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『こえコン! vol.7』感想
小田急線の「下北沢駅」から降りて南西口に向かって出た先には賑やかな商店街が広がっていた。
下北沢南口商店街。
古着屋や雑貨店、カフェが立ち並び、散歩を楽しむ人たちで賑わっている。
通りの両側には個性的なお店が並んでいる。少し寄り道したい気持ちを抑えつつ目的地に向かう。
商店街を抜けると、そこは茶沢通り
右に曲がり、そのまま少し歩く。通り沿いにはコンビニやチェーン店が点在し、ちょっとした休憩スポットだ。ジュースでも買って休もうかと提案するイマジナリーフレンドの誘いを蹴って、先に進む。
やがて、左手に「下北沢タウンホール」が見えてくる。それを通り過ぎ、さらに少し進むと、右手にようやく目的地が見える。
「NSビル」。
その3階に目的地――「Music Island O(ミュージックアイランド・オー)」がある。
ビルの入り口を見つけたら、階段を上り三階に向かう。
店の中から音楽と楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
緊張を抑えて足を踏み入れる。
運営さんだけに伝えていた、事前に用意していた偽名で、隠れるように座席につく。
やがて始まる、オフライン声劇。
舞台の上、そこには、受肉したキャラクター達がいた。
「魔王様が、大臣が、五暴星たちがいる! 動いて、喋って、戦っている!」
という感じで。
100万回くらい見た、アニメ化が決定した漫画のコミックスの巻末に載っているアフレコ現場のレポートみたいなことを書きたかったのですが、残念ながら、地方も地方なので、現場に行くことなんてできませんでしたし、そもそもその日、所用が入っていたので、リアルタイム配信すら聞けませんでした。
というわけで、私は、受賞者唯一のアーカイブだけ勢です。
略してアーゼイです。
アーカイブだけしか聴いてませんが、感想、書くねー
夜だし、こういうの苦手だしでとっちらかった感想になるかもしれませんが、もしお読みになるのでしたら、それは、もう覚悟して下さい。
あと、基本人の名前じゃなくて、その役名で書きます。ますます。
以前書いた、受賞台本の感想はこちらから。
併せてどうぞ。
開演挨拶
アーカイブを再生。
しばらくの間、こえコン会場の環境音が流れ、やがて聞こえる「5分押しでーす」。5分押しなんだ。
この始まる前の時間の空気感、結構好き。
配信向けに、運営さんによるご挨拶。
画面の向こうにいるリスナーさんもきちんと観客にしてくれる心遣い。
これだけで、配信を聞いて良かった。チケットを買ってリアルタイムで聴けて良かったって思うんじゃないでしょうか。
イメージとしては、紅白の裏チャンネルやオーディオコメンタリーを聴いている感じでしょうか。
知らんけど。
運営のしましまてとらさんによる司会進行。
ルール(マナー?)説明。淀みなく聴きやすい。縁の下の力持ち。っていうか、力持ち。マッスル。ブラボーカード。
個人的な話になるけど、このしましまてとらさんのおかげで、というか、この人が運営をしているから「しなコン!」に応募しました。
会場であるミュージックアイランド・オー(エムアイオーガニック)のマスターの粋な心遣い。マジイケメン。マジハンサム。
そして始まる、オープニングアクト。
ユメカナイノ館(著
栞星-Kanra-)
【出演】
飯沼 : ひらのあっきー
レオ : ベルナックル
ララ : 楔雪氷
レレ : 青井雅
メルヒェンな音楽から始まる物語。メルヘンというよりメルヒェン。判らない? そりゃあそうだ、今感覚だけで書いているもの。
トランプで遊ぶ幼い双子。すごく似ているけど、似ていないっていうか。ララの方が少しテンションが高い感じがして、誰が喋っているのかが判りやすい。
レオ登場。物腰の柔らかな雰囲気が個人的イメージピッタリ!
館を訪れた飯沼。迷い込んだ気の弱そうな、人のよさそうな感じが良い!!
