大地の再生 #4コンクリート水路の整備
矢野智徳さん主催の「大地の再生」講座。
今回から2日目の作業に入る。
▼前回の記事
2日目、鶴川の近くを走るコンクリート水路で作業を行なった。
この水路は、鶴川の支流である仲間川から水を取り込み、鶴川の下流へ水を出す。かなり長く、コンクリート三面張りでつくられている。
水は浅く張っているが流れはかすかで、底には流れてきたドブが溜まっていた。
矢野さんは水路を見つめながら、人に都合のよい、人にとって合理的なやり方では、「必ず詰まる」のだと言っていた。人都合のコンクリート水路はその典型である。
だから効率的でなくても、自然の風や雨の作用を倣って、やさしく、やりすぎず、またできるだけ全体に行き渡るように作業するのだと語っていた。
話によるとこの水路のドブは、すべてきれいに取り除いたところで、また同じだけのドブが流れてきて溜まる。それは自然による必然的な作用らしい。
矢野さんはこのドブの一部をあえて残し、有機物(植物)や石と組み合わせて利用する。
この直線的なコンクリートの中に、自然の小川の状態をつくるのだ(!)
私が鶴川沿いで風の草刈りの続きをやるあいだ、一部メンバーが水路に取り掛かっていた。
余分な土砂(ドブ)を取り出し、残りの土砂を川が蛇行するような形に似せて端に寄せてあった。
土砂を端に寄せたら、枝などの有機物を互いに絡み合うように置いていく。
この絡み合う構造は「しがらみ」と呼ばれ、ただ並べるよりも崩れにくい。
隙間はあるがほどよく密着もしているため、通気通水と保気保水の機能を兼ね備えており、さらに空気や水はここを流れると渦流をつくり出して作用を高めるらしい。微生物のすみかにもなる。
この有機物によるしがらみは、地面に掘った穴や溝にも施すことが多く、大地の再生の基本的なテクニックだ。
水路に有機物をしがらませたわけだが、これだけでは水かさが上がって水流が強くなると、さすがに流されていってしまう。そこで、ここに石も噛み合わせるように置いて押さえていく。
参加者は石や有機物を集めてきて矢野さんに渡し、
矢野さんは水路に入ってそれらを配置していった。
そして最後に、底の土砂をすくいあげて上からやさしくかけて仕上げる。
土砂、有機物、石を組み合わせることで、4つの機能が獲得できるという。それは、通気通水、保気保水、耐圧、濾過の機能である。
先ほど述べた有機物によるしがらみは、それだけで最初の2つの機能をある程度カバーすると考えられる。
さらに、それを石と土砂で固めることで水圧に耐えるようになり、また流れてくる水はこの複雑な形の塊に当たることで泥が除かれ、きれいになってゆく。
整備を終えた水路は本当に小川のようで、見た目にも美しかった。
作業を終えてみると、淀んだドブだった水路には澄んだ水がさらさらと流れ始めていた。
変化は思ったよりすぐに現れる。
水を満たした100mホースの先端を解放すると、100m先の水でも瞬時に動く。
この原理で、作業は遠くの場所にもすぐに影響を及ぼすという。
この水路の作業では、結果がはっきりと見えて実感となったため、今回の講座の感想ではこれに感動したという声が最も多かった。
▼次回、タカキビの種まき。