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狭まる視野と己の中立性

ごきげんよう、くじらです。

人間は誰しも「中立的」な考えを持っているとは思いません。皆が全員何かしらの「偏り」を持って考えて、行動する。しかし、もしあなたが信じていたものが「偽り」の情報だったら。 今日はそんなお話です。

この世に絶対的中立な人間など存在しない

例えば、あなたが所属しているコミュニティで口論があったとしましょう。仲裁をするためにあなたは「中立的な立場」になりますが、その立場はあなたが自ら名乗り出た「一時的な中立」という役割に過ぎません。もしかするとあなたは別のトピックだと賛成・反対のどちらかに分かれると思います。

では何故「絶対的中立な人」が存在しないと私が思うか。中立というのは、賛成反対いずれでもないということはそこから生まれる議論や意見交換の機会を放棄することに繋がるからです。「私はどっちでもいいよ」はどうでもいいときや、相手に合わせる(中立的とも言える)発言はその先の展開に対する発言の機会を放棄しているも同然なのです。長くなりましたが、要約すると「しょーもないヤツ」になる。

影響されやすい人間とそうでない人間

一般的な人で影響されやすい人間は、下記に当てはまると思っています。
1.他人に合わせようとする
2.承認欲求が強い
3.自分に自信がない(自己肯定感が低い)
4.新しいことに挑戦しない

昨今の若者、とりわけ30代までの日本人に多い印象を受けます。そういう私も20代なので例外ではないです。今まで「人間として評価された」経験が少ないのではないでしょうか。

実際問題、私も評価されたことがない。むしろどっちかと言うと部活でケツをしばかれ全国大会へ行く。全国大会が終わるとそれまでの頑張りを評価することなく、「次の全国大会にむけてどうするか」という話になってました。その当時は自覚がありませんでしたが、「評価する立場」の教育者もマトモな評価を生徒に教えるべきだったんじゃないかと思います。この「無意識」とともに大学へ進み、単位のためのテストの成績は一括した成績表でABCDFで評価され、「どこが間違っていたのか」ということを聞く暇もなく次学期の時間割を組む。

卒業するまで、「くじらさんのこれは良かった/悪かった」という評価を受けたことがあっただろうか。保護者面談も進路の話、これからどうするべきなのかという助言はすべて親に委ねられている。

社会の文化を世襲したかのように現代的とは言い難い「無言」によって現代の若者は自己肯定感を失いつつあるなと実感した。

そうであれば、影響されない人は利己主義なんですよね。これに尽きる。自分を中心に物事を考え、自分が何をすればいいのか、そのためにはどういう道を進むのか。そういうことも保護者と衝突して突き進む。「反抗期」ですよね。自分がNOと思うことにはNOという。それが組織内の権力者であれ、親であれ、目標やプランが明確でそれを邪魔することや人や一蹴する。

影響されやすい人に与えてはいけない「モノ」

ズバリいいます。SNSです。知らない人だけど同じ境遇の人と巡り会える。今まであった社会的な壁が取り払われたのが2010年代前半です。ソレ以前から2chなどの掲示板サイトで同じような境遇の人間が傷の舐め合いをしていましたが、スタイリッシュなサービスが始まり2ch全盛期よりもっと、画面の向こう側の人が身近に感じるようになりました。

そこでややこしくなるのが「私は間違っていなかった」という確証バイアスです。

確証バイアス(かくしょうバイアス、英: confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。 認知バイアスの一種。

Wikipedia 「確証バイアス」より

もともと自分の中に「偏った思想」というのがあって、SNSに同志を見つけたときにそれが起爆剤となり、ますます確証バイアスが加速していく。SNSの怖いところはそのバイアスが雪だるま方式で続々と自分の知らない情報を取り込み、自分なりの解釈を承認欲求のためにインターネットの海に拡散する。

その典型的な例を見つけました。まだ私の読者でXを使っている方はあなたのおすすめを汚染することになりますので、タップ非推奨です。私は慈悲深い海洋生物なので、一連のツリーの一部を埋め込みました。