レオと飯沼の会話によって、物語世界が少しずつ広がっていく。
会話にあわせた環境音が心地良い。
そして、現れるOPタイトル!
流れが神がかっている!!
この時点ですでに、今回の『こえコン!』の勝利が約束された! マジ・エクスカリバー!!
飯沼の幼い双子への話し方が、穏やかで良い。彼を主人公として観ればいいんだな、と観客に思わせてくれる。聴きやすいし、見やすい。その後ろで流れる少し不穏なBGM。もしかして、この館の主人(レオ)に何か恐ろしい秘密があるのだろうか。
それはそれとして、飯沼と双子が仲良くする様子に癒される。
と、思っていたのも束の間、これですよ。
イカレ野郎ですよ。豹変というより、グラデーションつけた狂人ですよ。
そして始まる惨劇。音も相まって、恐怖感マシマシの胸糞。
部屋に訪れるレオ。が、時すでに遅し。
飯沼のな。
「失礼。時間の無駄ですね」
冷たく吐き捨てるレオ。
因果応報の結末を迎える飯沼。
その結末でとある女性が出てくるのですが、その人の言葉をノイズ(?)で表しているんだけどそれがまたスゴい!
後ろの時計の針の音と相まって、異空間感。
ラストシーン、双子の声を合わせた「「ここで女優という夢を叶え続けているだけなのだから」」が見事。
双子の無邪気さと無慈悲さが滲み出るいいラスト。
出演者と演出の挨拶。当たり前だけど、役を下りたらみんな役とは違うね、とか思ったり。
配信では判らなかったけど、このユメカナイノ館の出演者さん達は衣装を合わせているらしい。気合入ってる。見えないのが残念。
しましまてとらさんによる作者の栞星-Kanra-さんの受賞コメントの代読。
いいね。こういう、作品に込めた思いや狙い、ライターさんの気持ちが語られるの。ライターはあまりそういう機会に恵まれないので、とても貴重で素敵な時間。
小休憩
演者のいない演劇部(著 さくらもち)
【出演】
ヒナ : カノカノ
レオ : 変態紳士
ララ : みゆうチャン
レレ : 雨宮水ノ
ユキト: 入谷円斗
出演者挨拶。リスナーさんたちのノリがいい。聴いているだけで楽しい。
最初から勢いのある劇。
聴いているだけなのに、四人の間にテーブルが見える。部室が見える。
まるで長年一緒に遊んでいる友達同士のような雰囲気。
ミズキの立て板に水な長台詞。長いのに流れない(?)というか、きちんと理解できる。
新人部員のヒナが入ってきて、さらに広がるワチャワチャ展開。
彼女が入ってきたことによって演劇部の展望が明るくなるような展開はまるで青春ムービー。
と、思ったら部長のユキトの演技が想像以上。
想像以上にリアルな棒読み。棒読みすぎない、本当にできない人の棒読み。ハイクオリティ・ボーヨーミー。
めぐりめぐって色々あって。
演劇部の展望が明るくなるような展開はまるで青春ムービー(四行ぶり二回目)
……ユキトくん、マジで噛むのかよ笑
そういうハプニングもむしろキャラクターの味になっていて素晴らしい!!
急に現実。
んだよこの茶番、と思っていたら……。
BGMが控えめながらも、その場面場面に合っていて、装飾が少ない分、そのワチャワチャを堪能できました。
とてもいい青春ムービーでした(五行ぶり三回目)
出演者感想。終始和やかで、そのままその演劇部の人たちが喋っている感じ。いい部活だなぁ。
作者のさくらもちさんの受賞コメント。簡潔で丁寧で愛嬌のある完璧なコメント……! 冷や汗が首を伝う。ヤベェ、おれ変なコメントにしちった。
小休憩
赤腕は「あかうで」なのか「せきわん」なのか。私は個人的に「せきわん」派。
配信トーク。なんか、こういうのいいよねー。お祭り感。
赤腕の亡霊(著 月駆)
クリム : ねるね
リズ : てんしさん
ビル : えんちょぬる
マスター: ともぴ
出演者挨拶。あ、主人公って女性だったんだ! 勝手に男性で読んでいた!
