては良さそうです。となれば1/2でも完全優位対面を踏むことができる点とアマツEのパワー、担い手の腕に期待して先鋒に起用しました。当て勝ちしたのに負けた翼識は説教ですね。

 第二バトルは、全体面に概ね優位な自然Dを起用しました。これはうまく冥府Ncを踏んでくれてよかったです。これでイーブンスコアに戻せたのはよかったですが、最初のプランである潜伏R+なにかという形は厳しそうです。

 第三バトルは、こちらが読み間違えた部分です。連投策を無いとみて残っているデッキでは不利寄りの妖怪Ncを投げたのですが、ここはリグゼ選手に当てられました。しかし、ここで勝てたのは非常に大きいです(実際の試合はリグゼ選手がめっちゃ事故ってたらしい)。これで第一バトルの負けを帳消しに出来そうです。

 第四バトルは式神Wを投げました。これはもう冥府連投から潜伏R狙いであることが透けてきたので、潜伏Rを最後まで温存して式神W→アマツEの流れで決めようと思っていました。第五バトルもうまくアマツが抜けて後は潜伏Rに託す形となりました。潜伏Rの結果は残念でしたが、投げ方は概ね良かったのではないでしょうか。

5.おわりに

 ざっと思いついたことをダダっと書いたので少し読みにくい文章になってしまったかもしれませんが、以上で今期のBO9総括を終わります。もしよかったなと思ったら拡散だけでもしてくれると嬉しいです。今環境も残すところあと1週間ですが、大学生リーグ・DSAL決勝もあるのでこれを読んで自分ならこうするな、とか考えてもらえると嬉しいです!!

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?