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自閉スペクトラム症のわたしが考える、日常の困りごととその対処法

はじめまして。
くじらナメクジと申します。1分で考えた名前です。
はじめてnoteを書きます。

突然ですが、「自閉スペクトラム症」をご存じでしょうか。
聞いたことがない方も、「発達障害」や「アスペルガー」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。

自閉スペクトラム症(ASD)は、「コミュニケーションがうまく取れない」「人とのかかわりが苦手」「感覚過敏・鈍麻」「こだわりが強い」といった特性を持つ発達障害の一つです。
「アスペルガー症候群」や「自閉症」の総称が「自閉スペクトラム症」で、現在は、診断名としては「自閉スペクトラム症」に統一されています。

私、くじらナメクジも、自閉スペクトラム症のひとりです。
そんな私が、毎日の生活で困っていることやその対処をまとめてみました。

この記事が自閉スペクトラム症当事者の方や、自閉スペクトラム症の人と関わっている方に役立てば幸いです。
※この記事に書かれていることは、あくまで自閉スペクトラム症を持つ一当事者に出ている症状やそれへの対処です。同じ診断名を持つ方でも、ひとりひとり症状の出方や向いている対処法が違うので、この記事にあることが自閉スペクトラム症のすべてではありません。

タスクがいっぱいのときは

やらなければならないことがたくさんあると、誰でも気がめいってしまったり、先送りにしたいなーと思うことがあるのではないでしょうか。(たぶん)

自閉スペクトラム症の人の中には、先の見通しが立たないと不安を覚える(予定通りに進まないと不安になる)人がいます。私もその一人です。
中学~高校時代に体調を崩してしまったため、通信制の短大に入学し、現在も在学中なのですが、通信制というだけあって学習は全部自分でやらなければなりません。課題、試験、申し込み……とたくさんのタスクに追われて、「やらなければならない」と必要以上の不安を感じて動けない……ということがときどきありました。

そのため私は、タスクをすべて予定管理アプリに書き込みました。具体的には、

  • 「○○のテキストを試験までに2周読みたい」→テキストのページ数÷日数で計算し、アプリに一日ずつ入れていく(少し面倒ですが)

  • 試験申し込みなど、忘れてはならない日は全部書き込む

  • 買わないといけないものは、あらかじめ全部書き出しておき、実際に買い物に行けそうな日は早めにタスクとして書き込んでおく

といった具合です。
これで、必要以上に「やらなければならない」に追われることが減りました。心のスペースを空けておくのです。これはもしかしたら、自閉スペクトラム症の方だけでなく、心配性の方にも役立つ方法かもしれません。

外出のときは

突然外出するとなると、心理的に結構きついときがあります。もちろんその時の体調にもよるのですが……。

なので、私は「用事のために外出する日」を早めに決定しておきます。そして、外出先ではどのようなことが想定されるか、あらかじめシミュレーションします。

たとえば……

  • 雨が降るかも?→体調が難しければ予定日の変更

  • 買わなきゃいけないものが売ってないかも?→売ってそうなお店を何軒か予想し、まとめて行けるところ・別日にするところを考えておく(この別日も予定に書き込みます)

  • 乗り換えに遅れるかも?→余裕をもって一本前の電車に乗る

このような感じです。

そして、発達障害の人に多い「感覚過敏」。
私がよくあるのは、
・「外がまぶしすぎる~~~」
・「音がうるさいよ~~~」
・「物が多すぎて頭がパンクしちゃうよ~~~」
・「急に大きな音でバイクが通ってびっくりしちゃったよ~~~」

これらのことが起こると、頭が真っ白になってしまいます。あとは、においがきついと気分が悪くなることも……。外出先で体調を崩すと不安になるので、以下のような対策をしています。