そんなこと考えていたら、扉が開いて幕が開く。カランカランカランと来客を告げる。
一瞬で劇世界に入り込めるクリムとマスターのカッコいい会話。そしてBGM。
ハードボイルドな雰囲気の会話にズカズカと入り込むリズ。
一瞬で空気感というか、店内の温度が上がる。張り詰めていた空気が緩む。リズが去った後も、クリムたちの雰囲気が柔らかくなっているように感じるのは気のせいでしょうか。そうですか。了解です。
ビルおじいちゃんリズと一緒に登場。その口調から剛毅な好々爺感が天元突破。
クリムとビル。ふたりが話す背景の機械音(?)が本当見事! 工房じゃん! トントントントントトトトトトト――
前にも書いたっけ? 情報の出し方が上手い。ストレスなくこの話を楽しむために必要な情報が入ってくる。
場面転換が多い話なのだけど、すぐにどこにいるのか、どういう場所にいるのかが判るのが強い。これが演者と台本と音響の融合か……!
マスターの豹変。「ユメカナイノ館」の飯沼とはまた別の狂気感。飯沼のは地続きな感じ。マスターは本来がこれで普段は仮面を被っていた。そんな印象。
クライマックス。ガチで聴くアニメ。
一話完結型としても楽しめる、シリーズモノとしても期待できる、いい劇でした。
出演者感想。マスターのギャップがエグかった。
あとリズ役をやった「てんしさん」さんが声劇関連のフライヤーを作っているんですってよ、奥さん。「今度やる声劇のフライヤーを作りたいなー、でも、作れないなー」という方は、「てんしさん」さんのXを尋ねてみたりしたらいいんじゃない?
作者の月駆さんによる受賞コメント。シンプルながらも喜びが感じられるいいコメント。
「みんな、オンラインでやるんだ」という運営さんの促しの言葉は、同じライターとして嬉しい。
長休憩
会場から配信勢へのファンサービス(?)
こういうの楽しいね。
この休憩の間に、ねすとさんといぬのはにゃさんとフキヤさんの炎、土、水が! イヤッホウ! テンションあがるぜ!
ささくれ(著 ものかき)
落合 : バ美肉おじ
秋庭 : 塩結ノ介
出演者挨拶。バ美肉おじって……あの人やんな?
BGMがなく、息遣いさえ聞こえてきそうな静寂の中。
ページをめくる音とペンが走る音ともに、作家と編集者の会話が始まる。
台本を読んだときも思ったけど、劇になったらより二人の距離感が絶妙。互いに気を使っていないように見せているけど、誰よりも相手に気を使っている感じ。
BGMがないのは演者さん達の希望。
引き算の美学。
音楽がないことで、より台詞ひとつひとつを粒立たせ、
この話が持っている、どこかもの悲しくエモい雰囲気を増幅させる。
……これ、聴いたら多分もっと演りたくなる人いっぱい出てくるよね。
そういうわけで。
個人的な感想なんだけど、今回のしなコン受賞作の中で、この先一番多く上演されることになる台本になるんじゃないかな、と思った。
余韻ナンバー1!
出演者ふたりの感想。自らが演じたその役を大事にし、作品への愛が強く感じられて、ヒトゴトながら、とても嬉しかった。
作者のものかきさんの受賞コメント。こちらにまでその気持ちが伝わってきて、涙腺にきた。
小休憩
魔王城の7人(著 雪のキシイ)
炎のバーナー : ねすと
水のジョウロ : フキヤ
雷のコイル : 孫我
土のシャベル : いぬのはにゃ
風のファン : 采
大臣メテオ : むのう
魔王カーテン : KK
ちゅーわけで、やっときました!
やっときた!
お待ちかねの『魔王城の7人』!
