わっぱらのぬるめ
昨年の途中からまたフリーランスランドスケープ生活に戻ったのでだいぶ時間があったなぁと改めて。あまり準備をせずにそうなったのでいろいろ大変だったけど、おかげでいろいろなところに行けたりも。
そのうちの一つが夏に行った、長野県大町市わっぱらのぬるめ。
なにかでここの写真を見て行きたいなと、ただそれだけで向かってしまった場所なのでした。
「ぬるめ」は、北アルプスの雪解け水を集めて流れてくる川の水がとても冷たいことから、水稲の生育に適した水温へ上昇させるために、浅く広く蛇行させながら流し、陽射しを多く当てることで、水が温まる様に工夫された水路とのこと。農業遺産に登録されているとか。
なので、農業用水、つまり土木施設なのだけど、それが素朴で手作り感があるつくり。しかも子供たちが遊べる流れになっているというもの。
はじめに説明だけ聞いて写真を見たときは、なんだか訳がわからなかったものです。
で、行ってみると、大町市の中心部からそれなりに離れていて、車でないとなかなか行かないよなぁ、と思うようなところにありました。
でもそこでは、地域の子供たちが遊んでいたり、大人も足をつけて涼んでいたり、公園のように使っている。
というか、この「ぬるめ」を中心にわっぱらんどと呼ばれ、公園のような場所になっていたのでした。
農業用水としても普通に使われているよう。農業用水でありながら、ここまで地域の人に身近な存在になって、かつ素朴に、さらに以前からあったかのように自然にある、この「ぬるめ」に感動させられてしまったものです。
ほんと居心地がよく何時間でもいれそうな雰囲気。
昨今は公園のデザインというと、過剰な安全性やデザイナーの意匠性を優先してどこかやり過ぎになってしまうことが多いように感じるものですが、こういった公園もあるのだと感動しつつホッとしたりも。
特に自分は田舎育ちだからか、こういった素朴な空間が気になるところです。ウチでもこんな設計ができるようになれればなと思わされた1日でした。
※ちなみにわっぱらというのは上原(わっぱら)地区のことだそうです。
帰ってきた後ずいぶん経ってから知れました。笑
また、「ぬるめ」のような水を温める用水路や池も各地にあるよう。ウチの近所の池がそんな池でした。