三島駅前再開発について_10
これまで少しずつ発信してきたけど、環境や景観計画の観点からすると悩ましい駅前開発と思えるのは下記の理由。
(ランドスケープ計画・設計という開発屋の側面もある自分ですが、たまには素直な気持ちを述べてみます。)
現状の三島の駅前にないボリューム・高さ
←周りの3倍近い高さは突飛すぎるのでは?これから先の他の開発の目安になってしまう恐れも。もし事業がうまくいかない場合、大きな建物はすぐに壊せないと思うと今後30〜50年はこのボリュームが維持される。
気になる湧水への影響は建ってみないとわからない。小浜池あたりの地下水位は地面から-3.0m程意外と浅くて、本当に影響ないと言いきれるのか気になるところ。
地域の人が活用できない高層階も気になるところ。
住宅というのでなおさら。
地域の主要駅前空間というのはパブリック性も持ち合わせている場所であってほしいし、三島などの郊外地の価値としては地面に近くて、水辺のほとりを歩ける暮らしと思っているのだけど。
他事業の追従の可能性
今後の開発事業において新しい基準になること。北口のビル開発1つをきっかけによりこれまで抑えられていた高層の建設が多くなったことを踏まえると、南口も同じように変わっていく可能性が。
小さい建物のリノベーションまちづくりが進んでいる三島において対極な事業であること
←地域として目指すものが不明確になる。今後入ってくる新規や外部事業者などに人口減少時代の開発・整備方針が伝わりづらくなる。(目指す方向性に関する情報発信がきちんとあればいいけど)
富士山の眺望にかかること、三島駅前の広々さが失われること
←都市と比べて利便性に劣る地方は、地域性や環境の魅力が感じられることも大事。地域の入口となる駅前は公共空間として整備していかないと。
他の新幹線駅と同じような町並みになってしまう懸念も。
三島を発信した「街中がせせらぎ事業」で整備したものが失われること
←この20年の三島を発信してきた取り組みが、駅前広場の整備でなくなるよう。そのとき植えられて大きく育った樹木が失われるという話も。
いまの三島を示している一つの地域資源なので、何かを残すことも大事なこと。
地域づくりの統一感が欠如すること
←三島という地域は静岡県東部や伊豆地方の入口の一つになる地域。
その地域の象徴の場の開発が、今後の地域づくりやその統一感を形づくる指標になるものであったらと思うところ。
この再開発を新しいシンボルとして発信しようとしているのならことのほか。
東部地伊豆がよくなる将来も連想させる公共の場所づくりであってほしい。
今後、リニアが開通すると静岡県は新幹線での訪問者が減ると思われ、今のうちに地域一体で地域環境の魅力を高める施策が必要なタイミング。
この開発がよしとなるとおそらく他の周辺地域にも反映されるというのも気になるところ。
富士駅前はバブル期の開発やそれら建物の老朽化が伴い、今やさびしい駅前となっていて、これから再開発に取り組むところ。
駅前再開発を先行的に進めた清水駅前は、時間が経っていながら駅そばの商店街や路面店が閑散としていたり。
三島においては、以前も述べたかつての北口のビル開発1つで、後を追うように同規模以上の開発が進んでしまったことが事実としてあるから、南口もそうなりかねないのではと非常に心配。
こういった地方再開発の形がずっと続いてるけど、都市計画的には今でもいい事例なんだろうか。
特に最近のまちづくりではウォーカブルなどの考え方が取り入れられていて、歩くのが楽しく・気持ちよくなるような町を目指す方針としているので、地方ではよけいに地面に近い暮らしづくりに取り組むものかと思っていただけに。
大きな施設ができたところで地域課題の解決に向かうのか悩ましいところ。「再」開発なのだから、地域の現状と将来を捉まえていけるといいのだけど。
と、ここのところ思っていたことをまとめてみました。
しつこく指摘していたので不快にさせてしまっていたらすみませんし、自分としてもあまり気持ちいいものでなかったりしていたところ。
なので、これからは今後のこの開発のいいところを見つけたり、町の環境がよくなるような提案をしていかないとと思うところです。
ランドスケープ計画者としての提案
これからは人口減少の時代で、これまでのように拡大一辺倒でなく、地域ごとに環境に向き合っていかないといけない時代と思え、特に地方はまさにいま地域一体で考えることが重要と考えられます。
三島は20年かけて、「水辺のまち」という認識を持ってもらえてるので、これをよりよくしていけたら。
そのために以下のようなことなどを提案できないかと考えているところ。
・三島の「美の基準」づくりを働きかける(真鶴などの地域に習って)
←高さの規制や地下水脈に負担を掛けないような条例調整
・夜の駅前のほどよい暗さの提案
←都会のように騒がしく明るすぎない、ほどよい暗さで歩きやすい現状の駅前環境の維持
・将来的に、楽寿園の森を駅に向けて開く ※下の画像はそのイメージ
←地域の入口で環境の豊かさを感じてもらう取り組みとして
など
環境計画の観点で町に対して訴えられそうなことは上記のようなことかと思っていて、自分なりにも地道な草の根運動に取り組もうと思っていたりもしています。
よかったら今後の三島の風景を一緒に考えていきましょう。