宝塚舞台機構への招待
こちらでは宝塚の舞台機構をご紹介していく。
ご存じだと思うが、日本には宝塚専用の大劇場が2つある。
兵庫県の宝塚にあるのが宝塚大劇場、東京都の日比谷にあるのが東京宝塚劇場。
宝塚大劇場の座席数は2550席、東京宝塚劇場は2065席。どちらにも同じ舞台機構を備えた大きな劇場となっている。
基本の作りは同じ劇場だが、舞台の奥行きだけ東京宝塚劇場の方が少し小さい。
さっそく舞台機構の説明をしていこう。
大階段
宝塚の装置といえばまず大階段を連想するのではないだろうか。
大階段は1927年「モン・パリ」にて初登場。以来、宝塚を代表する舞台機構に!
舞台機構界のトップスターである!
当初は木製の16段だったが、現在は特殊合金製の26段!
トップスターさんが立たれスポットライトがあびるところは下から10段目なのだとか。
1段の幅はなんと23センチ!落ちるジェンヌさんがいることも頷けますね。
使用されていないときは壁面に収納されており、自動で前にせり出す方式。
出てくるまでにかかる所要時間はたったの2分20秒!
タカラジェンヌの重さで80人??りんご80個分??
ちなみに静止時と移動時の定員数は違っており、
静止時の定員が80人
移動時の定員が40人
となっている。
ちなみに東京宝塚劇場は舞台の奥行きが小さいため、大階段が収納できない。そのため大階段と影段(階段を登るための袖にある階段)は吊り上げ式で収納されている。
大階段といえば華やかな電飾も見物だと思う。
この電飾の数は2461個!
2016年にはLEDのライト(フットライトのようなもの)が追加され、さらに華やかに、きらびやかにパワーアップした。
銀橋
大階段の次に有名な装置と言えるだろう銀橋(ぎんきょう)。
1931年「ローズパリ」にて初登場。
客席とオーケストラピットの間にあるエプロンステージの事を宝塚では銀橋と呼んでいる。
銀橋はフランス語の『pont d'argent(銀の橋)』から名付けられた。
名付け親はレビューの王様!白井鐵藏先生である!
銀橋の登場以前は、客席とステージの間を柵で仕切っていたのだとか(笑)
なんで金でなはなく銀…?と思われた方もいるのではないだろうか。
実はかつて旧宝塚大劇場には本当に金橋があったのだそう。
旧劇場は客席が3階席まであったため、上のお客様まで見えるようにとステージの真上に設置されたいた。
しかし実際はそれほど使用されることはなく、改修工事の際に姿を消してしまった。
スターさんが銀橋を渡られるとき、必ずフットライトが点灯する。
このフットライトは蛍光灯でよくみる直管型をしており、4本ずつがひとセットとして置かれている。
気づいている方も多いだろうが、実は銀橋のフットライトは4色にしか点灯しない。
それも『白・青・緑・赤』の4色だ。光の三原色だ!
ピンクや黄色などにみえるのはこれのおかげか。
銀橋でソロを歌えるようになれるジェンヌさんは一握りしかいないため、ジェンヌさんにとっても夢のステージといえるだろう。
盆(廻り舞台)
廻り舞台といわれる360度回転する舞台。
ちょうどステージの真ん中に位置し、回転することで一瞬で舞台転換を可能にする舞台機構。
歌舞伎により開発されたのが始まりと言われ、日本生まれの舞台機構であることでも有名。
直径は約14.6メートル。
客席から見ていても結構なスピードで回転し、時計回り・反時計回りにもなるため、ジェンヌさんたちも回転中の乗り降りはかなり大変なのだとか。
このスピーディな動きを駆使し、舞台転換委に一役買っているのは間違いないであろう。
せり舞台
上下に昇降することのできる舞台機構。
宝塚では6基のせり舞台が使用されている。
下の図のように盆のなかにある4台は客席側から数えて1号~4号と呼ばれ、
両花道にある2台を、上手から7号・8号と呼ぶ。
1号、4号せりはほとんど一緒で基本的に人の移動のために使われる事が主。
2号せりは3つに分かれ独立して動くことが出来、階段のようにさせることもできる。
3号せりはせりのなかで一番大きく、最大4メートルまで上がることが出来る。(スポットライトが2.7メートルの位置までしか届かないため通常はそこまで上がることはない)
さらにせりの中がこのように空洞になっており、セットを組むことができる。そのため主にセットとして使用されることが多い。
1号~4号までのせりの大きさはこちら
1号せりから4号せりまでの大きさは上の図のとおりであるが、
花道の上手と下手にひとつずつあるせり、7号・8号せりは
歌舞伎などでつかわれるスッポンと呼ばれるものと同様。
どちらも定員は1名、幅1.2メートル、奥行0.9メートルの大きさである。
さて、ここまできて気づいた方もいるのではないだろうか。
せりの通し番号には5号と6号が飛んでいる!ということに。
実はかつて5号、6号のせりも存在していた!!
場所は舞台の前方上下に1つずつあり、7号、8号の近くだったそう。
しかし今現在は使われなくなってしまったようで、完全に閉じられている。
いつか使用している作品が見つかればまたご紹介したい舞台機構である。
主な舞台機構をご紹介してきました。
これは一部だけでまだまだ背景画を吊る美術バトンの多さであったり、スポットライトも1人が片手で2台動かす特注品だったりと変わったものが多く存在するけれど、細かく言い出すときりがなくなってしまいます。
それはまた別の機会に。
さて次回からはひとつの作品を通して舞台転換を語っていきます!
ここに書かれた舞台機構たちを思い出しながらご覧いただくとより分かりやすくなるかと思います。
どうぞお楽しみください!