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【樹木たちの知られざる生活】    (要約1/4)

【樹木たちの知られざる生活
 森林管理官が聴いた森の声】
著 ペーター  ヴォールレーベン
訳 長谷川 圭

  [要約] (1/4)


■友情

木の根と根が直接繋がったり、
根の先の菌糸が栄養の交換を手伝う。
森林は蟻の巣にも似た優れた組織である。

植物は自分の根と他の根を区別している。
自分と同じ種類だけでなく、
他にも栄養を分け合う。
協力することで生きやすくなるからだ。

森がなければ天候の変化から
自分を守ることもできない。
自分のことばかり考えていたら多くの木が
大木になる前に朽ちていく。

木は、隣りにある同じ高さの枝先に
触れるまでしか自分の枝を広げない。
空気や光の領域を侵さないためだ。
根が繋がりあった仲良し同士は、
ときに同時に死んでしまうほど親密になる。

■木の言葉

木も自分を表現する手段を持っている。
芳香物質、香りだ。

キリンはサバンナアカシアを食べるが、
アカシアはキリンがやってくると葉の中に
有毒物質を集め食べられないようにし、
仲間に知らせるエチレン警報ガスを発散する
同じようなことが、どの森でも行われている

樹木は自分で自分を守る力が備わっている。
ナラは毒性のあるタンニンを葉に送り込み、
ヤナギはサリシンという物質を作り出す。
頭痛薬は、もとはヤナギから作られた。

人間が栽培する植物は品種改良などで
会話する能力の大部分を失っている。
能力を失う→害虫に弱い→農薬を使う→
さらに能力が失われる

■社会福祉

木々は互いに補い合っている。

ブナの間隔が近すぎると良くないと考え、
切り倒したりする林業従事者がいる。が、
密集している方が生産性が高い事が分かった
人間が手助けのつもりで邪魔者を取り除くと
残された木は孤独になり長生きはできない。

連携を失った森には、“敗者”が並ぶことになる
強いものから助けてもらえず、
害虫などの攻撃を受けやすくなってしまう。

弱者がいなくなれば強者の繁栄もない。
木々がまばらになると、
日光と風が直接入り込み冷たい空気を失う
その状態が続くと強い木も病弱になる。

「社会の真の価値は、そのなかの最も弱い
 メンバーをいかに守るかによって決まる」

■愛の営み

木の、のんびりとした性格は
その繁殖の仕方にも表れていて、
少なくとも一年前から子作りの計画が始まる
春に
愛が実を結ぶかどうかは種属によって違う。

風は花粉を吹き飛ばし近くの木に運ぶ。

樹木はどうやってほかの木の花粉を
区別しているかはっきりと分かっていない。
ただ、
受粉により遺伝子が活性化されること
適合しなければ繁殖に繋がらないこと
が分かっている。
花粉の違いを感じ取る、
としか言いようがないのが現状だ。
人間と同じで樹木の愛も謎に包まれている。

数本だけが仲間から離れて孤立した場合、
多様性が失われ、死滅してしまうだろう。

■木の宝くじ

木はとても思慮深い存在だ。
自分のエネルギーを
生きるために必要な活動に慎重に振り分け、
一部のエネルギーは成長のために使う。

昆虫や菌類から攻撃されたときすぐに
葉や樹皮に撃退物質を送り届けられるように力を蓄えておく必要もある。

衰弱した木に限って
たくさんの花を咲かせることが知られている
死ぬ前に、なんとか子孫を残したいのだろう

一本のブナは5年ごとに、
少なくとも3万の実を落とす。
寿命を400年とした場合、
60回ほど受精し180万個の実をつける計算だ
そのうち成熟した木に育つのはたった一本。
宝くじの一等を当てたようなものといえる。

■ゆっくりゆったり

木はゆっくりと成長する。
若木はどんどん成長したがるが
母親はそれを許さない。
子どもたちの頭上に枝を広げ屋根を作る。
子どもたちのための教育なのだ。

教育の手段は光を遮ることにある。
若い頃にゆっくりと成長するのは
長生きをするために必要な条件だ。

ゆっくりと成長するおかげで
内部の細胞が細かく空気を殆ど含まない。
柔軟性が高くなり嵐が来ても折れにくい。
傷がついても皮がすぐに塞いで腐らない。
優れた教育こそが、長生きの秘訣なのだ。

根を通じて母親が子どもたちと繋がり 
糖分をはじめとした、栄養を与える。
人間の母親が赤ん坊に母乳を与えるのと
同じことが行われている。

■木の作法

森の樹木には守るべきマナーがある。
原生林のメンバーとして身だしなみを整え、
きちんと行動しなければならない。
素直に成長した広葉樹は幹がまっすぐで、
繊維も均等に走っている。
根はきれいな円を描くように広がり、 
幹の真下で地中深くに伸びている。

理想的な形をしていれば安定する。
成長した木の大きな樹冠は、
強風や激しい雨や大雪に曝されることになる
そのときの圧力は幹を伝って根に送られ
根はそれに耐えなければ倒れてしまう。

殆どの針葉樹は一途な頑固者だ。
ひたすら真っすぐ育とうとする。
例外はマツだ。頭をいろいろな方向へ向け
針葉樹の中では一番雪の被害に遭いやすい。

■木の学校

ブナの成木は毎日500リットルを超える水が
枝や葉を駆け巡る。
夏は水分の補充が追いつかない。
だから森は冬のうちに水を蓄えておく。

トウヒは贅沢の末に痛い目に遭う。
地面が乾いてるのに水をよこせと要求し、
乾燥した幹に過剰なストレスをかけてしまい
1メートルを超える裂け目ができる。
ひび割れはとても深く大けがだ。

木の学校。自然は厳しい先生だ。

注意散漫で周りの状況に合わせられない木は
容赦なく罰せられる。

安定性についても学習する。
自分の根で立つ。
木が安定するまでには3年から10年かかる。

■力を合わせて

樹木は助け合いが大好きで
社会をとても大切にする。
樹木は菌類と同盟を結ぶ。

菌糸は周りの土の中にも広がっていき、
さらに木の根の範囲を超えて、
ほかの木や菌糸とも結びつく。
こうして、ネットワークが形成され、
栄養などの情報の交換ができるようになる。

菌類は樹木から糖分等
の栄養を譲り受ける。

キツツキは木に穴を開けて、
つまりけがをさせて巣を作るが、
樹木にとって脅威となるキクイムシを
くちばしでつつき出してくれる。

タマムシに襲われた樹木の救世主となるのは
深紅の翅が特徴的なアカハネムシだ。

ご覧下さりありがとうございます🍀


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