  • まぶしさ対策→サングラス(まだ買ってないけど使いたい)や帽子、日傘を使う

  • うるささ対策→イヤホンで自分のよく知っている音楽を聴く(知っている・予測できる音に対しては、私の場合安心できます)、耳栓など音を軽減するアイテムの使用

  • におい対策→マスク(あんまり使いませんが)

しかし、これらの対策をして、頭が真っ白になるほどの刺激は軽減できたとしても、疲れやすいのは変わりません……。なので、外出して帰ってきたら、たいてい頭痛が起こります。そして寝ます。たくさん寝ます。でもそれでいいと思っています。にんげんだもの

人とかかわるときは

自閉スペクトラム症の人がおそらくもっとも困難を感じるのが、人とかかわることだと個人的には思っています。
そして私は正社員で働いたことがない学生です。なので、仕事でのかかわりに対してはあまり対処法は見つかっていません。
ですので、以下では友人関係について書いてみたいと思います。

私は小学校から中学校の間は、人と仲良くすることができませんでした。クラスメイトとなじめず、友達ができたと思ったら、相手の気持ちを考えない発言ばかりで人が離れていく……もしかしたら、これを読んでくださっている方の中にも同じ経験をした方がいらっしゃるかもしれません。

その後高校時代は不登校となっていたのですが、オンラインで出会った友人たちがおり、彼らと毎日楽しく通話しています。半年に一回くらい、みんなで集まってコミケに行ったり、みんなでダラダラするだけの会を開催したりで、なんだかんだ5年くらい仲良くしてもらっています。

ただ、今でも学生時代の夢を見て、「友達ほしかったなぁ」とか、「楽しい学生生活を送りたかったなぁ」と思うことがよくあります。

そんな中で、私は自分の特性を、自閉スペクトラム症の観点から分析するうちに、

  • 対面で人とかかわって仲良くなるのは難しい

  • 同性(女性)と仲良くなるのは難しい

ということに気づきました。

対面で人とかかわって仲良くなるのはむずかしい

自閉スペクトラム症の人の中には、雑談を難しいと感じる人がいます。
私がそうなのですが、その理由かな~と思っていることは、
「人の表情が読み取れない」
「あいまいな表現がわからない」
「何を話していいかわからない」
この3つです。

ふだん、皆さんは会話をするときに、無意識に相手の表情を読み取っているのではないでしょうか? 
コロナ禍でマスクがあるとコミュニケーションしづらい、という話もあったかと思います。

しかし、自閉スペクトラム症の人の中には、人の表情が読み取れない人もいるのです。
私の場合は会話中に「表情の意味がわからないよ~」と思っているのではなく、やり取りの中に「表情」という要素が抜け落ちてしまうのです。

あいまいな表現がわからないというのも、この「表情が読み取れない」ということにかかわってきますが、私の場合、会話中は相手の言葉を聞き取るのに精いっぱいで、周辺の状況が抜け落ちてしまいます。
具体的には、「あれ」や「さっき」「だいたい」といった言葉は理解しづらいです。

これは、自閉スペクトラム症の特性で、言葉を字面通りに受け取ってしまいがちな原因のひとつなのかもな~、と自分自身では思っています。

何を話していいかわからないというのは、私の場合は、雑談が「目的のない会話だから」ということや、過去に人とかかわるときに失敗体験を繰り返しているので「失礼なことを言ってしまったらどうしよう」という気持ちから来ていると思います。

同性と仲良くなるのはむずかしい

私は女性ですので、その前提で読み進めてください。

これは傾向ですが、女性って、共感をベースにした会話をしている人が多いと思います。
しかし、先ほどの「表情が読み取れない」「あいまいな表現がわからない」「何を話していいかわからない」……これらの苦手は、共感をベースに置いた会話をする上では大きな障壁となってしまいます。

前述のオンラインで出会った友人たちも、ほとんどは男性です。

「男性と話す方が私にとっては楽なのかなぁ……だけど同性の友達が少ないのって、周りから見てどうなんだろう……」
「男性数名と女性一名で遊んでいると、変なふうに思われるんじゃ……こっちはゲームの話したり、ただただバカな冗談を言って笑いあってるだけなんだけど……」