出演者挨拶。熱狂的な信者がいる。あとねすとさんの関西弁に注目。全員性別不問台本ゆえに、特に私の中にこういうイメージとかは無かったのだけれど、こうきたか、という感じ!
作者の見所紹介……ちがうんや、これは、はめられたんや! 運営のしましまてとらさんに
「作者の皆様には、上演後に受賞コメント。上演前に作品の見所を言ってもらうことになっているので、ほら、代わりに読んでやっから、書けよオラ(意訳)」と言われたんや。決して自分から見所はここだよ! なんてホザいてへんのや。あんのトラァァァァァァ!!!!
気を取り直して。
重々しい音楽から始まる上演。
その重々しさに負けない威厳溢れる魔王様の声と、それに答える五暴星たちと、付き従う大臣。
何このバランスのよさ! 勝ったぞ綺礼。この戦い、我々の勝利だ。
ところで、ねすとさんが喋るたびに笑いが起こるのなんなん(笑)
想像以上にチンピラなシャベルのうろたえっぷりは一聴の価値アリ! そしてそれを冷たく切り捨てるジョウロ。この2人の組み合わせ抜群ですね。
カーテンとメテオのコンビが、ペーパーテストでのアドリブも相まって、駄目な主人と有能な保護者な感じで推せる!
バーナーのすごんだ口調。ええなぁ! カッチョええなぁ!
コイル可愛いぃぃぃ! 護ってあげたい! 背ぇ小っちゃい!
ジョウロの警告。知性を感じられる口調で、言葉がひとつひとつ入ってきて、聞き取りやすいし心地いい!
ファンの飄々としながらも、爽やかな諦めが滲んだ口調とそれに対する6人。なんだよこいつら全員いいやつらかよ最高だな!!!
そして、押し付け合い。ギャだ!!!
想像以上に、台本以上に、ワッチャワチャ!
みんなワチャワチャ。魔王様とくにワチャワチャ!!
プレイヤーたち。格好いいのにマヌケで可愛らしいという、理想の、いえ、理想以上の形!
無敵の形!! 最強の形!!! 超楽しい!!!!
それをキッチリ締める、空気を変える、メテオの貫禄と有能さ! あなたのおかげでこの国は保っています。
クライマックスはBGM・SE相まって最高にカッコいい五暴星たち!!
アーティファクトの名前が(ドリンク)+(音楽のジャンル)だとしても関係なくカッコいいぜ!!!
それに加わる「コーーーーーrrrrrrラポップ!」
熱い! 熱すぎる!!
ラストのメテオの独り語り。余韻が残る、素晴らしいエピローグでした!!! ブラボー!!!
出演者感想。聴いている私は楽しかったけれど、演者さんたちは楽しめたかなと、ドキドキしながら聴く。ほっと一安心。頬が緩む。ねすとさんのBGMつき感想に気楽に笑う。と、そこでしましまてとらさんによる作者の受賞コメント代読。やめて! この雰囲気を壊したくない!
と思ったけど、ノリのいいリスナーさんとてとらさんの柔らかい声質と読み方のおかがげで助かった。良かった。冷たい汗かいた。
というわけで、私はお前らを恨まない。
私のコメントは間違ってませんでした。
演者、リスナー、音響・演出、舞台、台本。
全ての歯車が噛み合って、神合って。神だらけ!
全員神。無論私も神!
結果、最高の神声劇でした。ありがとうございました!!!
表彰式
代表して月駆さんが表彰台に。代表お疲れ様です。助かります。ありがとうございます!
この後、らてさんの『崩壊家族』をエキシビジョンで演られていましたが、受賞作じゃないし、この感想は割愛。
だってもう五時前だぜ?
あと三時間くらいしか寝れないぜ?
何時間これに費やしてんだって話だぜ(アーカイブ2周しました)
とにもかくにも。
『こえコン! vol.7』
とてもいいイベントでした!!
しなコンに応募して、受賞できてよかった!
ありがとうございました!!!!
おやすみ!!!!!