被験体の検証

オタクはネットでよく喋って話にまとまりがないので、一つずつ噛み砕いていきましょう。

最初の投稿では「サウジアラビアは米国との50年間のオイルダラー協定を更新しない予定 代わりに中国人民元、ユーロ、円、元を含む複数の通貨で石油を販売することになるという

とあります。メディアリテラシーの高い方はお気づきかもしれませんが、

データはどこやねん。と。高校や大学でレポート出すときに出典元は必ず最後に特定の書式で記載することを学びませんでしたか?この時点でこの情報の信憑性が100%ではないということは想像に容易いのではないでしょうか。

「そもそもオイルダラー協定ってなに?すしだからわかんない・・・」のあなたに教えてあげます。オイルダラー協定という合意書は存在しません。

協定や合意書は、双方の合意のもとで署名されます。この方の言葉を拝借し、「オイルダラー協定」というのは非公式な取り決めであり、時代とともに進化してきた一連の慣行のことを指します。試しに「オイルダラー協定」と検索してみてください。主要メディアの記事は出てこないです。試しに oil-dollar agreementで検索しても、暗号資産系のブログがヒットするぐらいです。

根拠のないデタラメが広がり、あたかもモノホンの情報筋として扱われるのです。

これが「Misinformation=ガセネタ」というやつですね。はい。

投稿内容を少し進んで観察してみましょう。

貴方はどこでハマスがテロリストだと知りましたか?
ハマス=パレスチナ抵抗軍です
イスラエルがテロリストです
イスラエルのものは75年かけて全てパレスチナから盗んだものです、今でもパレスチナの土地を盗みアメリカとカナダで売りさばいている事をご存知ですか?

と、オイルダラー協定の話が続くのかと思ったら、この投稿以降はイスラエル関連の問題に話題がシフトしました。

秘技:論点のすり替え です。

チェックメイトされることを恐れてチェスではなくバックギャモンを始めましたね。

マスク自身も最近、国務省が支援する情報サイトTextyがまとめたキエフ政権への援助を阻止している
データジャーナリズムエージェンシーは先週、トランプ氏などを含むアメリカ人の人物を中傷するブラックリストを発表している
詳しく見たい方は
👇👇👇👇👇👇
https://twitter.com/ferozwala/status/1801102781022966259

引用元のアカウントを見てみましょう。

わあ・・・

私から見ると自ら運営しているニュースサイトが無い、タイムラインの情報を咀嚼して発信するアカウントにしか見えないんですよね。怖い。

偏った思考はいずれ自我の崩壊を招く

3年前に大流行した未確認のウイルスに誰もが恐怖したと思いますが、ソレとともに陰謀論の世界にどっぷり浸かってしまった人が一定数居ると思います。彼彼女達も同じく、自己肯定感が低い承認欲求の強いユーザーで「誰かに認められたい」という気持ちで思考が偏ってしまった悲しい生き物なのです。比較的落ち着いた昨今、彼らをネットで見ることはありますでしょうか。ネタがなくなれば彼らの「洗脳」が徐々に解除されていき、自らが行ってきた過激な投稿を見返すことも苦しくなってアカウントが次々といなくなってしまいました。

これらの真偽不明の情報を積極的に正当化し、ましてや現実の友達に吹聴した結果、このご時世に残ったのはアカウントと彼ら自身です。「ヤバいヤツ」と見切りをつけられ、大切な友人を失ったことでしょう。

さいごに

信じるか信じないかはあなた次第。誰もあなたが信じることに反対しない。けれども、最低限のファクトチェックをすることを強くおすすめしたい。これだけではなく、自らが不快に思っているのであればその場で指摘をすることが如何に大事だことなんだなと再認識することがあった。不快に思っているのであれば、それを袋叩きにするのではなく、対その自称・人物に対して、自分、ないしはコミュニティが今後同じようなことが発生した場合のPreventive Measurement(再発防止策)を話すことが有意義だと感じた。私はなるべく寄り添いながらも、仲良い人に非がある場合はその人が傷つくとわかってても、私は言うようにしている。それでその人が「傷ついた」以外に何処か自分を見直す機会やチャンスが生まれると信じて。

ではまた、次のお話で。

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