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サコツの部屋から
薄い雲の下、川沿いに伸びる緑
ペットボトルのラベルでどこへ旅行していたかがバレる。
さっきまで青々しい山々だったのに、こちらが本を読んでいる間に建物だらけになっている。そうですかはいそうですか。
警備員も大変だよね、ついさっきまで走り回っていた君が言うかね。
貰えばよかった袋の累計数で空が飛べそう
友達でいようねって、言われたのにな
少しずつ増えていく愛おしさを感じて、
少しずつ減っていく寂しさを想像してしまう。
サイドミラーを覗くと夏の雲
ブルーハーツの青空を聴きながら、久しぶりにあのガラス張りのビルの前を通ってみた。歯を磨きながらレインボーブリッジの写真を撮っていた、味気ない昼休みたちを思い出す。
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あの話を打ち明けたとき、私を慰めるよりも先に奴への怒りを露わにした母と、私を守れなかったと自分を責めて泣き出したあの子。二人のあの顔は今でも鮮明に思い出せる。
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幼い頃から人に何かを心配されることが苦手だった。解決のための糸口を持ち合わせていない自分の居た堪れなさと、そんな自分に気を遣って無理矢理被った心配顔のお面の下に覗ける相手の失望した顔に耐えられなかったのかもしれない。そのせいか、まるで笑えないような話をヘラヘラと作り笑いを浮かべながら話す癖が知らず知らずのうちについていた。
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あの時、私は本当は怒りたかったのかもしれない。胸ぐらを掴むほどに怒り狂って、顔がぐしゃぐしゃになるほどに泣き喚きたかったのかもしれないと今更になって気がついた。二度と行かない駅で、真夜中に手が挙がる。
ほらまた君は起きてもないことを想像して悲しい顔しているね。まただね。大丈夫だって言っているじゃない。悲しいことはちゃんとそのうち起こるから。勝手に向こうからやってくるから。みずから悲しむ練習なんてしなくていいんだよ。それがきた時に自然と悲しくなるから大丈夫。はやくそんな顔するのやめて、美味しいものでも食べにいこうね。
写真にしたら変わってしまうから、
焼き付ける、光がぼやける雲の際を。