大地の再生 #3コメの種まき
矢野智徳さん主催の「大地の再生」講座。
1日目の続き、今回は自然農の作業を紹介する。
▼前回の記事
4月2日、スタッフの方手づくりの美味しいお昼ご飯を経た午後、田んぼの整備とコメの種まきを行なった。
田んぼは、自然でいえば湿地帯である。
湿地帯は、空気と水の滞る場所である。
だから田んぼでは、風や雨の通りをふつうよりも悪くし、ゆるやかに流れる程度にする。
適切な湿地帯環境をつくることで、種籾の発芽率が上がるという。水はけがよく乾きすぎると、畑に生える植物が生えてきてしまう。
矢野さんによれば、灌漑用の水路は水を張る前でも閉じておいて、地表で吹き抜ける空気の通り道をふさいでおくと、よりよいらしい。
今回のコメの栽培法としては、苗代で苗を育ててから、その苗を本田に植え替えるようだ。
田んぼになる部分は周りの地面よりも少し低くなっていて、中は湿ってねっとりとした粘土質の土である。
まずは田んぼ用地の真ん中に畦道をつくり、本田と苗代の部分に分けた。
そして本田・苗代ともに、全体をならすように耕すのだが、このとき、前シーズンから残されていた地表の有機物をすき込むようにする。土に有機物を混ぜることで、土の強度を上げ、水をはけにくくする。
ただし、有機物をすき込むとガスが発生し、これが植物に悪影響を与えるため、よく耕して空気の通りをよくしておく。
次に、本田と苗代のそれぞれの外周には、全体の圧をゆるませるための深めの溝を掘る。圧をゆるませるとは、つまり地中の空気がここから抜けるようにして、空気の循環をつくることだと推測する。
これも地中の有害ガスを抜くのに役立つ。
また、余分な有機物はこの溝に落としておく。
溝の内側は少しだけ高く盛り上げるようにと言っていた。
そして、今回の種まきで使う苗代づくりの作業に移る。
外周の溝の内側には、空気と水の脈となる浅い溝を3本ほど入れた。これは深すぎると空気と水が溜まりすぎてしまうので控えめに行なう。
これによって背の低いベッド畝のようなものが4畝完成した。
このへんは記憶が曖昧なのだが、畝の表面は三ツグワなどでもう一度軽く耕した可能性がある。
メモに残している限りでは、台風のような粗い耕起をしたあと、雨が降り水の流れが地表を行き来するような、細かい耕起をする。
この畝に、まずは籾殻くん炭を、多めに、ムラなく、まんべんなく撒いていく。
撒いたら、手で掻くようにして土と炭をなじませる。
次に、種籾をばら播きする。種を手につかみ、上からぱらぱらと落としていく。
このとき、密にも疎にもなりすぎないよう、種の間隔が2cm程度になるように播いていく。
播いたら、雨が土を叩くイメージで、軽くポンポンと手で鎮圧する。
次に籾殻を、全体を覆うように多めに撒く。
最後に、稲わらを撒く。
これは方向を揃えた束のまま置かないで、上から落として振りかけて、ばらばらの方向になるように撒く。
これで苗代の完成である。
撒いたものの機能を考えてみると、
表土に混ぜ込んだ籾殻くん炭は、保水や通気に優れ、微生物のすみかにもなる。また、地中で発生する有機ガスの影響も軽減するらしい。
炭は土壌改良材として大地の再生で非常によく使われる資材だ。
種籾の上に被せる籾殻と稲わらは、種籾を適度な温度と湿度に保つと考えられる。また鳥に食われたり、雑草が生えてくるのを防ぎ、有機物であるから最終的には土を肥やす。
苗代の管理のようすがわからないのが残念だが、ここでひと月ほど苗を育てたら、本田へ田植えとなるだろう。
今後が楽しみである。
ちなみに、今回は苗代をつくったが、大地の再生の次以降の講座でコメの直播きも行なうそうだ。
▼次回、コンクリート水路の整備。