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11月8日 秋晴れ

『どんぐりにご注意下さい』
急に寒くなってきてなんとなく優れない気分の中、それを見て笑った。
ここまでの道中は笑顔になるものがぽんぽんとあるから歩いているのがとても楽しいのだが、今日の優勝はこれだな〜なんて思いながら、エントランスで母を待つ。

私の地元と似たり寄ったりの大変ローカルなこの辺りの風景はじんわりと落ち着く。
丁寧に皮を剥いて均等な間隔で吊るしてある干し柿とか、絶妙に美しい風合いに色付いている桜の葉とか、赤い弁天橋の下を流れる清流とかそんな自分基準の美しいものを見つけながらゆっくりと歩く20分は子どもの頃の通学路のそれと似ていてある種のセラピーのようになっている。

夕方だからか、あと何回この道を歩けるんだろうなんてよくないことが頭をよぎることもあるけれど、そんなことよりもこの後のたった15分の面会時間でどんなことを話そうかとゆらゆらと考えるほうがよっぽどいいじゃないかと自分を諭すように歩みを進める。


また来るからねと小さくなった手を何度も撫でてから笑顔で手を振る。

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