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失井敗斗暗殺計画③ 将来の夢はお嫁さん
メリア「ま、ますたー!」
敗斗「お。なんだ、メリアだけか? ……って、俺の部屋なんだから、本来それが自然なんだが」
メリア「はい。今は、わたしの『たーん』らしいです!」
敗斗「……ターンってなんだ」
メリア「ところで、お腹すいてませんか? 朝ごはん、できてますよー♡」
敗斗「お、サンキュ。頂こう。そういえば、クロエは?」
メリア「《とれーど》に出かけてるみたいです」
敗斗「マジか……。てか、午前中は時間外じゃないか……?」
メリア「と、ところで、ますたー!」
敗斗「ん?」
メリア「えーっと……そのー……ますたーは、わたしのことを、どう思っていらっしゃるのでしょーか……?」
敗斗「負債だと思っている」
メリア「そうじゃなくて!」
敗斗「なんだ」
メリア「だから、そのー……か、かわいい、とか……」
敗斗「遊部には大人気だな」
メリア「そうじゃなくて!」
敗斗「ロリコンにもモテると思う」
メリア「そうでもなくて!」
敗斗「きっと、変質者にも付け回されるタイプだな」
メリア「うえーん! もうお嫁に行けませんー!!」
敗斗「そんなことはないと思うぞ。料理も上手だし」
メリア「……え? そ、そうですか?」
敗斗「ああ。掃除もテキパキこなすし、むしろ適性は高いと思う」
メリア「えへへ。そうでしょーか?」
敗斗「あとは、『夜の営み的情事』に精通すれば、遊部が高値で買ってくれそうだ」
メリア「だから、そういうことじゃないんですーっ!! それに、えっちなのは、いけないと思います!!」
敗斗「だが、遊部の目的は、むしろそこに集中してると思うぞ?」
メリア「今は遊部さんじゃなくて、ますたーの話をしているんですっ!」
敗斗「……俺?」
メリア「はい! ますたーは……その、どんな人をお嫁さんにしたいんですか……?」
敗斗「うーん、なんだろ。……俺より稼ぎがいい人かな」
メリア「いきなり無理難題が来ました!」
敗斗「俺の誕生日に、土地の権利書とかプレゼントしてほしい」
メリア「普通の女の子はそんなプレゼントしません!」
敗斗「仕方ない……。『テンガバー』でもいいぞ?」
メリア「『てんがばー』? って、なんですかー?」
敗斗「株価が10倍になった銘柄のことだ」
メリア「お金から離れてくださいっ!!」
敗斗「しかし、それ以外に結婚相手を得るメリットが……」
メリア「お嫁さんには、もっと大切なことがあります!」
敗斗「たとえば?」
メリア「『かわいい』ことです!!」
敗斗「…………」
メリア「なんでそんな『死んだお魚さんのような目』をするんですか! じゅーよーですよ! かわいいこと!!」
敗斗「世間的には、そうかもな」
メリア「ほら! わたし、かわいいじゃないですかー?」
敗斗「うーん……まぁ、一般的に見て容姿が悪い部類ではないと思う気が微粒子レベルで存在しているらしいという仮説もあるな」
メリア「え、えっと……そうです! かわいいんです!」
敗斗「強引に都合のいい解釈したな」
メリア「そんな『かわいい』わたしと! その……、ちゅ、『ちゅー』とか、したいと思いませんか……?」
敗斗「いや、まったく」
メリア「なんでですかーーーっ!!」
敗斗「お前は知らないかもしれないが、この世界はロリコンに厳しいんだ。昨今、『児ポ法』もどんどん厳しくなってるし、下手したら今後、お前と同居しているだけで重税を課せられる可能性も――」
メリア「お金から離れてくださいーーーっ!!」