このような不安は以前は感じなかったのですが、20代になったからなのか、それとも焼肉屋で他のテーブルの人に「男4女1ってwww」みたいに言われたのが聞こえたからなのか(それだよ)、「同性の友達が少ないのって変なのかなぁ」と考え、たどり着いたのが先ほどの
「女性に多いコミュニケーションスタイルは、自閉スペクトラム症の人にはむずかしい!!」
ということでした。

じゃあ友達をつくるのはむずかしいのかなぁ……

雑談って、人と仲良くなるために大切なことだし、同性の友達が欲しいと思うのも自然な気持ち。
「友達が欲しいのに、人とかかわるのが難しいならもう駄目なんじゃ……」と思うのも無理はないと思います。
ですが、まだ友達作りをあきらめるのは早いです。

私が提案したい方法は、
「オンラインから始める」
ということです。

自閉スペクトラム症の人がオンラインから友達を作ることには以下のようなメリットがあります。

  • 文面から始めれば、言葉を慎重に選べる

  • 通話では、相手の表情を読み取らなくていい

  • 音量調整しやすいので、言葉が聞き取りやすい

また、私の場合ですが、オンラインの友人たちはみんな遠くに住んでいて、当日急に「ひまー?」とかLINEが来ないことは、予定外が苦手な私にとってとても合理的な状態になっていると思います。

今の友人たちと出会ったころにはそんなことには気づいてもいませんでしたが、このような友人関係になったのは、自閉スペクトラム症の特性が反映されているのかな~、と思っています。

ただ、オンラインは変な人がたくさんいます。

もちろん常識的な人もいますし、ちょっと変わってるけど危害を加えようなんてまったく思っていない人もたくさんいます。
大事なのはその人が信頼できるかどうか、見極めることです。
ちょっとでも「変だな?」と思ったら、ブロックしてしまいましょう。

危害を加えようとする人は、自分にメリットがないと思うと去っていくと思います。もし、オンラインで友達を探すなら、「友達になってもらう」のではなく、「友達をたくさんの人の中から選び取る」ぐらいの気持ちで、焦らずのんびり探すのが大切だと思います。

絶対に、あなたと気が合う人はいます!!!


さいごに

長々と書いてしまいましたが、ここにあるのはすべて「自閉スペクトラム症を持つくじらナメクジという人はこんな特性があって、こんなふうに生きてるんだよ~」ということです。
自閉スペクトラム症という診断名でも、当たり前ですが中身は全員違います。
日本人というアイデンティティを持つ人がみんな違うのと同じです。

そして、
自閉スペクトラム症の人は、自閉スペクトラム症であることがすべてではない

という考え方は、自閉スペクトラム症当事者にとっても、かかわる人たちにとっても大切だと思います。
日本人というアイデンティティを持つ人は、日本人でしかないわけではないですよね。○○社の社長かもしれないし、子育て中のお母さんかもしれないし、地域のヨガ教室のメンバーかもしれない。

生まれてから死ぬまで、この「自閉スペクトラム症」というアイデンティティが付きまとうかどうかはわかりません。突然、何かのきっかけで世界一の大富豪になったり、地球が爆発して人口が0.0001%になって、運よく生き残ってサバイバル状態になったりすれば、このアイデンティティは私の中から消えたり、薄れたりするかもしれません。

まあ、このまま私の周りが平和ならば、自閉スペクトラム症とともに生きていかなければならないのでしょう。
それでも、私は自閉スペクトラム症であることにこだわらず、一人の人間として、生きていきたいのです。

だからもし、周りの人に「発達障害があります」と言われたとしても、「発達障害の人」ととらえず、「同僚のAさん」として、
その人自身を見てかかわってくれたら、たぶん当事者のAさんも安心できると思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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